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エンシェントドラゴン 前編

今回は短めです。長くなりそうだったので前編と後編に分けさせていただきました。

扉をくぐりそこにいたのは1匹の純白という言葉が1番しっくりくる蛇のように胴の長い龍がいた。そして、その目線は此方を敵どころか獲物としてすら認識していない、そんな感じの目だった。


「私から行くから援護お願い」


美月が真正古代龍(エンシェントドラゴン)に向かっていく。


「待て、一人で行くな」


その後をエルザが追う。俺は言われた通り後衛に徹するとしよう。おそらくそれが最善だと思うから。


「我流抜刀術、燕子花」


美月が斬りつける。だが、真正古代龍の体に傷をつける事は叶わなかった。その後に待っているのは当然と言えば当然の真正古代龍からの反撃。ただ尻尾を振るっただけの攻撃と呼べるかすらわからない、まるで人間が寄ってきた虫を払うかのようなもののように思えた。だがそれでも美月にとっては致命傷となりかねない一撃だろう。


「なにをボーッとしてんだ。早く援護に回れ」


エルザのその呼び掛けで我に帰る。俺はすぐさま美月を〈転移眼〉で転移させる。


「美月、大丈夫か」


「うん、でも〈転移眼〉使えたの?」


あ、そういえばそうだった。でも、〈転移眼〉が使えるという事は


「少し確かめてみたが此処では全ての魔眼が使えるようだ」


「そうなら」


「ああ、ヒットアンドアウェイで転移を繰り返しながら確実に倒すぞ」


「うん!」


「そっちで盛り上がるのはいいけどこっちにも早く手を貸せ」


『すまん、とりあえず作戦があるからそのまま、戦いながら聞いてくれ』


俺は念話でエルザに伝える。


『作戦ってなんだ?手短に』


念話に驚くような事もなくすぐに返答が返ってくる。


『俺の持っている〈転移眼〉を使って行きたいタイミングで好きな場所に転移させる。それで、少しずつダメージを与えるって感じで考えてるんだが出来そうか?』


『タイミングの合図は念話でやればいいのか?』


『ああそれで行こう』


『じゃあ、奴の後ろに転移させてくれ』


俺は、〈転移眼〉を使ってエルザを真正古代龍の後ろに転移させる。そして、転移したエルザがスキルで作ったであろう槍で、真正古代龍を貫く。


その後痛みからか真正古代龍の咆哮が響く。そして、此方を敵として認めたのかは知らないが手と尻尾を使って此方に攻撃をしてくるが俺たちは〈転移眼〉を使いすでにそこにはいない。攻撃が空を切った真正古代龍は少しの間動きを止める。そのタイミングに後ろから美月が斬りかかる。前回と同じように弾かれると思ったが、魔力の纏わせ方を変えたのかその硬い鱗が切り裂かれる。


おっと俺もやらないと。魔眼を使い周りの大気を凍らせ氷柱を作りそれを傷口に向かって放つ。当然それだけならば弾かれてしまうだけだがその上に重力魔法で加速させる。すると、貫通まではいかないが傷口に刺さる。これだけのダメージを受けた真正古代龍は痛みから正常な反応が出来ないのか尻尾を振り回している。


そんなものが当たる俺たちではない。その後も真正古代龍の攻撃を避けながら着々とダメージを与えていく。だが、それも、途中で終わる。


「ちょっと待て、何か変じゃないか?」


俺はエルザと美月にいう。


「確かに何か変かも」


「何か変だな」


いきなり動かなくなったと思ったら次第に色が変わっていく。どんどん赤黒く変わっていく。


「やばそうだからとっとと倒すぞ」


「うん、行ってくる」


美月は駆け出す。今さっきのように魔力を纏わせて斬りつける。だが、弾かれる。


「硬くなってる!!」


俺はすぐに〈転移眼〉を使い美月を近くに転移させる。


「大丈夫か?」


「うん、でもかなり硬くなってる。エルザの槍で貫けるかどうか」


「そうか、なら倒し方を考えないとな」


「大丈夫」


エルザが飛び出していき、その手には紅い槍を持っている。


「鮮血に染まりし紅き槍」


スキル名らしき物をいいながら、槍を穿つ。槍は真正古代龍の方に一直線に飛んでいく。そして、その槍が真正古代龍に命中しその体を貫き、エルザの手に戻ってくる。


「そのスキルはどういう物なんだ?」


「後で説明する」


それもそうか。俺も攻撃するか。〈転移眼〉で周りで崩れた瓦礫を貫かれたところに転移する。


「私も行く。付与、絶対刃アブソリュートフレイド


美月が駆け出し真正古代龍を斬る。付与魔法のおかげだろう今度は弾かれずに鱗を突き破り肉をも斬り裂いた。その後今までと同じように咆哮が響く。だが、いつもと違うということがすぐに分かった。それは……


「魔法が消えた!!」


「こっちもスキルの効果が切れている」


俺の方も同じだ。前に登録していた転移先が消えている。あいつの咆哮にこんな力があるとは、


「魔法が切れただけなら今さっききったところを切れば問題ない」


美月がそういってまた、敵に向かって1人で駆けていく。


「だから、1人で行くなって言ってるだろ」


その後をエルザが追いかける。だが、時はすでに遅く美月は真正古代龍に斬りかかっている。だが、いつもなら受け止められないはずなのに着られる場所がわかったからだろうか今度は対応してきた。ちょうど尻尾が美月の刀に当たる。そして、刀は尻尾を切ることは叶わず美月と共に吹き飛ばされる。それもかなりのスピードでだ。ステータスの高い美月とは言え、まだ7歳の子供だ。それがあんな攻撃を食らえば、

最悪な未来を想像した俺は〈転移眼〉を使い美月の元へと駆け寄る。大丈夫そうだ。ダメージを受けて気絶しているだけのようだ。


「紅夜、美月を連れてここから離脱しろ」


「そんなことしたら、エルザを1人で置いていくことに」


「大丈夫だ。早く戻って来てくれれば」


できるなら美月を退避させた後に援護に行きたいが、エルザを1人にすることはできるだけ避けたい。そんなことを考えていると真正古代龍からの攻撃が飛んでくる。


「早く退避しろ」


エルザが何かを言ってくるが、間に合わない。敵の放った風が俺たちに襲いかかろうとしてくる。俺だけなら逃げられるだろうが下手すると美月の命が危ない。そう思った俺がとったとっさの行動は美月を守ることだ。重力魔法と魔眼の双方を使い、攻撃を防ごうとする。だが、その盾も突破され攻撃が俺を襲う。


俺はその攻撃を喰らい今にも気を失いそうになりながら振り向き、美月の様子を確かめる。よかった。美月は無傷でダメージもそんなに食らってない。そして、俺はそのまま気を失った。気を失う直前俺の心にあったのは美月を守れたことに対する安心と自身に対する怒りだった。




次の話でダンジョンでの話は終わると思います。

皆様のおかげで総合評価200pt届きました。ありがとうございます。今日は学校があったので書かないつもりだったのですがあまりの嬉しさに書き上げてしまいました。

これからもこの作品をよろしくお願いします。

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