転生
俺は目が覚ますと何もない真っ白な空間にいた。
「何処だここ?なんで俺はここに居るんだ?」
ふと、思った疑問を口にしてみるが返答はない。
目が覚める前俺は何をしていた?
俺は目を覚ます前のことを思い返した。
たしか、友人の所でアニメの話で盛り上がって……何をしたっけ?えっと……ああそうだ死亡フラグだ。
アニメの中でどれ位の死亡フラグがあるのかを友人と一緒に思い出せる限り出して言ってからの記憶がないな。
「フォフォフォ、中々に冷静じゃのう」
「誰だ!?」
いきなり声をかけられ振り返るとそこには白い髭を生やした白髪のジジイがいた。
「儂か?儂はそうじゃなー神様のようなものじゃ」
か、神様!此奴の頭大丈夫なのだろうか?
「さらっと失礼な事考えるでないわ!」
「人の心を勝手に読むな!」
「読んでおらんわ、顔に出ておったわ」
そんなに出ていたのか!?次からは気をつけるか
「てか、神様ってのは本当なのか?」
「種族としては神様じゃがおんしの思っておるような神様らしい事はやっておらぬから神様のようなものじゃな」
「まあ、これ以上疑っても話が進まないし信じるとするか。それでここはどこだ?」
「なにか釈然とはせぬが、まあよいわ。ここが何処かという事じゃったな。ここは死後の世界のようなものじゃ」
「死後の世界って事は俺は死んだのか?」
「うむ、そうじゃな」
「死因は?」
「おんしは友人の家からの帰り道で車に轢かれて死んでしまったのじゃよ」
「……そうか」
「なぜ死んでしまったのに冷静でいられるのじゃ?」
「別に冷静って訳じゃ無い」
そういえばなんであいつはここを死後の世界のようなものと言ったんだ。
「なあ、なんでお前は今さっきここを死後の世界のようなものって言ったんだ?」
「ああ、ここには誰もが来れるわけでは無いのじゃよ。まあ、本来だと誰も来る事は出来ぬはずなのじゃがたまにここに来てしまうものがおるのじゃよ」
「ああ、だから死後の世界のようなものなのか」
「そうじゃな」
「それで、俺はこれからどうなるんだ?」
「うむ、おんしにはこれから異世界へ行ってもらう」
「異世界!?」
異世界ってこの爺さん本当に大丈夫なのだろうか、いや神様って時点でおかしいし今更か。
「うむ、そうじゃ。というよりここも厳密には異世界なのじゃよ」
「どういう事だ?」
「儂は地球の神ではなく異世界の神なのじゃよ。まあ、と言っても儂を崇めているもの達など殆どおらんがの」
「はあー、取り敢えず理解しておくがこのまま異世界へ行くのか?」
「いや、赤子の頃からというよりも転生のほうがおんしには分かりやすいかの」
まあ、そうだな。俺はよくネットで転生物の作品を読んでいたからその言い方の方が分かりやすいな。という事はもしかしてテンプレか?
「それならもしかして特典みたいな物があるのか?」
「うむ、あるぞ。おんしの望むものを与えてやる。そうでもしないとすぐに死んでしまうかもしれんからの」
「個数制限は?」
「一つじゃな」
「それなら魔眼をくれ。能力とかはお前の思う強そうなものでいい」
「本当にそれでいいのじゃな?」
「ああ、大丈夫だ」
「後悔はせんのじゃな」
なんでこいつはこんなにもしつこく聞いて来るんだ?
「ああ問題ない」
「ならばこちらで用意しておく。それ以外にも魔法に対する適性を高くしておくのじゃ」
「それは助かる。それで俺はどんな世界に行くんだ?」
「すまぬがそれは答えられぬのじゃ。というより儂等にも分からん」
「そうか。それじゃあそろそろ出発なのか?」
「そうじゃな。そろそろ転生させるのじゃ」
そう言うと爺さんは何もないところを弄るといきなり空間に穴が開いた。
「なんだこれは?」
「ここに飛び込むと転生できるのじゃ」
「そうか、なら行ってくる」
それから俺はその穴の方に向かっている時ふとある事を思い出し振り返る。
「そういえば爺さんの名前を聞いてなかったな。なんて名前なんだ?」
「そうじゃな。名乗っておらんかったの。儂の名前はテウフェル・イービラじゃ」
「なんか似合ってないな」
「余計なお世話じゃ。まだ若い頃は似合っていたと思うのじゃがな」
「そうなのか、それは見てみたかったな」
「おんしは名乗らんのか?」
「そうだな。俺の名前は暁紅夜だ」
「厨二っぽいの」
「気にしてる事を言うな」
「それはすまんな」
「それじゃあ行ってくるわ」
そう言い俺は穴の中に入っていった。
「紅夜、行く世界がどんなところかは言えんが何があっても絶望するでないぞ」
穴の中に入る前にテウフェルがそんな事を言っていた。別れ際に意味深な言葉を残すなよ。いまさらだが俺の行く世界がどんな世界か気になってきた。
あれ、なんかどんどん意識が遠のいて……
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あれからどのくらい経ったのだろう目がさめると俺は美人な女の人に抱っこされている。
「ねえ、この子の名前何にします?」
「そうだな、こんな綺麗な夜に生まれた事と立派な男になって欲しい気持ちを合わせてナイトなんてどうだ」
「いいわね、これからあなたの名前はナイト・リベリアよ」
俺の母親らしき人がそう言っている。ナイトか、なんで俺には厨二みたいな名前しかつかないのだろうか
「とりあえず名前もつけたしあなたやってみて」
「ああ、分かった」
生まれたばかりの俺に何をするんだ?
「鑑定」
“ゾワッ”
何か奇妙な感覚がした。何か自分の中を見られているような気持ちになった。
「ああ、駄目だ。この子はステータスがかなり低い。まあ、忌々しい魔眼は持っていなかったが」
「そう、なら次の子に期待するしかないわね」
「ああ、でもINTは高い方だから領地の管理なんかを任せるのがいいんじゃないか?」
「あなたがそう言うならいいんじゃないかしら」
ん、ちょっとまて今さらっと聞き逃せないことがあったぞ。忌々しい魔眼ってどういう事だ?それに魔眼を持っていないってあいつつけ忘れたか?
まあ、いいか。どうせどうにかなるだろうし、今は気の赴くまま寝るとしますか。
そして俺は両親が色々話しているのを無視して眠りについた。
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「うむ、逝ったか」
そう儂テウフェル・イービラが呟くと後ろから声がした。
「一応彼の代わりに突っ込んでおくけどそれ字が違うわよ」
「おう、ナタリア久しいの」
「久しぶりといっても10日ぶりでしょ。そんなに間空いてないわよ。というかそんなことを言いに来たわけじゃないわ、そっちの転生は終わったの?」
「うむ、終わったわい。今から特典をつけるところじゃよ。それでおんしの方は終わったのか?」
「ええ、終わったわよ。というよりもあんたも思いきったことをするわよね。まさか兄妹を一緒に転生させるなんて前代未聞よ」
「初めてなのはよくあることじゃ。それにあやつらの最期は見ていて不憫に思ったからの来世の機会くらい与えてやろうと思うただけじゃよ」
「それもそうよね。まさか友人と遊んでいたらその友人がゲイの人でその友人の彼氏に浮気だと勘違いされて殺されるとはね」
「うむ、そうじゃな。それにその後友人に遺体を隠蔽されたのじゃからな」
「さすがに私も不憫に思ったわよ。でも妹のほうを転生させる必要は無かったんじゃないのかしら?」
「でもあやつがおったほうが面白くなりそうではないか」
「それは確かね。事故扱いで処理された兄の死に疑問を抱き調べていって真相に気づき兄を殺した友人とその彼氏を順に殺した後に来世で会えるようにと自殺したんだものね」
「そうじゃな、だから儂等はあやつの願いを叶える為に転生という機会を与えてやるのじゃからな」
「そうね。ところで兄の方の特典ってなんだったの?」
「うむ、それなんじゃがなんか強そうな魔眼と言われたのじゃがどうしようかのー」
「悩むなら全部突っ込んで仕舞えばいいじゃないの?」
「それも考えたのじゃが下手すると失明の危険性があっての」
「そういう事じゃなくて少しずつ解放されるようにすればいいじゃない」
「それならば、いけそうじゃな」
決まったのなら早速魔改造をっと………………よし終わったわい。
「うむ、これで一仕事終わったの。ああそうじゃ妹の方の特典はなんだったのじゃ?」
「あの子本当に兄のことが好きみたいなのよ。兄の事を守れるような強い力って言われたわ」
「それでどんな物をつけたのじゃ?」
「最高ランクの魔法をLV1の状態で全部突っ込んでおいたわ。その後にMPなんかに色々補正をかけて、隠蔽のスキルを入れて完成よ」
「そっちもなかなかにチートじゃのー」
「お互い様よ」
まあ、そうじゃの。まあ、これくらいチートでなければ面白くもないからいいのじゃがな。さてあやつらのことを見に行くかの
「儂はこれからあやつらの事を覗きに行くがおんしはどうするのじゃ?」
「私も見にいこうかしらね」
「ならば共に行くとするか」
儂らはそれから歩き出しあやつらの事を覗きに行くための部屋へと向かった。