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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第三章 休暇中の大騒動「燃ゆる温泉街」編
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第53ページ 謎の女とゴロツキ

「ん?なんだ?」


屋台区画へと来て、どうにかアステールを我慢させることに成功した俺は宿に戻ろうとしていた。

その途中で何やら人だかりを発見し、そちらに近づく。


どうやら一人の美女が舞っているようだ。

そう美女だ。

俺は恋愛というものにあまり興味がない。

だからといって男女の美醜がわからないということはなく、絶世の美女という言葉は彼女の為にあるのではないだろうか。


うん?

いや、確かに美女は美女なんだが…

さっきまでの熱は感じなくなった。

これはもしかして…


---


<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

基本六魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、覇気、跳躍、索敵、看破、危機察知、罠発見、罠解除、空間把握、完全回復、魅了(new)

耐魅了、耐誘惑、耐幻惑

礼儀作法、料理、舞踊(new)


---


魅了のスキルか…

耐魅了スキルが発動したから俺は自分を取り戻したのか。


しかし、あの踊り子は何故こんなことを?

と、踊り子の方を見ると、彼女はこちらを見ていた。

そして、妖艶に笑い、唐突に一礼して舞台を降りた。


少し気になったが、あれも関わるとろくなことにならなさそうだ。

これも手遅れな気がする。


---


手遅れだったな。


「あら?」


横たわる複数の男と、中心に立つ一人の美女。

どう考えても自分に絡んできた男たちを返り討ちにした美女の図だ。


「ハァ…」

「どうかしたの?」

「いや、この町はトラブルが多そうだと思ってな」

「人をトラブル扱いなんて失礼ね」


フフフと女は面白そうに笑う。

今は「魅了」を使っていないようではあるが、改めて見ると本当に美人だ。

だが、何故だろうか、記憶に残りにくい。

これほどの美女ならば顔を忘れたりしないはずであるのに、今再会するまでどうにもモヤがかかったように顔を思い出せなかったのだ。

おそらくこれもスキルなのであろう。


「あなた…強いわね」

「お前はよくわからんな」


ベンやガイアの上位陣のように強者というものは独特な空気を持つ。

それは人によって様々で、ベンのように軽いのに隙がなかったり、グラハムのように他を委縮させるようなものだったりする。


この女にはそれがない。

にも関わらず、俺の本能が彼女を強者だと警告している。

隙を見せるな、と。


それが間違っていないことはアステールが警戒していることからもわかる。

魔物であるアステールの方がそういったことには敏感だ。


俺は斬鬼をいつでも抜けるように手をかける。

その動作を見て女が笑った。


「戦う気はないわ。あなたとここで戦っても私に得がないもの。できればもう会いたくないわね、あなたは私では御しきれそうにないし」

「なら会わないようにしようじゃないか。面倒事はもう御免だ」

「そうね」


フフフと笑いながら女は消える。

文字通り煙のように消えたのだ。

一体何者なのかね?


---


宿へと戻った俺は、何故か再度連れ出されている。

理由はこの人。


「どこが美味しいかのぉ」


お供はシオンだけで何故か俺が帰るのを待っていたらしい老人に捕まり、晩御飯のお供をすることに。

別に用事はないからいいのだが、もう少し俺に警戒を持った方がいいんじゃないか?


「お主をいくら警戒した所で無駄じゃろう。いろんな意味でな」


心を読まれた!?


「顔に書いておったのじゃよ」

「読むな!」


シオンの他にも護衛はいるらしいが、集団で動き回ると目立ってしまうためシオンと俺だけを連れ歩いている。

俺はあんたの護衛ではないんだが。


夕飯奢ってくれるらしいのでホイホイついて行っている俺もアステールのこと何も言えないかもしれない。

そんなアステールも爺さんに撫でられてご機嫌だ。

いつのまにか凄く懐いている。


「クルル」

「ああ、わかっている」


そんなとき、アステールが警告の声を発した。

俺も気づいていた。

シオンも気づいているようだ。

優秀だな。


「なんじゃ?」

「つけられている。宿を出て少ししてからだな。数は6。どうする?」

「放っておいても構わないのですが、何が目的か知っておくべきでしょうね。まぁこんな下手な尾行をしているのですから町のチンピラといった所でしょうが」

「だな。気配を隠そうとしてまったく隠せていない明らかな素人だ」


少し前まで俺も素人だったはずなんだがな。


「人目の少ない場所へ。出てきてもらいましょう」


そう言うとシオンは、歩いていた大通りから横へと抜ける小道に入る。

この町の地理は頭に入っているようだ。

少し見直した。


シオンは先頭に立ち、どんどん進んでいく。

賑わっていない、人の気配の少ない方へ。

やがて裏路地のような場所に出て完全に人通りがなくなった。


少しでも頭のいいやつなら誘われているのがまるわかりだと思うのだが、どうやら頭はよくなかったようだ。

距離を取ってついてきていた奴らが姿を現す。


「何の用だ?」

「へっへっ。そこの爺さん、前国王なんだってなぁ。金持ってんだろう?俺らにくれよ」

「「「………」」」


いかんいかん。

三人ともポカンとしてしまった。

まさか前国王相手にそんなバカな話をしに来る奴がいるとは思わなかった。

こいつらそんなことをして自分たちがどうなるか考えているのか?


「お前たちにやる金などない。今すぐ立ち去れ」

「なんだとっこの!?」


完全にバカだ。

なんなんだこいつらは…


「どうするシオン?」

「どうするもこうするも…適当にあしらって衛兵に渡すしか…」

「だな」

「何をごちゃごちゃ言ってやがる!」


あーはいはい。

今相手してやるから。


---


「こいつら本気だったのか?」

「どうでしょう…?」


俺とシオンで6人を片付けるのに3分とかかっていない。

もう少し粘れよと思う。

カップラーメンよりお手軽な奴らだ。


仕方ないので衛兵を呼びに行き、引き取ってもらう。

さて、飯屋を探すか。

黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:B

HP:10500

MP:7800

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

基本六魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、覇気、跳躍、索敵、看破、危機察知、罠発見、罠解除、空間把握、完全回復、魅了(new)

耐魅了、耐誘惑、耐幻惑

礼儀作法、料理、舞踊(new)

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」、「誘惑を乗り越えし者」、「美学に殉ず者」、「魔の源を納めし者」、「全能へと至る者」、「人馬一体」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「知と魔を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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