和解
魔眼が開眼してから2月ほど経った。俺は案の定牢の中で過ごしている。母親とは牢に入ってから1度も顔を合わせていない。それほど魔眼使いとあうのは嫌なようだ。すだから牢に来るのは親父とルナとメイドとユエくらいだな。親父とメイドが食事を持ってきてくれる。ユエはたまに魔法の威力を確かめるとか言って俺に向かって魔法を打ってくる。まあ、MDFが高過ぎてダメージが無いから特に気にしてないのだが。
“コツコツコツ”
ああ、今日も来たな。ははは、今日こそはダメージを与えてみせると粋がっているユエに向かってドヤ顔で「あれー全然ダメージ無いんだけどもしかして本当は魔法の才能無いんじゃないの(笑)」といってやろう。
「今日こそはあなたの防御を貫通させてみせるから覚悟しなさい」
「はいはいあの程度じゃダメージなんて通らないから好きなところからどうぞ」
俺はベットに寝っ転がりながら答えた。
「むかつくわね。ならこれをくらいなさい」
ユエは呪文を唱え始めた。
「氷の精霊よ、今ここに契約せし我が魔力を糧に全てのものを凍らせし力を我に与えよ、汝らの力が通り過ぎた後に生き残るものはおらずその地には死が蔓延するだろう。汝らの氷は誰にも溶かせず全てのものを死に誘う氷なり、死氷世界」
氷が津波のようにこっちに押し寄せてきた。ああ、これはやばいなんでユエこんなに急成長してるんだ?まあ、後で聞くとして今は魔法の対処が先か
「魔を喰らえ〈魔喰いの邪眼〉」
魔眼を発動すると押し寄せていた氷は全て魔力へと変わり俺の中に入ってくる。
「な、なんでこの魔法も効かないの!?」
「あれー全然駄目じゃん。もしかして本当は魔法の才能無いんじゃないのかな(笑)」
言ってやった。まあいつもいつも魔法の的にされてイライラしていたからつい言ってしまったんだが少し後めっちゃ後悔した。なぜなら
「そ、そんなことないもん。これだって〈氷魔法〉の最上級魔法の1つなのに聞かないほうがおかしいんだもん。最近やっと精霊と契約できて覚えられたのに聞かないほうがおかしいんだもん。うわぁーん」
やばい泣き出した。流石に言い過ぎたかも。
「ごめん。今さっきは言い過ぎた、というか本心じゃないから本当は防がなきゃかなりのダメージがあったから安心しろな」
「ひっく、ひっく、本当?」
やばいめっちゃ可愛い滅多に甘えてこないからこのギャップがとてつもなく可愛い。
「ああ、本当だ。それに精霊と契約できるなんて凄いじゃないか、頑張ったな。お母様にも褒められたんじゃないのか?」
「うんうん、最近できた弟が闇魔法以外の魔法スキルを持っているからそっちにかかりきりで、しかもお父様はルナの方にいるから最近ずっと1人でいたからまだお兄様以外には知られてないからお兄様にしか褒められてない」
「そうか、ならうーんと褒めてやる。凄いなこの歳で精霊と契約してしかも最上級魔法を使えるなんて凄いじゃないか」
「うん、ありがとうお兄様」
うん、やっぱりうちの妹2人は可愛いな。いや俺別にシスコンじゃないぞ。別にこんぐらい普通だぞ。前世の妹の方が酷いからこんなの普通の範疇だ。
「そうだ、精霊って何処にいるんだ?」
精霊がいるなら俺にはすぐに分かるはずなのだが
「ここに居るよ」
ユエがそう言うと人型の精霊が出てきた。
「やあ、初めまして僕の名前はフリジースト・アイスだ。よろしくね」
「ひ、人型だと、ていうか男、女どっちだ?」
「僕は女性体だよ。人型の精霊を見るのは初めてかい?」
「女だったか。まあそこはどうでもいいが人型の精霊は見たのは初めてだ」
「お兄様、人型の精霊はってどういう事人型の精霊にならないと精霊は見えないのに」
「えーとお母様に話さないでくれるなら話してもいいが」
「うん話さない。だってあの人嫌いなんだもん。魔法の練習しろって前まで言ってたのに弟が生まれてから全く構わないし、それにずっとうざかったし」
「まあ、それならいいか。俺には沢山の魔眼があってなその中に〈魔眼〉ってのがあってそれのおかげでみようと思えばなんでもみれるんだよ」
「それに君〈精霊の眼〉も持ってるでしょ。なんか最初に視界を共有するような感覚があったから」
「ああ、持ってるぞ。精霊が何処にいるのかも分かるはずなのに何故かお前のことが分からなかったんだがなんかしたのか?」
「ああ、人型をとれるほど高位になるとそういった物を拒否できるんだよ」
「ああ、それでか。あとユエ精霊の事お母様に伝えないほうがいいぞ」
「なんで?」
「どうせあいつのことだ政略結婚の道具としてユエの事を使おうとするからな」
「お兄様がそういうなら分かったわ」
「そうだ、なんで前まで俺の事を的にしに来てたんだ」
「最初はお母様に命令されていたんだけど途中からはお兄様と遊ぶのが楽しくなって」
「まあ、あれは遊びだったんだな。どうにも威力が低いと思った。でも今日のはなんであんなに本気だったんだ」
「契約した精霊の力を試したかったてのもあるけど、どうしてもお兄様に勝ちたかったから、それでえっとごめんなさい」
「別に良いよ」
「それとお兄様、どうやって魔法を防いだの?」
「ああ、魔眼の中にある〈魔喰いの邪眼〉を使ったんだ」
「どんな魔眼なの?」
「発動している魔眼を元の魔力の状態に戻して吸収する魔眼だな」
「それって魔法使いに勝ち目が無い気がするの」
「そうでも無いぞ、俺が吸収できる限界量を超える魔法を放てばいけるぞ」
「限界量ってどれくらいなの?」
「魔力でいうとだいたい50000以上かな」
「それ大抵の魔法使いは超えられない気がするの」
「まあ、お前なら超えられるだろう」
「どういう事なの?」
「なんとなくそんな気がするだけだ」
「まあ、お兄様がそういうなら頑張ってみるわ」
「そうか」
「その為にも頑張らなきゃいけないからそろそろ戻るわ」
「ああ、また来たいときは言ってくれすぐに呼ぶから」
「どういう事なの?」
「ああ、言ってなかったな。俺の魔眼の中に〈念話眼〉ってのがあってな、それの力で俺の事をイメージしながら頭の中で言いたいことをイメージすれば届くんだ」
『お兄様こんな感じでいいの?』
「ああ、それでいいぞ」
「分かったわ。明日はこれで呼びかけてみるわ」
「ああ、それじゃあまた明日」
そしてユエは自室へと戻っていった。
「ナイト君」
「あん、まだいたのか。それでなんか用か?」
「うん、君に言いたいことがあってね。君もしかして転生者かい?」
その言葉を聞いて少し驚いたがすぐにもとに戻った。
「ああ、やっぱり居たのか、転生者を知っているやつ」
「それは今さっきの問いに対してyesってことでいいんだね」
「ああ、そうだ。それでお前はなんで転生者のことを知ってるんだ、前の契約者が転生者だったとかか?」
高位の精霊だから長い年月生きていると思うからそういった相手がいてもおかしくわないだろう。俺はそう推測して問いかけてみた。
「いや違うよ。僕の契約者は彼女ユエが初めてだよ」
「なら、なんでお前が転生者のことを知ってるんだ?」
「僕はね、いやその前に君の前世の名前を教えてよ。そしたら僕もおしえてあげる」
「まあ、それぐらいならいいか、俺の前世の名前は暁紅夜、1文字で暁って書いて名前は紅って字に夜って書いて紅夜って読む。これでいいだろ、今度はそっちが質問に答えろ」
「ああ、分かっているよ。僕の名前はあの時言ったけどあれ実は偽名でね本当の名前は別にあるんだよ」
「いやそんなこと聞いてないからなんでお前が転生者を知っているのか答えろって」
「急かさないでよ、ちゃんと答えるから。えっとじゃあ、改めて名乗るよ。
僕の名前は風音氷麗。君風に名乗るなら風車の風に音楽の音って書いて風音、そして氷山の氷、麗しいの麗って書いて氷麗って読むのよ。ここまで言えば勘のいいあなたなら分かるかもしれないけど僕は600年前にこの世界に転生してきた転生者よ。
あなたの先輩?って事になるからよろしくね」