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第82ページ プロローグ
第五章開始です。
プロローグがいつも以上に短い感じがしますが、本日はもう一話100部記念SSを上げますので許してください。
クスクスクスクス
どこからともなく聞こえる笑い声。
この声を聴いた者には、幸せが訪れると言われている。
そんな楽しげな声を聴きながら、人は今日も働いている。
しかし、その声は誰にも聞こえるわけではない。
聞こえるのは、清らかな心を持つ人のみ。
「楽しみですね」
「ええ、そうですね。女王陛下」
顔をヴェールで隠した女性。
だが、ヴェールでは隠し切れず伝わってくるその美貌。
穏やかな雰囲気。
女王陛下と呼ばれたその女性は、もうすぐこの場を訪れる人間に思いを馳せる。
「さて、今度の客人はどんな人かしら?」
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「ん?」
「どうした、シュウ?」
「いえ、今何か…」
誰かに呼ばれたような気がしたのだが、周りにはその気配がない。
気のせいだったのだろうか。
ガイアを出て6日目。
王都までの道中。
次の目的地は、花の谷サルベニー。
一年中多種多様な花々が咲き誇り、蜂蜜とそれを素に作られる菓子が収入源の小さな町。




