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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
39/358

第34ページ 42層から45層

42層へと降り立った俺たちを待ち構えていたのはゴーストたちだった。


―・―・―・―・―・―


[ゴースト]ランクE

死した亡霊。

現世に関与することはできず、ただそこに漂うだけの存在。

触れることはできないが話すことはできる。


―・―・―・―・―・―


話すことはできるらしい。

だが、ここにいるゴーストたちは何やら鎮痛な面持ちであっちへふらふらこっちへふらふらとしているだけで、話しかけてもリアクションをしてくれなかった。


「40層超えてから難易度が下がってないか?」

「その代わりに罠が増えたね」


42層はどこかの城の廊下のようなフロアだった。

だが、どうにも入り組んでいて迷路のよう。

そして、行く先々に罠が仕掛けられていた。

トマスと俺で交代し、罠の解除をしていく。

道具は貸してもらった。


どんな罠があるのかもスキル「罠発見」の効果によりなんとなくわかる。

矢が飛んでくるものや、落とし穴など様々だが総じて殺傷能力の高い罠ばかりだった。


油断はできない。

できないが、高ランクの魔物が襲ってくるよりはよっぽど楽だ。

ゴースト達も今のところ何かをしてくるアクションはないしな。


結局42層では何もなかった。

罠が大量にあったくらいで魔物はゴースト以外に出てこない。

うーん、拍子抜けだ。


---


43層も似たような廊下の風景だった。

だが、今回はゴーストの姿も見えない。


少し進んでいくと前に扉が現れた。

罠が仕掛けられていたのでそれを解除して開ける。

ちなみに罠はドアを開けようとすると天井から槍が降ってくるというものだった。


扉の先は少し大きめな広間といったところだろうか。

中に踏み入れるとガシャンッという音と共に鉄柵が降り、扉を通れないように封鎖してしまった。

まぁ切れないことはないので実際封鎖にはなっていないがこれで後退はできなくなったわけだ。

さて、何が出てくるのか。


「「「「「キキキキキッッ」」」」」

「ああもう!うるさいっ!!」


耳障りな羽音と鳴き声が騒音となって部屋中に木霊する。

天井から降ってくるように登場した魔物は数にしたら数百はいそうだ。


―・―・―・―・―・―


[インプ]ランクD

最下級の悪魔。

いたずら好きで人に迷惑をかけることだけは一人前。

大して力は持っていないが、「誘惑」や「魅惑」といったスキルを所持している。


―・―・―・―・―・―


トマスの索敵にひっかかった途端に暴れ始め、俺たちの周りを飛び始めた。

かと言って攻撃してくるわけでもなく、ただただうるさい。


体長は10cmほどでまったく脅威ではないが、やはりとにかくうるさい。

もう殲滅してやろうかと魔法を発動しようとした瞬間一斉に逃げやがった。

それで魔法の発動をキャンセルしたらまた近寄ってくる。

ああ、うるさい!!


「もうさっさとここ出よう!」

「そうだな!」


というわけでまた走る。

ちなみに会話は全て声を張り上げている。

じゃないと聞こえないんだ。


走る俺たちを一定距離を保ちながらインプたちが追いかけてくる。

まったくなんだこの階層は!!

結局44層への階段を降りるまでインプの追跡は止まらず、それどころかどこから現れたのか途中で数が増したりしていた。


大したことないと言えど千を超えるであろう魔物に追い回されるのはなかなか恐怖だ。

火魔法を放ったりもしたのだが、焼け石に水くらいの効果しかなかった。

41層より更に疲れたな…


---


44層の話はやめておこう。

でてきたのはインキュバスとサキュバスだったとだけ言っておく。

奴らの能力は幻惑だ。

何があったのかは想像してくれ。

ただ一つ。

サラは怒らせてはいけないということだけわかった。


---


45層は中庭のようだった。

手入れされているであろう黒薔薇の花壇があり、中央部分には噴水があった。

本当にここは迷宮の中なのか?


「む?」

「何か来たね」

「敵ですね」


ガチャガチャという音を立て、接近してくる敵の気配。

花壇の影から現れたのは首から上がない騎士鎧だった。


―・―・―・―・―・―


[首なし騎士]ランクB

自らの首を探しさまよう亡霊騎士。

その剣術は死後も成長を続けており、腹いせのように首を切り落とされる。

彷徨う内にいつしか鎧、剣にも魔力が宿り、高度な物理耐性を獲得している。


―・―・―・―・―・―


「任せろ」

「任せた!」


笑って送り出された。

何かが違う気がする。


俺は斬鬼を抜刀し、首なし騎士へと迫る。

すると首なし騎士も腰から剣を抜いた。

なかなかの業物に思えるその剣は斬鬼と互角に打ち合った。


「ほう?」


並の剣で並の腕なら斬鬼は容易に剣ごと切り裂いただろう。

打ち合えたということはつまりそういうことなのだ。


「おもしろい!」


首なし騎士との斬り合いが始まった。

斬鬼を横から振る。

首なし騎士はそれを剣の側面で受け取める。

打ち返され返す刃で剣が振るわれる。

しゃがんで避け、足を薙ぐように斬鬼を振るが、跳んでよけられた。

そのまま上段に振り下ろされる。

なんとか避け斬鬼を振るうも弾き返された。

その勢いを利用し、一度距離を取る。

この間10秒くらいだろうか。


「早いねー」

『そうね』

「私には見えませんでした」


後ろが完全に観戦モードだ。

任せろとは言ったが丸投げされるとは思わなかった。

百歩譲って観戦以外になんかしてろよ!


「まったくあいつらは…なぁお前もそう思うだろ?」

「……」


騎士はそれに答えず、剣をこちらに向け突進してくる。

まぁ答えようにも口がないのだが。


俺はその剣を叩き落とし、カウンターを食らわせようと構える。

剣と接触し、上から力を加え落とそうとした瞬間に、相手の剣から力が抜け、逆に受け流された。

ちょうど俺が反応しにくい角度から剣が迫る。

態勢を崩しながらもなんとか避ける。

が、攻撃はそれで終わらなかった。

崩れたことによって生まれた隙に寸分違わず剣が追ってくる。

どうにか受けるが、攻撃に転じる暇がない。


「お前ほんとにランクBなのか!?」


剣の技量は同じだが、重さが違う。

俺の「完全なる完結(パーフェクトオブジエンド)」は今俺のできる最高を作り出せるが、俺の筋力などによってその結果は違ってくる。

技量が同じなら力のある方が勝つに決まっているのだ。


「…できれば刀だけでお前に勝ちたかったよ」


このままでは負けるのは自分だ。

だが、負けるわけにはいかない。

剣で相手を上回りたいという気持ちはもちろんあるのだが、それに拘わる必要はないのだ。


俺は魔法を発する。

斬鬼に灯された火が、相手の剣が当たった瞬間に燃え広がり、首なし騎士を包む。

あっさりと決着は着いた。


「お、終わった?」

「ああ、強かったな」

『最初から魔法を使えばよかったのに』


身も蓋もないことを言ってくれる。

見るとみんなの周りに骨が散らばっている。

寄ってきたスケルトンを倒していたそうだ。

全然気づかなかったな。

一対一で戦えたのはありがかった。

これからの指標もできたしな。


俺は静かに逝った首なし騎士に黙祷し、45層への階段を探し始めた。

黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:C

HP:10200

MP:6300(up)

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、光属性魔法、氷属性魔法、空間属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気、跳躍、索敵、看破、危機察知、罠発見(new)、罠解除(new)

耐魅了(new)、耐誘惑(new)、耐幻惑(new)

礼儀作法、料理

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」、「誘惑を乗り越えし者」(new)

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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