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月亮の輝きを……【破鏡の世に……第二章】  作者: 刹那玻璃
少し成長してきたでしょうか?刹那が幼いので、年相応であるか不安ですf(^_^)
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一応、皆普通にいます。元気です。

「お父さーん! きょうが、壊しちゃったよ~!」


 走ってくるのは金の髪の少年。

 白髪というよりも、琉璃りゅうりや息子達が手入れをしてくれるようになると、艶が出て銀色の髪になった孔明こうめいは、久しぶりの休日に畑を耕していたのだが、額をぬぐいつつ、


「はぁ? 喬が? 何を? 金剛ダイヤモンド

「お母さんと一緒にお菓子を作ってたら……」

「あぁ……」


孔明はため息をつく。




 年は214年。

 孔明は、33才になっていた。

 一応参謀兼内政担当だが、参謀は士元しげんに丸投げして日々、内政や作物について論議して、調査した後に実践している。


 今耕しているのは、自分の屋敷とあてがわれた地域の荒れ地をおこして、作物の種を植える作業である。

で、畑がほとんどの屋敷には、孔明夫婦と5人の息子が一緒に住んでいた。

 15才になる長男の金剛、14才の次男のじゅん、12才の四男のとうは器用なのだが、成長しつつある子供たちの中で、一番不器用なのは13才の三男の喬である。

 ちなみに、乱暴と言うか、爆発的なのは息子は五男の10才のこうである。


「えっと、また……」

「落ち込んで、目を潤ませてるの。お父さん……あれ」


 示す、長男の金剛の伸び始めた背丈に、ふわふわの頭を撫でる。


「ありがとう。金剛。やっぱり金剛は優しいお兄ちゃんだね。良い子に育った! お父さんは嬉しいよ」

「お父さんとお母さんが僕を可愛がってくれて、ちゃんと勉強に身を守るすべを教えて貰ったからだよ。俺は、お父さんの息子に育てて貰って嬉しかったよ! お母さんが一杯色々教えてくれたからだよ! 俺は、お父さんとお母さんの自慢の息子になりたいんだ!」

「何言ってるの。金剛はお父さんの自慢の息子だよ。それにね?」


 ひょろひょろの13才の少年を片手で、抱き抱える。


「ほーら、喬。どうしたの? 金剛が心配してるよ」

「……お、お父さん……」


 うるうる……


目を潤ませる三男が、余りにも可愛すぎる父親は、


「あぁぁ……何て可愛いの! お父さんは喬がとっても可愛いよ~! 何て可愛いの! 誰に似たの!あぁ、喬はお父さんの自慢の息子だよ~! それに……金剛も父さんの自慢の息子だよ~! お父さんは嬉しいです! こんな可愛い息子たちが大きくなった何て嬉しいの~!」

「わぁぁ! お父さん! 力任せに……痛いよ~!」


15才の少年が悲鳴をあげると、弟は諦めきった顔で、


「お兄ちゃん……お父さんの怪力は、諦めて」

「喬は華奢だから良いけど、この俺がお父さんにだっこだよ~? 部隊の同僚にバカにされるんだよ」

「兄さんは、馬鹿にする相手を父さんに習った技で滅多うちじゃない」


 現れたのは循と統、末っ子の広である。


「循! 代わってくれ!」

「いや……わぁぁぁ! お父さんがぁぁ!」


 循に統、広を一気にガバッと抱き締める。


「あぁぁ……お父さんは、息子達が宝物~! 琉璃も宝物だけど! あぁぁぁ、可愛いよー! お父さんは幸せです!」

「アホがいる!」

「うるさい! 士元しげん……って、あぁ、こんにちは。皆」


 父親の衣の裾をつかんで、おずおずと見ている子供達に、にこっと笑う。


 士元と嫁の球琳きゅうりんの子供達、琳瓊りんけい玉葉ぎょくようこうである。

 8才の三人は、何をしてるのかな? とキョトンとしている。

 思い出したのは金剛である。


「お父さん、おーろーしーてー! お父さん! お願い!」

「ガーン! 士元のせいで金剛が反抗期! 士元のせいだ!」

「アホか!」


 士元は呆れ返った顔で、首を振る。


「おい、お前たち、あれを真似るなよ?」

「おとうしゃん、りんりん、だっこ!」

「ようようもだっこ!ぐるぐるもして!」


 ねだる娘たちに、一瞬にしてデレッとした顔になる。


「し、仕方ねぇなぁ。だっこだけだぞ? 一人ずつ順番だ」

「僕良いので」


 あっさり告げる息子に、ムッとする。


「おいこら! 宏!」

「僕は勉強します。失礼します。叔父上たちもふざけてる暇があるなら、もっと有意義なことをなさっては?」

「うるさい!」


 父の体からスルッと抜け出した少年が、宏を捕まえる。


「はい、金剛兄ちゃん!」

「よし、よくやった。広はすごいな!」


 金剛は弟を誉めると、宏のお尻を叩いた。


「俺達のことを馬鹿にするのは勝手だけど、父をバカにするな!」

「いったぁぁ!」

「俺が礼儀作法を教え直す!」


 ペンペンとお尻を叩く息子に、


「うーん、最近、金剛は大人だねぇ……お父さん寂しいよ……」

「アホか! そんな冗談はいるか! まぁ、金剛。宜しく頼む。可愛いげのない息子を、統と広と特訓してやってくれ」


士元の言葉に、


「あら……士元お兄様。こんにちは。ようこそ」


赤ん坊を抱いた華奢な美少女……隣には、関索かんさくと手を繋いだ5才程の幼児。


「琉璃! 大丈夫なの? それに、桃花タオファは……」

「大丈夫ですよ。お兄ちゃんたちに会いたいって言ってますよ」

「わぁぁ!」


 集まってくる少年達に、


「えっと、おはよう、皆」

「おはよう。さく。今日は絶対に勝つからね?」


金剛はにっと笑い、順番に、


「お早う。索兄さん。それにこうも元気だね」

「うん!! 循お兄ちゃん! 元気だよ!」

「それに、桃花はご機嫌だね」


喬は妹の顔を覗き込む。


「お早う。索兄さん。また、服がきちんと整ってないよ。もう……駄目でしょ?」


 統の声に、


「えぇ?おかしいか? 破っちゃって自分で繕ったんだけど……」

「「「「「絶対に変!」」」」」

「頑張ってるんだけどなぁ……」


困った顔で見下ろす索に、循が、


「大丈夫。索兄さんは、うちの喬並みに不器用だから、安心して」

「ひ、酷いよ~! 循お兄ちゃん! 僕だって何とか……」

「無理だよ」


ガックリする息子の頭を撫でて、


「喬は、じっくりすればできる子だよ。皆、お父さんの自慢だよ。これからどういう道を行こうとも……お前達を見守っているよ」

「その前に、お父さん。僕たちは頑張らないと」

「隠居しないでね? じいちゃんになるよ?」


統と広……特に、広の一言に、


「じいちゃん……ガーン……! 広は、お父さんのことそう思っていたんだ……」

「なるなってことだよ。お父さんまだまだ頑張らないと、滄珠そうしゅを取り戻すんだから!」

「そうなの? それなら……」

「循兄ちゃんと月季げつき姉ちゃんに子供が生まれたら、じいちゃんだけど」


循は真顔で告げる。


「う~ん。そうだねぇ。そうしようか?」

「わぁぁぁ~! ダメダメダメ! まだ早いです!」




……再び動き出す時は満ちる。

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