第44ページ エピローグ
ソレは恐怖していた
奴さえいれば自分は安泰だと思っていた
過去に一度だけ奴は負けたことがあったがあれは遊びのようなものだった
それ以降奴が負けたことはない
それ以前も奴が負けたことはない
故にソレは安心していた
奴と契約できたことで自分の安全は保障されたのだと思った
しかし違った
奴は契約に飽いていた
そして今回の侵入者
ここまでたどり着く程の力を持った人間
極上の贄になるはずだった
その力を吸い更なる高みへと自分は上るはずだった
このあいだの魔族は十分な贄となってくれたが足りなかった
その足りないものを埋めてくれるはずだった
にも関わらず奴は人間たちを地上に帰してしまった
奴の力なら殺すことなど容易かったはずなのに
あまつさえ手助けまでしているようだった
ソレは憤慨する
「お前はこちらの者だろう」と
奴を縛れないことは契約した当初からわかっていた
奴を縛るには圧倒的に力が足りない
だがいつか、いつの日か、奴自身を利用することで自分はその力を得るに至るだろう
そう思っていたのに
「君との契約ももう少しで終わりかな」
奴が言う
嬉しそうに、楽しそうに
赦さない
そんなことは赦せない
お前が自由になるというのなら
最後にすべてを…壊シテシマオウ
ソレは狂った
誰にも知られずひっそりと
ソレ本来の役割すら忘れ
いいや、あるいは、
ソレが奴と契約したときから
すでに狂っていたのかもしれない
この後、この地は再び戦火に包まれる
その戦いはこの世界全土の滅亡に直結するかもしれぬ戦い
だが、それはもう少し先のお話
自分でも何を書いているのかわからなくなりましたがもう少し先のお話のプロローグ・ゼロといった感じなのかも?
これで二章は終了となります!
閑話を挟んで三章となりますが、さてどうなることやら?




