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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第四章 指名調査依頼「竜の棲む火山島」編
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第73ページ 火山島へ

翌朝。

見張りを交代したクイナに代わり、イザークが船まで案内してくれた。

ここの見張りは4時間交代らしい。


「これがここにある唯一の船でさぁ」

「これは…」

「クル…」


そこにあったのは今にも壊れそうなボロ船。

小さめの漁船を長年使わずに放置していたような感じ。


「見た目はアレですが、性能はばっちりだそうで」


伝聞口調なのが怖い。


―・―・―・―・―・―


[船]マジックシップ

品質S、レア度5、魔工匠オイン・ジノバンの作。

製作から数十年経っているが、性能は衰えていない。

行きたい場所を指定すると船が動く。(指定地;ギラヴェイア火山島)


―・―・―・―・―・―


この船は行きたい場所がギラヴェイア火山島で固定されているため他の所に行くには手動になるようだ。

不正利用の禁止も兼ねているんだろうな。


「さぁさぁ、どうぞどうぞ」

「あ、ああ」

「クル…」


大丈夫だとわかっていても、その見た目に不安を感じつつ船に乗り込む。

アステールと乗ると既に定員という感じがする。

もう一人乗れるかな?というくらいだ。


「ではあっしはここまででさぁ。いってらっしゃいませ」

「色々ありがとう」


手を振るイザークに見送られながら、船が動く。

どういう仕組みかはまったくわからないが、意外とスムーズに動いている。


こうなるのは気になるのは天気だ。

空は生憎の曇り空。

降らないといいのだが。


---


岸を離れて少し行くまでは順調だった。

だが、一刻程進むに任せていると状況が一変した。


「グルル」

「ああ、何かいるな」


アステールが海に威嚇し始め、識図展開にも赤い光点がいくつも光っている。

どうやら海の中に敵がいるようだ。


「船を壊される訳にはいかない。かといって海の中に入るのは論外だ。さて、どうするかね」


手には抜刀した斬鬼を構えている。

既に赤い点はもはや数え切れないほど。


大きさからしてそれほどの強さでもなさそうだが、海上でこの数は十分脅威と言っていいだろう。


「クル!」

「来るか!」


アステールが警告の声を上げたと同時に、波が荒立ち、何匹もの魔物が姿を現した。

というか、飛んできた。


「チッ!?」

「クルッ!」


斬鬼を振るい、アステールもその前脚で器用に弾き飛ばしている。

二人で背中合わせになるようにして左右からの攻撃を防ぐ。


斬っている魔物は魚型の魔物。

鋭利な角のような物がついており、体長は40cmくらいだろうか。


「「「キシャァ!!」」」


奇声を上げながら俺らに襲いかかってくる。

やはり一匹一匹は脅威足りえないが、数が多い。


「くそっ、これじゃキリがないぞっ!」


何よりこんな状況でありながら船は速度を上げたりしない。

自動操縦恐るべし。


「あまり使いたくなかったが仕方ない。凍れ!」


魔力を流し、海ごと凍らせる。

だが、もちろん海全体を凍らせることなどできないので凍らせる範囲は魔物がいる海面付近のみだ。


船の周りを囲むように氷の膜を生み出す。

その際、進路方向は凍らせないようにと、船を間違えて凍らせないように注意を払う。


「はぁっ…はっ…」


思っていた以上に魔力を消費し、神経を使った。

一気に魔力がなくなった虚脱感を感じ、膝をつく。


「クル」


アステールが労わるように頬を寄せてきた。

それを撫でてやり、スキルの効果により魔力がある程度回復した所で立ち上がる。


「アステール、今日は魚料理だな」

「クル!」


船の上に散らばる魔物の死体や、まだピチピチ跳ねている奴を見ながらそう言うと、アステールは無邪気に喜んだ。


---


今回、何泊かの野営が予定されていたので、調理に必要な物は大体持ってきている。

ディメンションキー様様だ。


「まずは、こいつが何なのかってことだな」


―・―・―・―・―・―


[トッシンカジキ]ランクD

海上にいる標的に向け、ジャンプして攻撃してくるカジキ。

常時群れで行動するために厄介。

その身は美味であるが、骨は硬い。


―・―・―・―・―・―


「へーカジキだったのか、こいつら」


大きさは地球の物の方が格段に大きいがどうやらカジキの仲間であるらしい。

であるならば、味も期待できるだろう。


俺は「料理」スキルが教えてくれる感覚と「解体」スキルを使い、魔物をさばいていく。

しっかりとした赤身で太めの骨が見える。


ポトッ

「ん?」


手元に集中していると、上から液体が降ってきた。

とうとう雨かと見上げると、口を半開きにしたアステールの顔がある。


「…お前」


ため息をついて、角部分だけを叩き切った魔物カジキを放ってやると、見事にかぶり付いた。

丸呑みに近い。


咀嚼を終え、期待するようにこちらを見てくる。

たくさんあるし構わないか、と苦笑しながら放ってやると面白いくらい食らいつく。

水族館のショーとかでありそうな光景だ。


だんだんこちらも面白くなりどんどん投げていると、気づけば魔物カジキの数が当初の半分くらいになっていた。


「…食べ過ぎだ、アステール」

「クル!?」


調子に乗って与え続けた自分を棚上げし、注意すると心外だというように目を見開いた。

いや、だってまさかこんな食べると思わないだろ?


---


それからまた少し進んだ時、変化は訪れていた。


「暑い!!」

「クルゥ…」


火山島が遠くに視認できる距離まで近づいてくると、周囲の温度が一気に上昇した。

考えてみると当たり前の話だが火山島なんだから暑いに決まっている。

耐暑装備を整えて来なかった俺が悪いな。


と考えていると


《スキル「耐暑」を習得しました》


とのありがたいお告げが。

助かった。


これで暑さを完全に遮断できるようになった。

だがこれ…スキルを習得する事に人間辞めていっているような気がするのは気のせいだろうか?


黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:B

HP:10500

MP:8400(up)

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術、棍術

基本六魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法、神聖魔法、暗黒魔法、魔法陣術、召喚術

馬術、身体強化、魔力制御、完全回復、天足、覇気、看破、隠形、危機察知、魅了、罠解除、指揮

耐魅了、耐誘惑、耐幻惑、耐暑(new)

礼儀作法、料理、舞踊

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ識図展開(オートマッピング)天の声(アナウンサー)

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」、「誘惑を乗り越えし者」、「美学に殉ず者」、「魔の源を納めし者」、「全能へと至る者」、「人馬一体」、「無比なる測量士」、「翼無き飛行者」

<加護>

「創造神の期待」、「戦と武を司る神の加護」、「知と魔を司る神の期待」、「生と娯楽を司る神の加護」、「鍛冶と酒の神の加護」

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