概念兵装タナトス
投稿遅れてすみません。テストやら何やらで忙しくてこんなにも投稿が遅れてしまいました。夏休みは旅行やらなんやらがあって投稿できない時もありますがそれ以外は投稿していくのでよろしくお願いします。
過去の試練を抜けた俺たちは元のあいつのいた場所に戻ってきた。すると、そこには既に美月が居てあいつと会話している。
「遅かったね。紅夜君」
「何かあったの?紅夜」
「まあ、少しな。それで、美月の試練はどんなのだったんだ?」
「えっと」
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「どうしたんだ?美月?」
目が覚めると、彼、紅夜が私の前に立って聞いてきた。そして、今私たちがいるのは綺麗な湖。前に紅夜と一緒にクエストのために行った事のある湖だったきがする。
「どうしたんだ?ずっと黙ったままで」
また、紅夜が私に尋ねてくる。なるほど、これが私に対する試練なのだろう。現在の試練なのだと思う。確かにこれは私向けの試練なのだろう。過去に対しての思い入れもなく未来への希望があるわけでもない私には。
「だけど」
「どうしたんだ?」
「だけど、今のままなんて絶対に嫌!!」
紅夜の事が好きだから、今のままなんて絶対に嫌、このままの関係で終わるなんて絶対に嫌だ!!
「いきなり大声出して、何が嫌なんだ?」
偽物の紅夜が何かを言っている。だけど、そんな事は気にならない。ただ、私は刀を抜く。
「敵なんていないぞ。美月、なんで刀なんて抜いているんだ?」
また、何か偽物が言っている。私は刀を振るう。すると、鏡の割れるような音がして偽物が消えて無くなる。その後私は〈魔眼〉と〈干渉眼〉を使う。すると、見えてくる試練の構造。ドーム状に魔力によって包まれている、そんな感じの構造になっていた。私はそれを断ち切るために刀に魔力を纏わせる。
この試練にはきちんとした解き方があるのだろう。だけど、それをどうすればいいかなんて私には分からない。だから、私に出来るのはただ、断ち切るだけ。だから、私はこの試練を切り裂いて終わらせる。正しいやり方なんて知った事ではない。ただ切り裂く。
「我流抜刀術、断空」
一筋の亀裂がどんどん広がり最終的に崩れ去る。その後光に包まれて視界が閉ざされた。
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「やっぱり内緒」
美月が顔を赤くしながらそう答えた。
「試練の中身までは言わないけど攻略方法なら教えてあげられるよ?」
あの男が答えてくる。
「どうやったんだ?」
「美月ちゃんが、刀で結界を一刀両断したんだよ。そのせいで魔法具もこんな具合に」
そうやって見せてきた物は、真ん中から綺麗に割れている。
「まあ、もう使う予定はないから別にいいんだけどね」
「どういう事だ?」
ダンジョンって何度も攻略される物じゃないのか?
「本来はそうなんだけどここは違うんだよ」
「さらっと心読むのやめろ。それで、どういう事だ?」
「不思議に思わなかったのかい?階層主が一度倒したらもう二度と出てこなかった事に」
そういえばそうだな。でもそういえば
「エルザが一回倒したんじゃないのか?」
「いや、私は倒してないぞ。元々私は追われていたのだ、倒してしまうより回避したほうが追ってくるものの足を止められるだろう」
「それもそうか」
「そういう事だよ。そして本題に戻すとここはある物を隠すために造られたダンジョンだからだよ」
「ある物っいうのはなんだ?」
「その話をする前に確認だけど君達は概念兵装の事を知っているかい?」
「ああ、少しなら」
「私も少しだけなら」
「私は知らないな」
「なら、まずその話をしよう。概念兵装は2種類の物が存在する。1つ目は1文字で表現される概念だ。例を挙げると『死』『天』などが存在する。2つ目は複数文字で表現される概念だ。例を挙げると『鍛治』、『厄災』などがある。この二つだと前者1文字の概念兵装の方が強い力を持つ」
「説明だけ聞くと後者の方が強そうだけど」
「確かに後者の方がやれる範囲は広いが浅くしかできないんだよ。『鍛治』は補助程度しか役に立たないし、『破壊』の方は破壊はできても破壊し尽くすことができないから中途半端って事。
じゃあ本題に戻らせてもらうと此処には先ほど挙げた『死』の概念兵装タナトスが存在する。だけど、それは一度死んだ物出ないともつ事ができないんだよ。だから、誰かが、誤って触れないようにダンジョンに隠していたんだよ」
「一度死ん出なきゃいけないって不可能じゃないのか?」
エルザが尋ねる。
「確かにね。だけど何事にも例外はある。彼のようにね」
なるほど、転生者ならばこれを持つ事が可能という事か。そしてこの雰囲気は説明しないとか。
「それが、私に隠していた秘密なの?」
「そうだな。まあ、今から説明するけどな。何から話した物かな」
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俺は一通り前世の記憶を持っている事、前世でどうやって死んだのか、元々どんな場所にいたのか、そして神様にあって何を話したのかなどを事細かに説明した。
「そんな事で私が紅夜を嫌いになると思ったの」
「いや、そんな事は……あったかもしれない」
俺は怖かったんだ。拒絶される事が、1人になるのが、前世と同じように。いや、前世は前世だ、忘れる事はできないけど今を生きる事を優先しよう。
「まだ、何か隠してる事はある?」
「いや、もう無い」
「なら、いい。だけど、もう二度と隠し事はしないで、私は紅夜の事ならなんだって受け止めるから」
「うん、隠し事はしない」
「そろそろ、こっちの話に戻してもいいかな?」
タイミングを見計らってあの男が話しかけてくる。
「ああ、いいぞ」
「そういう訳で、話を戻して、君に概念兵装タナトスを渡す訳だけど大丈夫かい?」
「なんでだ?」
「タナトスは切り裂いたものに死を与える概念兵装。死という単純な概念であるから、その力も強い。元日本人の君が命を奪う重みに耐えられるかが心配でね」
「それなら、大丈夫だ。もうその覚悟はできている。どれだけの魔物を狩ってきたと思っているんだ。命を奪う覚悟位とっくに出来ているさ」
「それなら安心だね。後もう一つ確認。此処の下にある最終階層に挑戦するか否かを」
「最終階層ってなんだ?」
「ダンジョンとしていうなら51階層にあって、もの凄い強い敵がいる階層だよ。まあ、ゲーム風に言うなら裏ボスみたいなものかな」
「今しか挑めないのか?」
「うん、タナトスが無くなるとこの迷宮は1日で崩壊するからね」
「なら、少し待ってくれ」
俺たちは少し話し合った後に結論を出した。
「せっかくだしやってやるさ」
「私の実力がどれくらいなのか試してみたいから」
「私もどのくらいその、裏ボスってのが強いのか気になるしな」
「なら決まりだね。じゃあ、渡すよ大事に使ってねこの概念兵装タナトスを僕の魂を」
「どういう事だ?」
僕の魂ってのはどういう事だ?
「概念兵装ってのは、転生者の魂でてきているんだよ。だから、この世界にある概念兵装は転生者の数くらいあるって事。じゃあ、よろしくね。僕のとっておきを倒してくれよ。楽しみにしているよ」
そうしてあの男、夢魔海燕は消えていった。
「じゃあ、行くか」
「うん、私がどのくらいの事ができるのか試すうってつけの機会」
「私も、真祖と言われているんだやれる事はやってやるさ」
そうして、俺たちは裏ボスのいる、51階層に潜っていった。
紅夜、美月の年齢を2歳プラス、苗字を暁から神代に変更しました。




