迷宮
ごめんなさい。今回はかなり短めです。ゴールデンウィークには、書けないと思うのでなるべくストックを増やしておきたいのでこれからも短くなるかもしれません。
あれから1ヶ月、あのとき行った寿司屋にはよく行っている。まあ、高いから最初の日ほど食べられはしないが満足のいくくらいには食べられている。
その後色々なクエストに行ったが、なかなか骨のあるやつはなくて少し残念がっていたが、その事に今後悔している。
何故かって?そりゃあ、今俺が現実逃避してる理由でもある。
「紅夜、変なこと考えてると追いつかれるよ」
「分かってるよ美月」
俺たちの後ろにいる、目視で確認できるだけでも100は超えているだろう、魔物達だ。何故そんなに魔物に追われているかというと、今俺たちのいる場所は迷宮財宝や伝説兵装などのある場所だ。そこには外とは比べ物にならないくらいの魔物が存在する。
理由は定かではないが、多く存在する魔物は殺すと体が消え、魔石だけになる。学者の考えだと外にいる魔物は迷宮内の魔物と外の生物との雑種らしいから体が残るらしいが本当かはわからない。
そして迷宮の魔物の魔石は色々なことで使われる。例を挙げると、街灯などのランプや物を温める魔法具などに使われる。そのため、かなりの高価で買い取られているが、その代わり迷宮内の魔物はかなり強い。同ランクの魔物だったとしても迷宮の魔物の方が外5中1で同種の魔物を戦わせると中の魔物が100%の確率で勝つ。それほどに力量に格差がある。
「紅夜、紅夜!!」
「ごめん、なに?」
「〈転移眼〉使えないの?」
「ああ、使えない。迷宮内では転移関連のスキルは全て使えない」
「そう、なら何か現状を打開できる方法ない?」
「あったらもうやってる」
「そうだよね。とりあえず今は逃げる」
「そうだな」
本当に何かないのか?〈精霊の眼〉で辺りを見てみるか。よし!見つけた!
「美月、この先に小さな部屋があるから、その中に入るぞ」
「何をするの?」
「行ってからの言う」
「分かった。紅夜を信じる」
俺たちは、近くの小部屋まで、全速力で走り抜ける。
「紅夜、あそこ?」
「ああ、入ってくれ」
「分かった」
俺たちは小部屋に入る。その後すぐに俺は〈凍結の魔眼〉を使いドアを凍らせる。その後に〈乖離眼〉を使い此方から出る音や気配、匂いなどを全て乖離する。
「これで、取り敢えずは安心だな」
「本当だ。周りから音が消えた」
「ああ、さすがにBランク以上の魔物が出てきたら突破されるだろうけど、そこまでの魔物はこの層では出てこないからな」
「でも、これからどうするの?」
「取り敢えずは安心だと言っても迷宮は時間経過で姿が変わるから、ずっとここにいるってわけにもいかないしな」
「うん、だから安全に脱出する方法はない?」
「探してみる」
俺は〈精霊の眼〉を、使いこの迷宮を見る。この層から1層2層とどんどん下に降りていくと5層下のところに魔物の存在しないところがあった。
「〈精霊の眼〉で見てみたが方法としては3パターンある。1つ目はこのまま、体力を回復してから一気に入り口まで戻ること。メリットはどんどん魔物が弱くなるから魔物列車をしなくて済む可能性があること。デメリットは魔物列車をしてしまった時他者を巻き込んでしまうこと。
2つ目はこのまま、ヨーゼフが助けに来るのを待つ事。メリットは来てくれたのなら危険が少ないこと。デメリットは安全圏がいつまで続くか分からないこと。
3つ目はここから5層降りた所に魔物のいない所があるからそこまで降りてlevelを上げつつ入り口を目指すこと。メリットはlevelの上がりが良くなることと、食料が豊富であること。デメリットは危険度が高いことと、帰りが遅くなることの2つずつだな。
この3つの中ならどれがいい?」
「最後のかな。入り口まで全速力で逃げるってのもいいと思うけど、このままだと強くなれないから」
「美月がそう言うならそうしよう。それで、下の階層に降りるまでの階段は俺が〈精霊の眼〉で把握したから、すぐに降りられる」
「それなら、行こう」
「ちょっと待って。ここは体力を回復してからの方がいい」
「うん、ならそうする」
俺たちは4.50分ほど休んでから小部屋を出る準備をした。
「じゃあ、行くぞ。魔物は単独なら撃破。複数なら撃退で行こう」
「うん、外殻が硬いやつは紅夜に任せる」
「あいよ、それじゃあ、行くか」
「うん」
「じゃあ、カウントで外に出るぞ。3.2.1GO」
その掛け声とともに俺たちは外に出る。始めの時ほど魔物はおらず、近くの魔物を撃破しながら階段へと向かっていく。
「そろそろで階段だ。もうちょっとの辛抱だ」
「うん」
魔物を撃破しつつ階段に近づき階段につき降りていく。
「魔物の足止めをする。ちょっと待っててくれ」
〈凍結の魔眼〉を使い氷の壁を作る。念の為に三重にしておこう。
「行くぞ」
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そんな事をあと4回繰り返しやっと、20層までやってきた。
「長かったな」
「うん、でもなんでここには魔物がいないのかな?」
「それは、分からないが、ここを探索してれば分かるだろう」
「そうだね。それで、ここは二手に分かれて探索する?」
「そうするとしよう。なにかわかったら〈念話眼〉で呼んでくれ」
「分かった」
「じゃあ、取り敢えず一旦別れるか」
そう言って俺たちは別々の方向を探し始める。俺は森の方を、美月は遺跡の方を探す。
森の中を探索しているが何もない。いや、あるにはあるけど外と変わらないなんの変哲もない果実なんかがある。不思議だな。それと、森を抜けた所に海もあった。この階層だけ異様に広く感じる。だが、その秘密はこっちにはなさそうだし、食料でも探しておくか。
そうやって食料を探すこと小一時間ほど経った時、美月から念話が届いた。
『紅夜、遺跡の中で妙な物を発見した。何か書いてあるけど全く読めない』
『分かった。すぐにそっちに向かう。あと、どんな文字か見たいから視界を少し借りてもいいか?』
『うん、いいよ』
美月の了承を得て俺は〈支配の眼〉を使い美月の視界を少し借りる。そして、俺の眼に入ってきたのは前世でも馴染み深い日本語だった。
『この文字なら読めそうだからすぐにそっちに向かう』
『うん、分かった。待ってる』
念話を切り俺は一直線に美月のいる遺跡の方に向かった。
「お待たせ」
あれから20分くらいで着く距離に美月はいた。まあ、全速力疾走でやっと20分なんだけど。
「そんなに待ってない。この文字解読出来ないか試してたからそんなに退屈でもなかったし」
「それなら、よかった。それじゃあ、読んでいくよ」
「うん、私じゃあやっぱり分からないからお願い」
「うん、じゃあいくよ。
『やあ、恐らくこの文を呼んでいるのは、転生者だと思うから始めの説明は省くよ。まず始めに僕は、覇暦567年に転生した転生者であり、自信を転生させた神、邪神を封印した、10英雄と呼ばれていた内の魔の英雄クルドル・ゼーベルだよ。まあ、君たちのいる時代にその話が残ってるのかわからないけどね』




