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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第三章 休暇中の大騒動「燃ゆる温泉街」編
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第48ページ 盗賊

時間がなくかなり短めです。

すみません。

「ん?なんだ?」


異変があったのは、アキホまであと2、3日といった所。

アステールが何かに反応し、俺の索敵にも、俺たちを囲むように反応があった。

どうやら魔物ではなく、人のようだ。


「盗賊か?」


後ろにいたセゾンに馬車を止めるように合図する。

俺の今までとは違う反応に、周りも緊張感を増す。


ここは森の中に整備したような道で、道の両側は木が乱立し、隠れ場所は多いにある。

それ故に、盗賊などの被害が出やすい場所だと言われていたが、まさか本当に出るとは。


野生の獣なら圧倒的格上のアステールがいる時点で襲ったりしないのだが。

まったく人間というのはバカな生き物だ。


と、俺が自分を棚上げし呑気に考えていると、気付かれていることに気付いた盗賊が待ち伏せを止め、前後左右から出てくる。


ニヤニヤと下種い笑みを浮かべながらの登場に、俺は思わず溜め息を吐く。

その中で、おそらく頭であろう人物が一歩前に出て話しかけてくる。


「へっへ、これは上物の獲物が引っかかったぜ。おい、お前ら身包み全部置いていきな。命だけは助けてやるぜぇ?」


まったく捻りも何にもない口上に逆に感心する。

というか剣を抜きながらそんなこと言われても説得力がまったくない。

どちらにしろ従う気はないのだが。


「断る」


俺の発した一言に、男は一瞬ポカンとしたが、すぐにこめかみに青筋を浮かべ怒りに震え始める。


「てめぇ、舐めてんのかっ!俺らが誰か知ってて言ってるんだろうなぁっ!!」

「知らん。誰だお前は。生憎お前のような醜い顔の男は知り合いにいないんだ」


俺の言葉に男はキレたようだった。

事実を言っただけなのに。


「お前ぇら!!やっちまえ!!」


そういえば後ろのメンツは大丈夫だろうか?と視線を向ける。

商会の人たちは怖がっているようだが、グードはまったくと言っていいほど堪えた様子はない。

それどころか笑ってこちらを見ている。

セゾンと草原の光のメンバーは呆れた様子で苦笑い。

俺はそれにニヤリと返してやり、魔法を発動した。


「我らを囲み、何も通すな〈風籠〉」


俺らの周りを風が覆う。

簡易的な風の結界だが、矢や低級の魔法は通さない。

近寄ってくる盗賊は15人ほど。

敵ではない。


「アステール、自由にやっていいぞ」


ポンと首を叩くと、了解とばかりに一つ鳴いて先程の男の方へと駆け出す。

男は近づいてくるアステールに怯んだ様だったが、果敢にも持っていた剣を向けている。


だが、そんな腰の抜けた構えでアステールをどうにかできるはずもなく、突進され吹っ飛ばされていた。

綺麗に飛んだなー。


俺も負けてられないと、駆け出す。

この程度なら斬鬼を抜く必要もない。


「くっ舐めやがってぇ!!」


それをどう受け取ったのか、俺が近付いた男が声を上げ、剣を振るってくる。


「舐めるも何も…それが現実だ」


男の振るう剣など俺から見れば止まって見える。

軽く避け、カウンター気味に顎に一撃。

呆気なく落ちた男を放って次へ向かう。


前方の敵はすぐに片付いた。

どうやら主力はこちらだったようで後ろと左右も問題なく制圧している。


こいつらはなんなんだろうな?

ランクにしたら精々Dランク程度だろう。

盗賊稼業で稼げているとも思えないのだが。


「終わったようですね」

「ああ」


いつの間にか近寄ってきていたグードが声をかけてくる。

戦闘中は姿を見なかったので馬車の中にでもいたのだろう。


「龍殺しからしてみればトカゲなど何の脅威でもないということですね」

「トカゲ?」

「ええ、最初に声を掛けてきた男のことです。この辺りでは有名な盗賊で相手を疲労させる戦闘をし、その実力はCランクにも匹敵するのだとか」

「へー、あれでか」


実力をまったく見せることなく退場した気がするのだが。


「ん?そういえばそのトカゲはどこに行った?」

「おや?」


アステールが吹っ飛ばした方向を見ても、そこには誰もいなかった。

…逃げたか。

運のいいやつだ。


「残念でしたね。あいつには賞金がかかっていますので捕らえるか殺すかしておけば貰えたものを」

「まぁいいさ。連れて行くのも面倒だしな」


それはそれとしてこの転がしてある盗賊たちはどうしよう。

遠距離担当の奴らもアステールが全員倒している。

正確に数えていないがトカゲ以外は全滅ではないだろうか?


いや待て、アステール。

何故倒れている奴を物欲しそうに見ているんだ。

絶対に食べさせないぞ?


結局俺たちは適当に縛っておいて放っておくことにした。

運が良ければ、誰かに見つけて貰えるだろう。


何事もなかったのように一同は進む。

アキホまであと少しだ。

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