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Bランク冒険者VS美月

俺たちは試験を受けに行くために受付嬢について行っているとき、気になっている事を受付嬢に質問をした。


「なあ、なんでBランクの冒険者なんだ?」


「それはですね。冒険者にはある所に壁が存在します。それがBランクの所です。殆どの冒険者はCランク止まりでそれ以上に上がる冒険者は数少ないです。新規の冒険者でもかなりの実力を持った方がいますからBランクの人が試験を受け持ちます」


「なるほど、強い奴がいた時でも余裕で対処できるからBランクの冒険者に試験を頼むのか」


「はい、凡その方ではBランクの冒険者であれば対処できますから」


「壁っていうのは他にも存在するのか?」


「はい、AとSに上がることです。Aランクは世界中を探しても恐らくは50人いるかいないかくらいでSランクにいたっては世界で5人ほどしかおりません。AランクSランクともにどちらも一握りの人間にしか到達出来ないランクです」


不意に受付嬢は立ち止まり俺たちの方を振り向きこう言った。


「着きました。ここが冒険者ギルドに存在する訓練場となります。ここで、あなた方の試験を行います」


その中に入ると眼に入ったのは薄い魔力で出来た結界の様なそうだった。


「なんだこれは?」


「もしや紅夜様は魔眼持ちなのですか?」


「ああ、そうだが」


「ならばこれが見えてもおかしくはありませんね。これは、エルフの中でも能力の高い者である、ハイエルフが作った結界です。この結界は神話クラスの魔物の攻撃でも数撃なら防ぐことのできる物なのです」


神話クラスの魔物の攻撃でも防げるのか、もしかしてそいつがSランクの冒険者の1人か?


「なあ、この結界を作った奴がSランクの冒険者の1人なのか?」


「はい、Sランクの冒険者の1人でもあるハイエルフのリスティー・フレイア様です。Sランクの冒険者の中では珍しく自身の拠点を持って活動している冒険者です」


「拠点を持ってってどういうことだ?」


「それは、」


「そろそろいいか?」


後ろから冒険者らしき男の人が声をかけてきた。


「ああ、すみません。先ほどの話は後ほどにと言う事で。では、お三方こちらへどうぞ」


「えっと、誰?」


美月が新しく登場した人に当たり前な質問をした。


「ああ、まずは自己紹介だな。俺はBランクの冒険者をやっているグライド・リードルだ。今日はお前達の試験を一任された冒険者だ」


こいつがか、主武器は両手剣、魔法の使用は魔眼を使わないとわからないが、今はいいか。


「じゃあ、今度はこっちの自己紹介だな。俺の名前は暁紅夜。紅夜が名前で、暁が姓だ。それでこっちの彼女が」


「暁美月、紅夜と同じで紅夜が名前で、暁が姓」


「よろしくな。それでどっちからやるんだ?」


俺から行こうかな。流石に女の子から行かせるわけには行かないしな。


「俺から」


「私から行く」


俺が言いかけた所にかぶせるように美月が言った。


「いいのか?別に俺からでもいいが」


「私からやりたい。私がどれくらい戦えるのかが知りたいから」


「そうか、なら分かった。行ってこい。応援してるから」


「うん!」


美月は満面の笑みで訓練場の方に向かっていく。


「それでは、始めましょうか」


受付嬢は訓練場の方に向き他の冒険者達に大声で伝える。


「皆さん、今から入会試験を行いますので少しの間脇に避けていてください」


すると周りから悪意の混じった声が聞こえる。


「チッ、公約だから従うけど面倒せいよな」


「それに戦うのはあんなガキだろ。どうせ受からねぇーんだから」


「それに戦うのはグライドだぞ。手加減し損ねて怪我させねぇーか心配だしな」


まあ、まだ6歳だし。しょうがないがいい気分にはならないな。


「気にするなよ」


「うん、周りに実力を示して分からせてやればいいから」


美月は夜叉を持ち訓練場の中に歩いていく。


「おう、来たかお嬢ちゃん」


「自己紹介したはず。私の名前は美月」


「そう呼ばれたかったら俺に実力を示してみせろ」


「その言葉忘れないで」


「ハハハ、まだ6歳のガキが出来るものならな」


美月の顔には怒りの表情が浮かんでいる。


「美月、落ち着け!」


俺が注意をするようにそう美月に言った。


「大丈夫」


そう言って美月は夜叉を鞘から抜く。


「おお、それがお嬢ちゃんの武器か、かかってきな初撃くらいはくれてやるよ」


「その言葉後悔させる」


美月は身体強化を使いながらグライドに近づきある程度近づいた所で急加速して後ろに回り込みグライドに斬りかかる。


“キンッ”


「よっと」


グライドはなんなく美月の刀を受け止める。さすがBランクの冒険者という事だ。


美月は自身の身軽さを使いすぐさまグライドから距離を取る。


「おお、距離を取ったら試験にならないだろ。と言いたい所だがBランクの冒険者を舐めすぎだ。炎弾(ファイアーボール)


魔法か、やはりBランクとなると魔法も使えるか、だが魔法による攻撃の対処は美月の得意分野だ。

美月は夜叉を炎弾に向かい一振りする。すると火は一瞬にして消化される。


「おい、どうなってんだ?炎がたった一振りで消えるだと」


グライドは驚いてはいるがすぐに冷静さを取り戻す。

まあ、驚くのも無理はないか恐らくあれは炎に〈干渉眼〉で干渉し炎に対する酸素の供給を断ち切ったのだろう。〈干渉眼〉俺自身は試した事はないがあの魔眼で出来る事はかなりの量がある。


「ならこれでどうだ?石人形(ゴーレム)


石なら切られないと思ったのか石人形を出してくる。残念だが、美月には通じないだろう。教えた頃が子供だったからか元々物覚えが良いのか分からないが美月は俺の教えた事をほとんど全て覚えている。理解はしていないがその事は知っているという感じだ。

だから今度も大して変わらない結果になると思う。


「こんなもの私に切れぬ道理はない」


美月は石人形に向かい夜叉を振るう。するとまるで石人形が豆腐か何か柔らかいものであるかのようにすんなりと切れる。これまた推測だが恐らく原子同士の結びつきに干渉しているんだと思う。これは他の物質でも同じ事がいえる。


防御不能の剣か、この世界の人間には真似のできないやり方だしえげつないな。


石人形が切られた事に驚きの隠せないグライド。


「どうやってるんだ?俺でも石人形を切り裂く事は出来るがそんなすんなりは切れねぇーぞ」


「そんな事も分からないの?見下していた新規の登録者の技なのに」


今度は美月がグライドを挑発する。


「ほう、魔法はなぜか防がれるみたいだし近接戦に移るとするか」


グライドは身体強化と〈魔闘技〉を使い美月に急接近する。美月はそれを対処しようと夜叉を使いグライドの両手剣を叩き切ろうとするがグライドに軽く受け流される。


「その程度か?ちゃんと打ち込んでこないと勝てないぞ」


「そんな事は分かってる」


だが、何度美月がグライドに向かい刀を振るってもグライドはなんなく刀で反らしたり躱したりしてまともに当たらない。

だめだ。美月の奴頭に血が上ってやがる。まだ6歳だからしかたがないがなんとか落ち着かせないと。


「美月、落ち着いて頑張れ!」


俺は大声で美月に声援を送る。すると、少し戸惑ってからいつもの冷静さを取り戻した。美月は冷静さを取り戻したあと刀を鞘に納める。


「おお、お嬢ちゃんもう降参か?」


「そんな訳ない」


その後すぐさまグライドから距離を取るように身体強化を使い移動しようとする。だがそれを許すグライドではない。グライドは身体強化と〈魔闘技〉を使い美月を追いかけようとするがそこで、美月が〈干渉眼〉を使いグライドの魔力に干渉する。僅かな効力しか生み出せなかったが突然切れた身体強化と〈魔闘技〉に驚き一瞬隙が生じる。その瞬間美月は〈抜刀術〉の構えに入る。


「なるほど、お嬢ちゃんは〈抜刀術〉まで持ってるのか」


今までなら何か返すが今回は何の反応もない。それ程に集中しているのだ。美月の刀、夜叉の周りに魔力が集まり始める。だが、ここにいるのは殆どが人間のためそれを見る事はできない。美月はその集まった魔力を使い〈干渉眼〉を強化する。

今回美月が干渉しようとしているのは風、詳しく言えば大気である。美月が今回の受け答えをしなかったのは干渉する幅をなるべく細くするために集中していたからだ。刀よりも薄く、そして強固に

そのイメージが完成したのか美月は薄っすらと微笑み刀を抜く。そのスピードは今までとは比べ物にならない速さでそれは、美月の〈抜刀術〉のlevelが上った証拠だった。そして引き抜かれた刀から空気の刃が放たれる。さすがのグライドもこの速度には反応できず空気の刃を真正面から食らい、一直線の傷が出来、口から血を吐く。Bランクで防御が高いとはいえ威力とスピードに重点を置いた〈抜刀術〉を真正面から受けて無事であるはずもない。内臓でも傷つけたのだろうがまあ、俺の魔眼があれば治るし冒険者ギルドにも治癒術師くらいいるだろう。


「ガハッ、なんだ今のは?お前との戦いは今までにない事が多すぎだよ」


「これで、私を認める気になった?」


「ああ、分かったよ。これからは美月って呼ぶからよ」


「よろしい」


「でもなんでそんなに名前にこだわるんだ?」


「大事な人につけてもらった名前だから」


最後のはグライドにだけ伝わるような声量で言っていたためこちらには聞こえなかった。


「それで、怪我大丈夫?」


「いや、全然。早く治癒術師来て欲しい」


「それならすぐにこれる人がいる」


そう言って美月はこちらに走ってくる。


「紅夜、グライドの怪我治せる?」


内臓まで傷ついてると治しにくいな。ならそうだ、直せばいいんだ!


「ああ、直せるぞ」


「ほんと!」


「ああ、今行くから」


俺は少し急ぎめに歩いてグライドのもとに行く。


「盛大にやられたな」


「本当だよ。試験だからって油断してたらってこれはいい訳だな。戦いで手を抜いた俺の負けだな」


「そうか、あと少し待ってくれ」


〈治癒の神眼〉を使いグライドの傷を完全に治し切り、その後〈復元眼〉を使いグライドの服や剣の傷などを直していく。〈復元眼〉で直しきれないものは諦めるか、どうせまたいつか〈復元眼〉の上位互換も開眼すると思うからな。


「なおったぞ」


「おう、助かる。それで次はお前とやるのか?」


「ああ、予定としてはその予定だな」


「仕方ないが少し休んでから再開だな。俺も少し疲れたから休みたいしな」


「まあ、仕方ないか、分かった少し経ったら再開するって受付嬢に伝えてくる」


「ああ、頼む」


俺たちは納得し俺は受付嬢に伝えるためにギルドの正面へ、グライドは、疲れを取るため自室に戻ろうとした時空から奇怪な声がした。


「双方ら待たれよ。その勝負私が代理で受けようぞ」


2本刀を腰に下げているいかにも侍といった格好をしている奴が現れた。皆んなは驚いては身動きが取れなさそうなので俺が聞いてみる事にした。


「えっと、あなたは誰?」




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