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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第一章 初めての異世界「辺境の街」編
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第6ページ 冒険者ギルド

「ここが冒険者ギルドか」


馬車に乗って送り届けられたのは、石造りのそれなりに大きな建物だった。なんでもこのガイアの街では3番目に大きいらしく、1番は辺境伯の城、2番は街の最西端にある教会だそうだ。

確かにどちらも街のほぼ中央にある冒険者ギルドからも見えるほど大きい。

街を通る間確認してみたところ、石造りの建物が多く、中には木造のものもあった。

文化レベルは中世のヨーロッパといったところで服もそんなかんじ。

よく日本の学生服姿である俺を不審がられ…ているな。

ジロジロと視線を感じる。

さっさと登録して宿を取って明日には服を買いに行こう。そうしよう。

急がないと日が沈みそうだ。


「いらっしゃいませ。冒険者ギルドガイア支部へようこそ。本日はどういったご用件でしょうか?」


ギルドに入ると中もそれなりに広く、一階と二階がある。

一階には受付と恐らくクエストなんかが貼り付けてあるのであろう掲示板。

隅にはバーのようなものがあり、飲食もできるようだ。

何人かごついおっちゃんたちが飲んでいる。

俺がギルドに入ってこっちをチラチラ見てくるやつもいるな。

俺は視線をガン無視して受付にいく。

ちょうど空いていたところまで行くと美人の受付嬢がいた。

金髪に紅い瞳をした綺麗な人で20代後半くらいだろうか。


「冒険者登録をしたいのだが」

「登録ですね。それではステータスカードをお預かりします」

「ステータスカードを?」

「はい。ステータスカードをこちらで登録することで冒険者カードも兼用することになります。ランクなどの情報も記載されるようになりますので。あ、ステータスの情報は隠したままで構いませんよ」

「情報を隠す?」

「?ええ。押しながら念じることで情報を隠すことができますが…」


知らないのか?と疑問顔でこちらを見てくる。今ままで笑顔だったのに。

まぁ知らないのが悪いのか。

やってみるとできた。すげーなファンタジー。

名前だけ表示した状態で渡す。


「あ、あとこれも頼む」

「?…っ!?しょ、少々お待ちください!」


辺境伯にもらった紹介状も一緒に渡すと受付の人は血相を変えて奥の扉へと走っていってしまった。

ポカンとしていると周りから興味の視線が次々と飛んでくる。

まぁ辺境伯の紹介状を持った新人なんてそうそういないだろうから気持ちはわかるが、俺はこれからどうしたらいいんだろうか?


---


手持ち無沙汰でギルド内を見たりしていると受付嬢が戻ってきた。


「お待たせして申し訳ありません。ギルド長がお会いになるそうです。ついてきていただけますか?」

「お?わかった」

「ありがとうございます」


突然変なことになってしまったが、さすがにこれは断れないだろう。

俺は大人しくついていく。

周りの視線が更に強くなったが、気にしない。


「こちらになります」


受付嬢のお姉さんがノックすると中から「入れ」との声が。

お姉さんがドアを開けてくれたので俺は中に入る。


中に入るとどうやらここがギルド長の部屋らしく何やら書類が山のごとく積み重なった執務机が窓辺に一つ。

両側の壁には書棚。

そしてソファ二つとその間に小さな机があり軽い打ち合わせなんかもできるような仕様なようだ。


そして一つのソファに座っている中年の男。

しかしながらその威圧感はラッセン辺境伯にも劣らない。

スーツのような服を着ているがまたもや盛り上がる筋肉がわかる。

サイズは合っているのかと言いたくなる。

それにしてもなぜこの世界はお偉いさんがみんな武闘派そうなんだ。


後ろでお姉さんが一礼しドアを閉めて出て行くのが気配でわかった。


「座れ」


ギルド長だと思われ男に声をかけられたので向き合うように座る。

するとフッと男の顔が和らいだかと思うと今まで感じていた威圧感がなくなった。


「まずは自己紹介しておこうか。俺がこのガイアのギルド支部支部長、グラハムだ」

「シュウ=クロバだ」

「ラッセン辺境伯が紹介状なんてもんよこしたからどんだけの奴かと思ったが、俺の威圧にもこたえた風はなかった。なるほど面白い奴だな」


ニッと笑うその顔はどちらかというと山賊とかそんな感じの悪い顔だ。

ブサイクというわけではないのだが、どうにも悪人面だな。


「それを見るためにここに?」

「ん?ああそうだ。異世界人だから便宜はかってやってくれって紹介状に書いてあったから珍しいもんを見ておこうとな」


見世物かよ!てか早速バレたな!!


「安心しろ。特に言いふらしたりはしねぇよ」

「そうか」

「まぁなんかあったら言えよ。こう見えて俺は忙しいからあんまできないかもしれんが、手助けくらいはしてやれる」

「わかった。ありがとう」


礼を言うとグラハムは驚いたような顔をする。

礼ぐらい言うわ。


「おう。これからの活躍に期待しておくぞ、ルーキー」


試すような視線を向けてくるグラハムに苦笑しながらもがんばるよ、と言い部屋を退室する。


廊下を戻りギルド受付に出ると、さっきの受付嬢が待っていた。


「シュウ様、ギルドカードの登録が完了しました。ギルドの説明をお聞きしますか?」

「頼む」


俺たちは空いている受付に座り、受付嬢の人がギルドの説明をしてくれる。

ちなみにこの受付嬢の名前はレイラというらしい。美人だ。


「それではギルドの説明を簡単に行いたいと思います」


ギルドでの主な仕事は依頼の受注と発注。

依頼人から依頼をもらい冒険者に発注するパターンと、ギルド自体が周辺の治安維持のために依頼を出す2パターン。

依頼にはランクがあり、冒険者にもランクがある。Gが最低位でだんだんと上がって行き最高位はSSS。

ただSSランク以上は人外らしく、中でもSSSはこの世界全土において2人しかいないらしい。

依頼を一定量こなすか大きな功績をたてるとランクアップするが、CからBにあがるときには試験というか実力確認のようなものがあるそう。

G,Fは普通の一般人レベル、E,Dで見習い、Cで一人前、B以上で一流という扱いだそうだ。

受けられる依頼は自分のランクと上下1ランク分まで、これはあまり上の依頼を受けてしまうと危険であるし、下の依頼を受けるとそのランクの依頼をなくしかねないからだそう。


依頼はおおまかに分けると、討伐、採取、雑用の3種に分かれる。

討伐はそのまま魔物の討伐依頼。

ここは辺境であるから魔物がよく沸くし強力なやつも多い。

それ故にここのギルドにいる冒険者は他のところよりもレベルが高いらしい。

魔物を討伐すると、依頼とは別で売れる箇所のある魔物の素材などはギルドで買い取ってくれる。

魔物にもランクがあり上位になるほど高くなるそうだが、やはり危険は大きい。

採取は依頼を受け武器や薬となるものの採取。

この場合は薬草から魔物の骨など様々だ。

雑用は街の住人の引越しの手伝いやらと完全に冒険者の仕事ではないが、だいたい新人のうちは薬草採取や雑用系依頼をしてランクを上げていき先輩冒険者についていって討伐の経験を積んだりするという。


依頼を失敗すると違約金を払わされる。

成功報酬の3割だそうで安いのか高いのかわからないが、あまり失敗が重なるとランク降格となることもあるそうなので注意が必要。


また、ランクにはそれぞれに特典のようなものがあり、上に上がるほどギルドの施設を使わせて貰えたり、ギルド系列の店で割引が効いたり、色々な情報をもらえたりするよう。


俺にとってのデメリットになりそうなものは一つだけ。

緊急特例による招集命令だ。

Dランク以上の冒険者には魔物が街に襲ってきたりするような緊急時には招集命令が下る場合があり、拒否するとギルド資格の剥奪となる。

見習い扱いの者たちに上位魔物の襲来で招集なんてのは酷ではないかと思ったがそういった場合呼ばれるのはたいていB以上で数が必要なときくらいしか招集はかからないらしい。


「以上がギルドのだいたいの説明となります。なにか質問はありますか?」

「いや、大丈夫だ」

「それではこちらがシュウ様のステータスカード兼ギルドカードとなります。再発行には別途お金がかかりますのでご注意ください」


俺はランクGという記載が新たに加わったステータスカードを受け取り、礼を言ってギルドを出た。

レイラに飯の旨い宿屋を聞いたので今日はそこにすることにする。そういえば昼から何も食べていなかったので腹が減っている。

ギルドからあまり離れていなかったのですぐ見つかった。

「牡牛の角亭」

と書かれた看板を見てから俺はその木造二階建ての建物に入る。


黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:G

HP:10000

MP:5000

魔法属性:全

<スキル>

体術、棒術、剣術、槍術、弓術、光魔法、馬術

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結パーフェクト・オブ・ジ・エンド全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」

<加護>

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