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閑話 神代真理亜

お兄ちゃんが死んだ。私の大事で死んでも守りたかったお兄ちゃんが死んだ。交通事故だそうだ。そう警察の人から言われた。引いた人からも話を聞いてちゃんと筋が通っているのは分かっている。だけど、私はどうしてもお兄ちゃんが交通事故で死んだとは思えなかった。だから、その日お兄ちゃんが遊びに行った人から調べることにした。


それから数日、調べられたことはその人が同性愛者だということと御曹司だという事だ。これ以上は普通の方法では集める事ができなくなってきた。だから、私は犯罪に手を染めるようになった。犯罪と言ってもただのハッキングだ。忍び込むのはお兄ちゃんの友達の会社のメインコンピューターだ。


私は幼少の頃から天才と言われていた。その才能が顕著だったのはフラグラミングやハッキングといったコンピューターに関する事だった。もちろん他の事も人並以上に出来ていたのだが。そのせいで私にまともに接してくれたのはいなかった。そう、お兄ちゃんという例外を除いてはだ。お兄ちゃんは、私が落ち込んでいる時、周りに対して失望してしまい塞ぎ込んでしまった時、そんな時にいつも手を差し伸べてくれた。どんなに私が特殊で異質な才能があっても、お兄ちゃんだけは私を普通の女の子、妹として接してくれた。それで、私がどれだけ救われた事か。


だけど、そのお兄ちゃんが鬱になったことが1度だけある。それは、私のせいで仕事を失ったとほざいていた人の起こしたテロによって両親を亡くした時だ。そのテロによって両親だけではなく多くの人が亡くなった。そして、それを責める者たちの矛先は私達兄弟に向かってきた。


私はその時、外国での仕事で外国に出掛けている時だった。帰国後すぐに警察の人が私に両親が亡くなったという話とお兄ちゃんだけが生き残ったという話をしてくれた。私がその時の感情は喜びだった。両親が死んだ悲しみよりもお兄ちゃんが死んでいないと言う喜びの方が強かったのだ。その時の警官は私が話を聞き、笑っていた事におかしくなったと思い精神科に連絡しようとしたぐらいだったらしい。


その後、私は大急ぎで家に帰りお兄ちゃんに会いに行った。しかし、そこにいたのは私の知っているお兄ちゃんではなかった。ストレスのせいか痩せ細った体、風呂に入れると自殺してしまうという危険性からか風呂に入れられず、汚れきったお兄ちゃんの姿がそこにはあった。私はすぐに何がお兄ちゃんをそこまで苦しめたのかを調べた。その結果はすぐに分かった。


調べようとしたその瞬間に外からフラッシュがあったのだ。その後、壁やドアを叩き取材を求める記者の姿がそこにあった。


「神代さん、両親を亡くした今の心境を一言」


そんな風に話している記者たちに私は激怒した。こいつらか私のお兄ちゃんを苦しめたのは。私が前にいても反応すらしなくなるまで苦しめた犯人は。私は静かにドアを開ける。すぐさま私に群がる記者たち。その姿はまるで、砂糖に群がる蟻のようだった。


「神代さん、今の心境を一言お願いします」


私に向かってその言葉を繰り返す記者たち。私の堪忍袋の緒もすぐに切れた。フザケルナ。わたしのお兄ちゃんがあんなになったから今度は私に言葉を求めるか。屑どもが。その時私の口から出たのはとても冷淡で凍えるような殺気のこもった言葉だった。


「さっさと散れ。これ以上群がると殺すぞ」


一部の人が失神する。そして、大半の人が取材しに来ている事を忘れ私に恐怖した。機材を落とした者も多くいただろう。そして、記者の1人が私にこう言ってきた


「そんな事いうと仕事がなくなるんじゃないですか?」


ただの強がりだったのだろう。大の大人が1人の少女の殺気でビビっているなんて笑い種だろうから。だが、その他時の私は冷静ではなかった。


「そんな事か、2人の人間が一生過ごせるくらいの預金はある。というより、10人程度なら余裕で養えるくらいの金はあるのだ。仕事などやる必要もない。それにこの程度の暴言でさっていく者などと仕事をするつもりはない。それが分かったのなら疾くと消えるが良い。不愉快だ」


私はそこまで言ってドアを閉める。外にはまだ記者の人たちがいる。できる事なら1人残らず殺してしまいたかったが、そんな事をしてはお兄ちゃんに迷惑をかける。だから、そんな事はしない。今私がやる事はお兄ちゃんを元に戻す事だ。


それから、数ヶ月でやっとお兄ちゃんは元に戻った。元に、と言うのは少し語弊があるのだけど。私のブラコンも大概だが、お兄ちゃんの方もシスコンになりかけている。シスコンと言うよりは過保護といった方がいいと思うのだが。あの時から私に仕事のオファーがなくなり普通に学校に行っている。あの程度の暴言で仕事を撤回した企業に失望はしたが、まあ言っても仕方あるまい。


そして、なんやかんや有名な私はイジメにあっている。当たり前だろう。自分で言うのもなんだが、私の容姿は整っているし、成績も優秀だ。それ故に男子にもモテる。まあ、お兄ちゃん以外に興味はないのだが。そんな態度が女どもの怒りを買ったのだろうかよく分からないが、と言うより興味も微塵にないのだが、まあ恐らくそのせいでイジメにあっている。


そんなイジメもすぐに終わりを迎えた。お兄ちゃんが学校に乗り込んできたのだ。お兄ちゃんが校長や教頭に話をつけイジメの主犯格に厳重注意を行わせた。まあ、そんなものでなくなるならイジメなど存在しないのだ。イジメはその後も続いた。何度注意を受けても続く。それも次第にエスカレートしていった。最後には私でなければ死にかねないレベルまで行った。そこまで行ったことに呆れてお兄ちゃんに報告したら、血相を変えて校長室に乗り込みその次の日にはイジメに関与した疑いのあるものは転校し、イジメの主犯格3人は警察に捕まる結果となった。まあ、少年院だろうがそこは興味もない。帰ってきたお兄ちゃんの笑顔がとても清々しくてカッコ良かったからあの人たちには感謝だな。こんな表情滅多に見れないのだ。カメラで永久保存した私は悪くないはずだ。


そして、そんなお兄ちゃんが死ぬ筈がない。交通事故な度で死んで私を置いていく筈がない。だから、お兄ちゃんは殺されたんだ。私はそれからずっと調べ続けた。どんな些細なものでもいい。働いていたところのツテなんかを使って調べ尽くしやっと決定的証拠を掴んだ。お兄ちゃんの友達の会社にあった隠蔽の証拠と、お兄ちゃんを刺したナイフを手に入れた。だが、私はそれを警察なんかに持って行く気はさらさらなかった。1度隠蔽に関わったものなど信頼できる筈もない。だから、私は復讐を決意した。


まず初めにやる事は周りの大切な人を殺す事からだった。私から大事な者を奪ったんだ。その苦しみを味わわせてやりたかった。お兄ちゃんの友達とその彼氏は同じ学校だ。ならそこは最後でいい。まずはお兄ちゃんの友達の彼氏の家族を皆殺しにする事にした。外国のマフィアに頼みありとあらゆる武器を手に入れた。そして、計画を実行した。こちらに操作の目がいかないように連続殺人を演じる事にした。彼氏の家族とお兄ちゃんの友達の家族を交互に殺した。推理なんかで分かるように場所を決めた。その場所が当たらないように推理されたら少しずつ場所を変えたりして、確実に1人ずつ殺して行った。だが、一族皆殺しとはいかなかった。さすがにこちらに捜査の目が向いてきたからだ。


だから、次の計画に移る事にした。私はお兄ちゃんの通っていた学校に向かっている。後ろには警官らしき者たちがいるが気にしない。口実なんかもあるから学校にはすぐに入れる。後はやるべき事をやるだけだ。


わざわざ日付をしっかりと考えて動いていたのだから理由作りは簡単だった。ちょうど今日でお兄ちゃんが、死んでから一年が経っていたのだ。だから学校について、先生方に1周忌経ってお兄ちゃんを思い出したいからと、理由付けをして学校の中に入る。警察の人は入ってきていない。さすがにお兄ちゃんの学校でやらかすとは思っていないのか非合法の捜査なのかは知らないが、まあどうでもいい。


私は廊下で完全武装に切り替えてお兄ちゃんの友達のいるクラスへと向かう。クラスの前に着くと、私は思いっきりドアを開け銃を放つ。お兄ちゃんの友達の彼氏に向かって。どちらを先に殺そうか迷ったが、お兄ちゃんの友達を残す事にした。実行犯は彼氏のほうだが、隠蔽をしたのはあいつだ。もしも素直に罪を償っていたらここまでしなかっただろう。そして、私はいきなり現れ人を殺した私を見て狂乱している者たちにこう告げた。


「勝手に動くなよ。動いたら殺すぞ」


場は静まり返る。一人を除いて


「なんで、魁斗を殺したんだ!!答えろ!」


もちろんお兄ちゃんを友達である。そして、私は冷淡とこう伝える。


「そんなのもちろん彼が私の兄、神代紅夜を殺したからに決まってるではないですか、榊裕也さん」


「馬鹿な!!そんな事をする筈がない」


焦って返した時点で負けだと思うのだけど、ちゃんと私は証拠を提示してあげよう。私はプリントの束を榊に向かって投げる。


「これだけ証拠が詰まっています。これで言い逃れはできませんよね」


その時、突然扉が開いた。


「警察だ。手を上げろ」


あの警察たちですか。まあどうでもいいですね。口上を述べた警察たちに向かい私は発砲する。


「黙ってて頂けますか、あともう少しで復讐が終わりますから」


私の放った弾丸は警察の持っていた銃にあたり銃を破壊した。


「そんなことはやめるんだ。復讐なんて何も生まない」


「ええ、何も生まないのは知っています。だけど私の気持ちは幾分か晴れるでしょう。それにもう手遅れですよ。あなたたちは知っているでしょう。今さっき殺した人と榊裕也さんの家族を私が殺して回ったことは」


「やはり、君の仕業だったのか」


「ええ、あと他にも殺してやりたかった者も居ましたが、私が捕まっては終わりなので本命を殺しにきました」


「なんで、家族を殺した!!俺を直接狙えばよかったじゃないか!?」


「そんなの決まっているではないそですか、あなたに私と同じ気持ちを味わって欲しかったんですよ」


私は今殺意と狂気に満ちた顔をしているのだろう。その証拠に


「狂ってる」


「狂人だ」


そう口にする生徒もいる。だが、そんなのはどうでもいい。


「では、最後の1人を殺すとしましょう。何か言い残すことはありますか?」


私は銃を向けながらたずねる。だが、彼のとった行動は意外なものだった。


「フザケルナ。ここまで近づけば倒せる」


私に襲いかかってきたのだ。私は襲いかかってきた榊の腕を掴み投げる。この程度て勝てるつもりだったのかと思うと哀れに思えた。だから、早く殺してあげることにした。


「それが答えということは言い残すことはないということですね。では死んでください」


「ま、待って」


何かを言っているがどうでもいい。私は銃の引き金を引く。そして、銃弾に貫かれ榊はあっけなく死ぬ。これで終わったのか、いやまだ最後にやることが残っていた。


「では、皆さん。これにて私の復讐劇は終幕を迎えました。では、さようなら。もう私は生きる意味がありませんので死にます。では」


額に拳銃を当て引き金を引こうとする時に決め台詞みたいなものを言ってみたくなったのでとりあえず適当に行ってみるとしよう。


「|こんな、理不尽に満ちたふざけた世界に別れを《This , goodbye to such asshole unreasonable to full Tsu shit world》」


引き金を引き私は絶命した。


目がさめると辺り一面が真っ白な空間にいた。私は死んだはずだが、命を無理やりつなぎとめられたのか?そうな、ことを考えていると向こうから綺麗な女性がやってきた。


「いえ、あなたは死にましたよ」


「あんたは誰だ?」


私は警戒しながらそう問いた。


「私は女神です。あなたを転生させにきました。ちなみに記憶などはすべて残ります」


こういうのは不慮の事故とかではないのだろうか?まあ、そんなことはいい。答えは決まっている。


「お兄ちゃんがいない世界に用はない。早く死なせて欲しい」


これが、ただ一つの願いだ。強制でないことを願うしかないな。


「いるといったらどうしますか?」


「どういうことだ!?」


私は珍しく気が動転してそうたずねる。


「落ち着いてください。今説明しますから」


「落ち着いてなどいられるはずかないだろう」


「分かりました。今説明しますから待ってください。あなたの兄君は今私の管理している世界にいます。そして、あなたに声をかけさせていただいたのです。兄の為にあそこまでできる人はいませんから」


「一ついいか?」


「一つと言わずいくらでも構いませんよ」


「なら、そんなことをしてお前に何かメリットはあるのか?」


「ありませんよ。強いて言えば暇つぶしでしょうか」


暇つぶしか、まあどっちにしろ行かないなんていう選択肢はないし別にいいか。


「なら、その話を受けさせてもらう」


「そうですか。では、特典をお選びください」


テンプレか。ならあれにしよう


「その世界にある魔法をすべて欲しい。問題ないか?」


「問題ありませんが、すべては不可能です。一部の固有魔法はお渡しできません」


「なら、それで構わん」


「そうですか。それと、様式美としてこれは言っておきましょう。あなたの来世に幸あらんことを」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「んんっ、夢か」


今でも思い出せるあの時の記憶。私、マリア・ミオレムが背負うべきの贖罪。もう今度は間違えない為の教訓。今度こそはお兄ちゃんと幸せになる。前世では禁断の愛だったが今世では結婚も出来るのだ。早く会いたいなお兄ちゃん。


お兄ちゃん、いやナイト・リベリア、私はあなたのことが大好きです。絶対に迎えに行きますからね。




真理亜の口調がバラバラなのは精神が安定していないからです。なので、ちゃんと転生後は口調も安定させます。

転生シーンも本来だと長いのですが、夢の中なので重要なところだけがピンポイントで出てきているという感じです。

次の登場はこちらも学園編でだと思います。もしかしたら閑話で出るかもしれませんが今の所そこまでてません

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