図書館
この収容所にナイトたちが来てから4日経った。
「はあー、もう4日目か、この図書館に通うのもあと3日くらいになるのか」
この収容所では個々やることは決められていない。個々が自身にあった修行や勉強などをして過ごしていく。
「まあ、とは言っても1日中図書館に籠っているのは俺ぐらいだろうけどな」
決められた事がないからずっと本を読んでいるやつはそうそういない。何故ならやらないと戦争に出された時にすぐに死んでしまうからだ。そういう訳で殆どのものが剣や魔法の修行をしている。
「俺は剣も魔法もまだ使うつもりは無いから関係ないけどな。まだ魔眼で対処したほうが早いし」
この4日間で図書館に籠り調べられた事の中で多くの魔眼使いの情報を見たが俺の持っている〈灼熱の魔眼〉のような上位のものは少なく、下位から中位とされている〈炎の魔眼〉や科学なんかが発展していないから〈魔眼〉で見れるものが少なくその影響で〈干渉眼〉〈反転眼〉などの使い道が限られてしまったりしている事などだ。
だからこそナイトはニーナに対して前世の記憶を使い重力などの原理を教え〈魔眼〉により可視化できるようにさせた。
「あと3日なんの本を読むか、ああそうだ、まだ魔王の事を調べてないな。それにするか」
そういいナイトの取った本のタイトルは
“悪しき王と裏切りの魔女”
魔王がやった事とその妻である裏切りの魔女ステラのやった事を書いてある歴史の本だ。魔王の出てくる物語だと勇者に退治され英雄譚となるがここでは倒されていないので歴史の本として残っている。
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「ふー、やっと読み終わった」
読み始めてからだいたい5.6時間はかかっているだろう。
「やっぱりこの国の魔眼嫌いは魔王のせいか」
前に聞いた通り魔王は田舎で生まれたと書かれていた。そこら辺は氷麗から聞いた通りだった。魔王の能力はあやふやではあったが少し記載されていた。
例えば何もないところから色んなものを生み出したり、発動している魔法を無効化したりなどが書かれていた。
「魔王の能力はよくわからないな。他の本も読んでみるか」
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「はあーやっぱりどの本も似たり寄ったりの事しか書いてないな」
「ナイト、そろそろ夕食だけどここにいる?」
「ああ、いるぞ。もう、そんな時間か。本を置いたら行くから少し待っててくれ」
「うん、待ってる」
本をとっとと本棚に片ずけて行くか
「お待たせ、じゃあ行こうぜ」
「うん、分かった。今日はどんな本を読んでいたの?」
「今日は魔王に関する本を読んでたんだけど魔王の能力がちゃんと書かれたのがなくてな」
「それならもしかしたら帝国の方にあるんじゃないの?」
「あるとは思うけど、こっちで調べられることは調べておいたほうがいいだろ」
「まあ、そうだね」
「♪〜♪〜」
あれ、なんか今日のニーナ少し機嫌がいいな。鼻歌歌ってるし、聞いてみるか
「何かいいことでもあったのか?」
「うん!でもなんで分かったの?」
「鼻歌歌ってるし、なんか機嫌がよさそうだし、そりゃあ、分かるよ。それでなにがあったんだ?
「今日やっと〈剣術〉がLV5になったの」
「だから機嫌が良かったのか、それで〈剣術〉はなんのスキルに変化できるんだ?」
「えっと、〈抜刀術〉〈双剣〉〈両手剣〉〈魔剣士〉〈聖騎士〉の5つかな」
「何になるつもりなんだ?」
ニーナは少し考えてから
「〈抜刀術〉を取ろうと思ってる」
と答えた。
「そうか、ここを出た後で訓練に付き合って欲しい時は言えよ。その時は手伝うから」
「うん、その時はお願いする」
ニーナは少し照れながら答えた。
それから少しして食堂に着き俺たちは夕食を食った後部屋に戻った。
「そうだ、ニーナは良いのか?出た後帝国に行くって言ったけど他に行きたいところがあったら言ってくれ」
「うんうん、別にいい。ナイトと一緒なら何処でもいい」
なんか、すごく懐かれたな。まあ、まだ5歳なのに親に捨てられたんだ、その後に仲良くなった俺に懐くのも無理はないか
「そうか、なら予定通り帝国に行って冒険者にでもなるか」
「それがいいと思う。冒険者になると国の中に入る時に掛かるお金がかからなくなるから」
「そうなんだ。日程は予定通り3日後でいいな」
「うん、そろそろATK.DEFなんかの上がりが遅くなってきたからそろそろlevelを上げ始めたいから」
「俺ももう上がらないからそろそろlevelをあげたいし早めに魔物なんかを倒してlevelを上げたいしな」
俺の場合は〈暴食王の邪神眼〉を使えば上がりはするがそろそろ効率が悪くなってきたしな。そろそろlevelの方を上げ始めるか
「そろそろ俺は寝るぞ。早めに寝て明日もやることをやらないといけないしな」
時刻はまだ9時をまわっていないが体がまだ6歳だからこの時間にはもう眠くなる。
「うん、私も寝る」
そう言ってニーナは俺のベットに入り込んできた。
「ニーナのベットはあっちだぞ」
「一緒に寝るいいでしょ?」
はあー、まあ別にまだ5歳だしいいか、
「はあー、今日だけだぞ」
「うん!」
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あれから2日
「今日、ニーナは外で訓練か?」
「うん、〈抜刀術〉のLVを早くあげたいから」
「そうか、じゃあまた夕食で」
「うん、また夕食の時間になったら迎えに行く」
「いや、今日はそんなに遅くまで本を読むつもりは無いからこっちが迎えに行くよ」
「分かった。じゃあ、待ってる」
「ああ、待たせないように早めに行くからな」
「うん、じゃあ行ってくる」
ニーナは早足で訓練場に行った。
「そんなに〈抜刀術〉のLVを上げたいのか」
俺はニーナを見送った後図書館に向かった。
今日は何を読むか?
考えながら歩いているとふとある本に目がいった。
「神話兵装を含む現存する希少兵装の所在か、読んでみるか」
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「1時間か、結構短かったな」
神話兵装、その名の通り神の名を冠する武器の名称であり神の名によって違う概念を司る武器でもあるため概念兵装とも呼ばれている。
そして今現存している神話兵装の数は5つとされている。他にもありはするが所在などか不明だと書かれていた。
1つ目は『天』の概念を司る神話兵装ゼウス、形状は短剣で所有者がいない時だと常に帯電している
2つ目は『海』の概念を司る神話兵装ポセイドン、形状は三叉の槍
3つ目は『火』の概念を司る神話兵装プロメテウス、形状は確認されていない
4つ目は『地』の概念を司る神話兵装ガイア、形状は確認されていない
5つ目は『死』の概念を司る神話兵装タナトス、形状は大鎌所有者を侵食しのちに死に至らせることもある。解除法は不明。
神話兵装ゼウスの所在は天空迷宮ゼウス、神話兵装ポセイドンの所在は海底迷宮ポセイドン、神話兵装プロメテウスの所在は灼熱迷宮プロメテウス、神話兵装ガイアの所在は地底迷宮ガイア、神話兵装タナトスの所在は死霊迷宮タナトスの中に存在する。
「これを読んで分かったことはこの名前をつけた奴は厨二病な地球人ということだけだな」
他にも伝説兵装や幻想兵装、古代兵装、固有兵装などがあった。
「まあ、俺にはまだ関係ないし他の本でも読むか」
それから探す事1時間ほど
「なかなかいい本が見つからないな。ここ無駄に広いんだよな」
これまたふと本が目に入る。
タイトルは創星シリーズ
俺はそのタイトルを見てすぐにその本を手に取りページを捲る。
「創星シリーズそれはかの魔王の持っていた〈創星の神眼〉と同系統のスキルでありそれは今までで多くて100年に2人少ないと200年に1人という少数の人数だけが持っている希少なスキルである。だがこのシリーズのスキルを使いこなしたものは魔王以外に存在しない。それは裏切りの魔女が述べている通り
…………(中略)…………私はこのシリーズのスキルの種類を探してみるとあることに気がついた。それは1000年間の間に存在する創星シリーズ保持者が10人を上回らない事、1000年間の間に存在する創星シリーズにはダブりがいないことの2つだ。ゆえにもしかすると魔王の誕生から1000年ほど経つ30年後には魔王が再来するのではないかと私は邪推している。
…………(中略)…………私が創星シリーズで確認しているものは現状7つ残り3つは不明である。1つ目は〈創星の神眼〉かの魔王が所持していたものである。
2つ目は〈創星の魔女〉裏切りの魔女ステラの持っていた称号である。
3つ目は〈創星の悪魔〉所有者は不明である。
4つ目は〈創星の天使〉所有者は聖雷天使。
5つ目は〈創星の騎士〉所有者は不明である
6つ目は〈創星の閃光〉所有者は紅光輝。
7つ目は〈創星の常闇〉所有者は不明である。
残りの創星シリーズは辺境の土地であるか敵国に存在すると思われるため不明である。それぞれの能力については調べがつかなかった。
創星シリーズの発見はかなり昔で明確に判明していない
…………(後略)…………
「ふー、やっと読み終わった。もう、こんな時間かそろそろニーナを迎えに行くか」
俺は図書館に出て訓練場のある外に向かった。