寿司
「あっ、知らない天井だ」
「何を訳の分からないことをおっしゃっているのですか?」
いや、このネタを知っている人だったら1度はやってみたい物だと思う。
「えっと、それでここは何処?」
「ここは、ギルド内にある医療施設となります」
「なんで、そんな所に?」
「覚えていらっしゃいませんか?ヨーゼフ様と戦いになってなんとか一矢報いた所できぜつなされたのです」
思い出してきた。最後何かよくわからない攻撃をされて気を失ったんだ。最後のはなんだったんだ?何か見えない攻撃をされたんだ。〈永劫の魔眼〉を使っていたから早い攻撃ってのは無いはすなんだけど。
それにしても、勝てなかったな。だからこそ、次は勝つ。猶予は3年、学園に入るまでにはあいつに勝つ。それまでに強くなる。levelも含めて能力値やスキルなんかでも。そのためにも多くのクエストを受けて、色々なところに行かないと
「美月は今何処にいるんだ?」
「美月様は、先程までは看病をされていたのですが、お疲れのようで先程眠ってしまいました」
「そうか」
なら、探索は明日だな。今日はまた寝るか、と思ったけど腹減ったな。
「食べ物とかって無いの?」
「ありますよ。ギルドで作っているご飯がありますがいりますか?もちろん、有料ですが」
「うん、じゃあそれ貰おうかな」
有料とは言っても、そんなに高く無いだろう。
それを10数分で食べきり気になっていたことを受付嬢に聞く。
「そういえば、なんだけどあんたって名前なに?」
「そういえば、言っていませんでしたね。私はマリーナ・ライナスです。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
「それと、紅夜様のギルド証は後少しで発行されます」
「試験が終わったらすぐに発行されるんじゃなかったのか?」
「はい、本来はそのはずですがあなた方が異質だったのです。本来であればlevel差が500以上ある場合は傷を負わせることなんてでき無いはずなんです」
「あの2人ってそんなにlevelが高かったのか?」
「はい、ランク毎のlevelを大まかに言うと、
F.Eランクは1〜30程
Dランクは30〜100程
Cランクは100〜300程
Bランクは300〜500程
Aランクは500〜1000程
Sランクは1000〜となっています」
「そんなにlevelが違ったのか」
「はい、ですからこちらとしては対応に追われています。まだ2桁にも達していないlevelでAランクの冒険者とBランクの冒険者に傷を負わせたのですから。それも、美月様は治療が、必要なほどの傷を、負わせたのですから。
そして本来、試験を受けてはいる冒険者は最高でDランクと定めていたのですがあなた方はCランク相当の実力はありますから。なので、どのランクにするか会議中なのです」
「そうだったのか、でも、俺は負けたよな」
「当たり前です。まだ駆け出しの冒険者が勝てるほどAランクの冒険者は甘くありません」
「そうだとしても、俺は何をされたのかもわからないままやられたんだ」
「ならば、強くなればいいんです。まだまだ、紅夜様は成長の見込みがあります。なので、魔物と戦い経験を積んで下さい。そうすればあなた達は強くなります」
「なんで、そんな事分かるんだ?」
「長年、冒険者を見てきた勘です」
はは、そりゃあ、信用できるな。なんか理由付けたやつなんかよりはずっとな。
「なら、その事を信じてやってみるとする」
「そうですか、それなら、今日はまたお休みになられた方がよろしいですよ」
「そうする」
俺はまだ、今日の疲れが取れていないないのか横になってからすぐに眠りに落ちた。
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目が覚めると朝になっていた。
「紅夜様、朝ですよ。起きていますか?」
「ああ、起きてる」
「そうですか、では準備が終わったら出てきてください。ギルド証の受け渡しなどがありますから」
「わかった」
そう言われ俺はそそくさと準備を始める。準備も整い、俺は部屋を出たると、マリーナが外で待っていた。
「紅夜様、こちらでギルド証などをお渡ししますのでついてきてください」
そう言って歩き出すマリーナについていくと、1番最初にいたあの受付についた。
「こちらで、ギルド証をお渡ししますので少しお待ちください」
「わかった」
しばらく経つとマリーナは手にギルド証を持ち戻ってきた。
「こちらが、紅夜様のギルド証となります。先日言った通りランクはDランクで、そして特例として本来だとDランクエリアまでしか行けませんが、Cランクエリアまで行けます」
「そんな、特例を認めてもいいのか?」
「はい、冒険者ギルドとしてもあなた方のような優秀な人材を低levelで置いておくのは損でしかありませんから」
「それもそうか」
「それと、Cランクに昇格する為に必要な【亜龍】はCランクエリアである高霊山の山頂にいます」
「【亜龍】がいるのがCランクエリアだとどうやってそこにDランクの冒険者が入るんだ」
「それは、ギルドがこの人ならと思った人に対して昇格クエストを出すのです。それに、低ランクの冒険者が、高ランクのエリアに入ってはいけないというわけではなく、そこで行われるクエストが受けられないだけなので、【亜龍】さえ討伐してくれば昇格クエストを受けていなくても問題なく昇格できます」
「そうなのか」
「はい、それと昨日言っていたお金の件ですが昨日の食事代などを引き23万2000円入っています」
「そんなに高くないんだな」
「そうですか、ギルド内の物は周りより少し安めですが言うほど安くありませんよ」
「いや、魔物の売買額が高かったから食事なんかも高いと思って」
「それは、あなた方の持ってきた魔物の量がおかしいのです。普通あの量を1日で狩るのは駆け出しどころか2年目の冒険者でも不可能ですよ」
「そうだったのか、田舎暮らしが長くてそういう事情を知らなくてな」
「そうでしたか、それなら、分からないことがあったら私どもに聞いてください。分かる範囲でお答えしますから」
「それは、助かる」
そんな会話をしていると後ろから声をかけられた。
「紅夜、大丈夫だったの?」
後ろを振り返ってみると美月が心配そうに俺の事を見ていた。
「ああ、大丈夫だぞ」
「それなら、よかった」
美月は安心したのかその顔には安堵の表情が浮かんでいた。
「美月様、紅夜様、今日も狩りに出かけるのですか?」
「いや、今日はこの国を散策しようかなと思ってる」
「うん、こんな大きな都市に来るのは初めてだから楽しみ」
「そうですか。明日クエストを受けようと思っているのなら契約金分のお金は残しておく事だけお気をつけください」
「わかった」
「うん、気をつける」
そう言うと俺たちはギルドを出て、帝国探索をはじめる。
「美月、なにから見に行く」
「私はなんでもいいけど、紅夜はなにが見たい?」
「俺もなんでもいいかな」
俺も美月もあまり物欲の多いほうじゃないからな。
「じゃあ、目的地を決めずに適当に歩いて気になったところに入るか?」
「うん、そうしよう」
俺たちはそう決めて適当に散策を始めた。
「美月、はじめは気づかなかったが結構亜人っているんだな」
「うん、そうだね。私達のところには1人もいなかったからなんか珍しい」
「ああ、といっても家から出た事ないから俺たちの国に1人もいないかは知らないけどな」
「私もそこら辺は知らない」
そんな会話をしていると、前から見知った顔が歩いてくる。
「紅夜と美月じゃねえーか、なにしてるんだ」
俺の試験を担当したヨーゼフだ。
「この国の散策、ずっと田舎暮らしだったから珍しくて」
美月が答える。
「そうか、なら一緒に来るか?今から飯食いに行くんだが。もちろん代金は俺が持つぜ」
奢りならいいか。
「俺はいいけど、美月は?」
「私も別にいい」
「それなら、決まりだな」
それから歩く事10分ほどしたところに店はあった。そこは裏道にある、こじんまりとした店だった。
「着いたぞ。ここが俺行きつけの寿司屋銀将だ」
そう言って店の中に入っていくヨーゼフと一緒に店の中に入る。
「おかみ、今日は期待の新人を連れてきたんだが3人席空いてるか?」
「空いてるわよ。というか、ここが満席になんてなる事ないのはあんたも知ってるだろ」
「はは、偶然空いてないなんてこともあるかもしれないからな。一応だよ」
「はー、それでそこのが、期待の新人かい」
「ああ、そうだよ。名前は」
「俺は神代紅夜、紅夜が名前で、神代が姓だ」
「私は神代美月、紅夜と同じく美月が名前で、神代が姓」
「そうかい、私はアーシャ・イグニスだよ。寿司を食べるのは初めてかい」
「俺は食ったことある」
「私はない」
「なら、今日は王道から出すかな」
そう言って厨房に入っていくアーシャに対してヨーゼフは
「俺はおかみの、おすすめでいい」
「分かったよ。というかあんたがそれ以外注文したことないだろう」
「それもそうだな」
料理が出てくるまでの暇な時間俺はヨーゼフと会話することにした。
「この国にも寿司ってあったんだな」
「いや、ここだけだぞ。その証拠に美月は寿司がなんなのかも分かってなさそうだしな」
「美月、寿司知らないのか?」
「うん、だから楽しみ」
「それなら、期待に応えないとね」
「お、もう出来たのか」
「はいよ。はじめはマグロとサーモンの握りだよ」
そこには前世でよく見た寿司があった。
「ここに皿があるからここに醤油を入れてそれにつけて食べるんだよ」
「うん」
美月は初めて食べる寿司にすこし躊躇いながらも醤油を付けて口に入れる。すると、美月の顔はパーっと晴れて次の寿司を取り食べ始める。
「おお、美味かったのか、どんどん食え。育ち盛りなんだからたくさん食わないとな」
「ヨーゼフ、山葵を置いておくよ」
「おう、それと遠出していて最近寿司を食ってないからどんどん持ってきてくれ」
「わかったよ」
「頼んだぜ」
そう言って、アーシャは厨房に戻っていく。
「紅夜、お前は食わないのか?」
「食べる。醤油と山葵取って」
「ん、お前も山葵付けるのか?」
「うん、そっちの方が好きだから」
「なら、もう少し持ってきてもらうか、おかみ、次来るとき山葵追加で持ってきてくれ」
「分かったよ」
「頼んだぞ。それで、この山葵は紅夜が使え。俺は次が来るまで待つからよ」
「いや、俺が待つ。だからヨーゼフが使って」
「いいよ、今さっき言ったが育ち盛りなんだたくさん食え」
俺はそう言ってきたヨーゼフに甘えて先に戴く事にした、




