第2王女
第2王女か、なかなかの面倒ごとだな。まあ、どちらにしろ帝国絡みだから、終わらせないと安心して暮らせないからな。仕方ないと割り切るか。
「それで、何があったのか説明してもらえるか?」
「はい、事の始まりは旧大臣の死がきっかけです。帝国は王を武力で決めるため国を動かす機関は別にあります。とは言っても最終的に決定するのは王であるお父様ですが。ですがそれにも抜け道がありそれをまんまと利用されました。死んだ大臣に変わり新しく入ってきたものが、その抜け道を使い帝国の秩序を乱しております。だから、どうかあの悪しき大臣を討っていただきたいのです」
「おれには政治とか全然わからないけど、大臣を殺せば万事解決なのか?」
「はい、それは間違いありません。ですが、それが不可能ならば私の姉でも構いません」
「姉を?」
「はい、抜け道というのは王が病に伏した時には直系の子供が代理を行うという法を使い、政治を意のままに操っているのです」
「だから、姉か大臣を殺せばいいと」
「はい、宜しくお願いします」
「なら、早速移動するか。そういえば、どうやって大臣を殺せばいいんだ?」
「真正面からで構いません。王の直系には臣下を断罪する権限があります」
「わかった。護衛とかの強さは?」
「その辺りは馬車で移動しながらしませんか?」
「そうだな。今すぐに出せるか?」
「はい、いけます」
そう言い、アリスが向いた先には今まさに修理を終えたばかりの馬車があった。
「では、紅夜さんたちも乗ってください」
「わかった」
俺たちは素直に馬車に乗る。
ーーーーーーーー移動中ーーーーーーーーー
「では、護衛の強さについて説明させていただきます。
護衛の数は5人です。1人目は騎士団団長のガウス・アリトール、levelは700越えの帝国内では最強の剣士です。Aランク冒険者のヨーゼフ・バナートの師匠でもあります。
2人目は騎士団副団長のライラ・ヨーゼンバード、level600越えの槍による中距離戦を得意とする騎士です。
3人目はトーマス・エクスタイン、level550の魔法使いです。使う魔法は基本4属性の上級のみです。
4人目はリーゼ、levelは不明で大臣に雇われている冒険者です。戦い方もわかりません。
そして最後は、私の姉あるアリアです、level450の魔法使いです。使える属性は火と風の最上級魔法です。
この5人が大臣の護衛に当たっています。可能ならば姉以外の者は殺さないで欲しいのですが無理そうならば構いません」
戦士2人に魔法使い2人残りは不明か。
「前衛2人は咲月と美月に任せたいが行けそうか?」
「もちろん」
「大丈夫」
「紅夜は3人も相手で大丈夫?」
「大丈夫だ。魔法使いは俺にとっては意味をなさないからな」
「どんな魔眼の能力?」
「〈暴食王の邪神眼〉ってので、効果はありとあらゆるものの捕食ってところかな。まあ、いざとなれば切り札を切るから問題ないだろ」
「うん、切り札はなるべく切りたくないから」
「美月も、何かあるのか?」
「内緒。見せた時に驚かせたいから」
「なら、その時まで待つとするよ」
「私にも一応それらしいものはあるが、切りたくないものだな」
「そうだな。一応作戦ってわけでもないが、第一目標は大臣、第二で、第一王女で行くぞ。そして護衛はできるだけ殺さないようにって事だったよな」
「はい、その通りです。でも無理はなさらないでください」
「わかってる。無理そうならすぐに諦めるさ」
「お願いします」
"ガタン"
馬車が石か何かにぶつかりタイヤが外れようだ。おそらくつけ直すのに少し時間がかかるだろう。普通であれば急ごしらえとはいえ王族の乗る馬車がこの程度で破損するはずがない。そして、その思考に至った段階で俺の予想は確信へと変わる。皆が動けない中で動いているのはただ2人だけ。タナトスを持ちアリスの方へと駆けていく俺と・・・
「侵食率70%」
ステータスを向上させた俺はアリスに迫りくる凶刃をタナトスで防ぐ。ステータスが向上しているため切りつけてきた本人ごと、後ろへ吹き飛ばす。
"バキッ"
吹き飛んだ衝撃で馬車の一部が破損するが関係ない。俺はそのまま追撃に移る。油断できるような相手でもないため馬車の被害を気にせず、その体を切り裂く。だが、その体は黒い霧となり霧散していく。
「ちっ、逃げられたか?」
「いや、逃げてなどいないさ」
そこに立っていたのは、俺たちと言い争いをした、騎士だった。
「あれもスキルか?」
「教えると思うか?」
「思わないな。だが、こっちの方は答えてくれるだろう。なんで、ここにいるんだ?リーゼ」
変装を解き、女性に戻っていく。
「あら、ばれてたの。変装は完璧だったはずなのにね。参考までになぜばれたのか教えてもらってもよろしいかしら?」
「魔眼だ」
「あら、そんなものでバレるほど弱いわけではないのだけれど、構わないわ。どうせ、あなたたちはここで死ぬのだから。遺言くらいなら聞いてあげるわよ」
「いらねぇーよ。こんな所でくたばるわけにもいかないからな。そっちの遺言はいいのか?」
「ははは、何を言ってるのかしら。私は冒険者で尚且つ暗殺者よ。遺言書くらいギルドに預けてあるに決まっているじゃない」
「いや、そこは嘘でもいいからあなたに負けるわけがないとか、あなた相手には必要ないとかって言うところだろ」
「あら、残念ね。私は空気が読めないのよ。だがら、死になさい」
黒い霧が色々な形状に変化し、こちらに襲いかかってくる。タナトスで切り刻もうとすると、突如として、爆散した。
「ふふ、時間をくれてありがとね。おかげで楽に倒せたわ」
「超重力」
俺の発動した魔法とともにリーゼは膝を折る。
「そう簡単に終わるわけないだろ。死にたくなかったら全力でこい」
ゆっくりではありますがこれからも更新します。




