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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
40/358

第35ページ 46・47層

46層は同じく城の中のようであったが雰囲気が全く違った。

今までの階層はどこか明るい感じであったが、暗い。

なんというかホラーな雰囲気を醸し出している。


階段から降り、続く廊下の一定までは蝋燭が点っていたが、その蝋燭は廊下の左右に置いてある騎士鎧を浮かび上がらせていた。


「俺この後どうなるかわかったよ」

「奇遇だな、俺もだ」


その言葉を言い終わった瞬間に、ガチャガチャと音を立て、騎士鎧が動き出す。

やっぱりこうなったか。


―・―・―・―・―・―


[リビングアーマー]ランクC

古き鎧に魂が宿った存在。

そこに意思はなく、ただ敵を屠るのみ。

物理攻撃に耐性を持つが、胸の奥にある核を破壊されると壊れる。


―・―・―・―・―・―


「胸に核があるそうだ」

「壊せって?」

『また面倒な』

「同感だ!」


俺とベンは抜刀し、近くまで迫っていた鎧二体を斬る。

斬鬼と神剣の前にはリビングアーマー程度の物理耐性は無いに等しかったらしく、その中身が顕になる。

黒い靄のようなものの中心ほどに鈍く輝く結晶が浮いていた。

斬鬼をもうひと振りし、結晶を斬ると力を失ったようで唐突に鎧が崩れ落ちた。

どうやらベンの方も済んだようだ。


ふぅと一息ついたのも束の間。

ガチャガチャガチャガチャと音が断続的に聞こえる。

廊下の左右に飾られていた何十かの鎧は、今確かに動き出していた。


「どうする?」

「どうすると言っても一本道だ。やるしかないだろ」

「そうなるよね…」


はぁとため息をつきながらもベンは神剣を構えた。

俺も斬鬼を構え、サラが風を掌握する。


『吹き飛ばすわ』


サラの放った突風はこちらに向け行進してきていた鎧を吹き飛ばし、道を作った。


『あら、軽いのね?』


実質の重さはわからないが、中身の無い鎧では重心がうまく定まらなかったのではないだろうか。

これ幸いと俺たちは走る。

好き好んで戦いたいわけではない。

こんな鎧の相手なんて疲れるだけなんだからな。


道を塞ぐようにしてきた鎧は切り伏せ、俺たちは進む。

が、遂に前も後ろも鎧により塞がれてしまった。


「サラ、後ろ任せるよ」

『わかったわ』

「シュウ、切り開くよ」

「ああ」


後ろでサラが風を展開する。

一瞬にして風の防壁ができあがっていた。

だが、物量が違いすぎる。

すぐに突破されるだろう。


「風の精霊よ、我らに力を貸し給え〈風精霊の祝福(シルフブレッシング)〉」


風の精霊魔法による速度上昇の付加らしい。

確かに足が軽くなった気がする。

しかし、なぜ今までやらなかったのか問い詰めたい。


剣を振る速度も上がっているが切っても切ってもキリがない。

その上、鎧の持つ武器が一体一体違うからめんどくさい。

剣に槍、斧に戟、盾持ちもいる。

さすがに物理耐性が高くなっている盾を両断するのは容易でない。


だが、少しずつでも進んで行くとやっと下へと続く階段が見えてきた。

都合のいいことに階段周辺には鎧共はいないようだ。


「ベン!飛べるか!?」

「わかった!少し頼むよ!」


転移にかかる時間は飛ばす量と距離によって多くなる。

それは空間を飛び越えるという人の域を超える力を使うための枷。

緻密な魔力操作と座標の空間を完全に把握することによりできる神の御業。


空間魔法のスキルは手に入れたが、俺が今使えないのはそう言う理由だ。

資格を手にしただけで使えない状態。

これも要練習だな。


俺は魔法も使いどうにか前方に鎧を足止めする。

だが、こちらも数が違いすぎる。

保つのはあと少しといったところか。


「我らは旅人。間を越え、人を超え、この身一つで空を繋げる。力を犠牲に、速さを犠牲に、我ら全てを跳躍させる。それは神々の力、故に我は希う。ここに神代の力を具現化させる。我らは旅人。今ここに道を開かん!」


「いくよっ!〈空間魔法・目標転移(テレポーテーション)〉!」


視界がぶれ、一瞬にして光景が変わった。

目の前までに迫っていた鎧たちは俺の後方に、目の前には階段がある。

鎧たちは消えた俺たちを探すようにキョロキョロとしている。


見つかる前に降りるとしよう。


---


「結構時間かかったな」

「今回はシュウがいたからだね。いくら同意があっても俺と同等の魔力の持ち主で、更に異世界人は少し違う魔力の持ち主だからね。慣すのに時間がかかったよ」

「慣す?」

「同調と言ったほうがいいかな?俺の魔力と同調させて転移対象にしたんだ。トマスとサラは何度も一緒に飛んだからその作業がいらないんだよ。今のでシュウの魔力の波長も覚えたから次からはもっと早くできるよ」


魔力にも人によって違う波長があり、その波長を区別することにより一緒に飛ぶ者を選別しているらしい。

それも練習しなければいけないな。

頭を使いそうだ。


---


階段を降りた47層は真っ暗だった。

一寸先も見えはしない。

だが、確かに敵の気配はする。


「全員、目を瞑ってろ」


俺は閃光弾をイメージし、一瞬のフラッシュを発する。


「ギャっ」「ギッ」「ガッ」


暗闇から短い悲鳴が聞こえる。

闇に慣れた目に強烈な光を浴びせられればそうなる。

暗い場所から明るい場所に出たとき目がくらむのと原理は一緒だ。

うまくいったことにほくそ笑みながら今度は明かりを目的に光を生み出す。


「へー」

「ここの迷宮のコンセプトはアンデッドじゃなくてホラーなんかな?」

『そんな気がしてきたわね』

「皆さん余裕ですね…」


目の前には様々な毛色をした狼。

しかし、普通の狼ではない。

上半身は確かに狼なのだが、下半身は人のそれだ。


―・―・―・―・―・―


[ウェアウルフ]ランクB~

月に狂う人狼。

その強さは個体により異なるが、狼のように群れをなし猟を行う。

知性もあり、狡猾。何よりもその速さは他の追随を許さない。


―・―・―・―・―・―


「相手は目が潰れてる。回復には時間がかかるだろうからな」


その間に処理してしまえばいい。

真正面から戦えばそれ相応の苦戦をするだろうが、視覚が使えないというハンデがある相手ならいくらランクB以上の相手だろうと苦戦するほどではなかった。


中には音や気配により反応してくるものもいたが、それでも俺とベンの敵ではなかったし、サラの存在はそもそも見えていないのだ。

ある意味一番の反則はサラだと思う。


ちなみにトマスはサラが見えている。

なぜか聞いたらベンは「秘密♪」とか答えやがったが後からトマスがそういうマジックアイテムがあるのだと教えてくれた。

なんでも、エルフが作ったものらしい。


その後幾度もなく人狼に遭遇したが、同じ作戦でどうにかなった。

幸いにも俺は全知眼効果で闇の中だろうが関係なかったし、ベンも空間把握のスキルにより目が見えるかはあまり関係ないらしい。

サラとトマスは俺たちに捕まって移動していたので結構怖かったと思うのだが、サラは面白がっていたしトマスは何の反応も見せなかった。


「このくらいは慣れておりますので」


と言われた。

どういう訓練を受けていたのだろうか、気になるところだ。


そんなこんなでお化け屋敷のようになりながら俺たちは48層へと続く階段を発見した。

黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:C

HP:10200

MP:6300(up)

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、光属性魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気、跳躍、索敵、看破、危機察知、罠発見、罠解除、空間把握(new)

耐魅了、耐誘惑、耐幻惑

礼儀作法、料理

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結パーフェクト・オブ・ジ・エンド全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「誘惑を乗り越えし者」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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