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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
35/358

第30ページ 30層ガーディアン「死を運ぶ者」

その姿はまるでタロットカードの「死神」のよう。

大きな骸骨が黒い襤褸を着、手には大鎌。

ゆらゆらと浮きながら、本来あるはずの眼球がないにも関わらず、しっかりとこちらを見ている。

そのプレッシャーは、今まで出会ってきたどの魔物よりも強かった。

体長は4mくらいといったところ。


―・―・―・―・―・―


[ザ・ナイトリッパー]ランクS

大きな墓場に出る無慈悲な断首者。

出会いし者は、何人であろうと首を刈り取られる。

光属性魔法でしか倒せないが、物理攻撃が無効というわけではない。


―・―・―・―・―・―


「トマスは下がってて。シュウ、サラ、やるよ」

「ああ」

『ええ』


ベンが神剣を抜き、俺も斬鬼を構える。

サラの周囲に旋風が生まれ、待機している。

トマスは指示通り後ろへと下がったようだ。


動いたのはどちらが先だったか。

先ほどまでゆらゆらとしていたくせに、ナイトリッパーは浮いたままこちらへと向かってきた。

そのスピードは決して早くはない。

だが、見る者に思わず恐怖を与えてしまう。

現にサラは一瞬ではるが、足が止まり動き出しが遅れてしまった。


それを横目で見つつ、ベンと共に走る。

サラはナイトリッパーよりも格下ではあるが、ベンの精霊として決してひるんだままではいられない。

心配する必要などない。


俺たちは走ってきた勢いのまま

ベンの剣と俺の斬鬼が、ほぼ同時に相手に振られる。

ナイトリッパーはそれを大鎌で受け止め、弾き返した。


着地と同時にベンは左、俺は右側へと走り込む。

大鎌は一つ。

左右同時にはさばききれない。


先にベンが先ほどと同じように飛び剣を振るう、同じように大鎌に受け止められた。

それと少しタイミングをずらし、俺も飛ぶ。

右側はがら空きだ。


「もらった!」


ガキンッ


「何っ!?」


ナイトリッパーの胴を切り裂くはずだった斬鬼は、いつの間にか手にしていたもう一つの大鎌(・・・・・・・)により受け止まられていた。


両手に一つずつ握られた大鎌が俺とベンを弾く。

先ほどよりも力を込められ、俺たちは後退をよぎなくされた。


だが、俺たちが離れたタイミングで小さな竜巻がナイトリッパーへと叩き込まれた。


「ギャっ」

『遅れてごめんなさい』


ナイトリッパーの胸に竜巻を当てたのは、もちろんサラだ。

俺たちが巻き込まれないタイミングで放ったのだろう。


「問題ない」

「効いてるね」

「ああ。それほどダメージは受けてないみたいだがな」


当たったときこそ若干よろめいたが、ナイトリッパーは何事もなかったかのように変わらぬ姿勢でそこにいた。

それにサラが悔しそうに顔を歪める。

どうやら彼女の魔力をかなり込めた一撃だったようだ。


「光魔法でしか殺せないらしいぞ」

「なら止めはシュウだね。いけそうならどんどんやって」


ここのフィールドは、もはや完全な夜だった。

空には月が浮かんでいる。

どんな理屈なのだろう。


ナイトリッパーは動かない。

だが決して隙があるわけではない。

何を考えているのだろうと思ったとき、ナイトリッパーの右手がまるで何かを呼ぶように振られた。


「っ!?またかっ!」


同時に地中からゾンビ共が這い出てくる。

それほど多くはないが、無視できる数でもない。


「サラはゾンビをお願いできる?」

『わかったわ』


サラの風が渦巻き、俺たちの周囲からゾンビだけが飛ばされていく。

見事だ。

そのまま、ゾンビと共に飛んでいく。

あの程度ならサラ一人で大丈夫だろう。


「ベンっ!」

「わかってる!」


大鎌が左右同時に振られる。

俺たちはそれをしゃがむことでかわし、ナイトリッパーへと肉迫。

しかし、いつの間にか引かれていた鎌が後ろからその刃で俺たちを斬ろうと迫ってくる。


どうにかそれを避け、更に近づくが、既に迎撃態勢は整われてしまっていた。

俺はそれを崩すために魔法を放つ。


イメージするのは閃光弾。

目をくらませるあれだ。


「弾けろっ〈光閃〉!」


サラに言われたようにイメージしたままオリジナルの詠唱をしてみた。

その効果は確かにあり、魔力をあまり使っていないのに光が大きく膨らんだ。


「ギッ」


目がないあいつに通用するのかはわからなかったが、どうやら通じたようだ。

俺はその隙を逃さず斬鬼を振るう。

狙い通り、斬鬼は肩口からやつの右腕を切り落とした。


「ギアッ」

「やるならやるって言ってよ!!」


ナイトリッパーを挟んだ向かいでベンが悲鳴をあげていた。

しまったな。


「すまん!」


素早く謝り、やつの様子を見る。

目をくらませるだけのつもりだったのだが、その光と合わさりかなり効いているようだ。

何より、腕を一本落とした。

これで・・・


「グア」

「…嘘だろ?」


ナイトリッパーが身体を揺らしたかと思うと、肩口から新しい腕が生えていた。

再生したというのか、それだけではない。

背側から新たに2本、腕が生えている。

きちんと大鎌も握られており、手数だけでこちらを上回られてしまった。


「シュウ!俺がひきつける!魔法をお願い!」

「いけるのか!?」

「問題なしっ!!」


ベンが跳躍、したかと思ったらその姿が掻き消えた。

突然のことで俺も驚くが、ベンに大鎌を当てようとしていたナイトリッパーも驚いたようだ。

動揺が見て取れる。


ベンはナイトリッパーの背後にいた。

剣が振られ、ナイトリッパーは寸でのところで気づきたのか、新たに生えた2本の腕の大鎌を交差させ防ぐ。


ベンの姿がまた消えた。

今度は上だ。

ナイトリッパーの頭上へと現れ剣が振り下ろされる。

ナイトリッパーはなんとか防ぐが、防ぐだけで精一杯のようだ。

それはそうだろう。

反撃する前に相手の姿が消え、どこに現れるかわからないのだから。


「これが、空間魔法か」


これならばいける。

俺はベンに当たらないよう光の矢を生み出す。

ライトアローと呼ばれるそうだが、そんなこと俺は知らないし、本来初級の魔法であるはずなのに俺のは中級以上の威力を持っていたそうだ。

後からベンに聞いた。


「奔れ!〈光矢〉!」


俺が生み出した幾本かの光の矢が、狙い通りナイトリッパーを貫く。

今までで一番のダメージを与えられたようで、ひるんだ敵にベンの剣も振るわれた。


「ギァァッア!」


腕がもう2本プラスされ、周囲を薙ぐ。

が、ベンには当たらないし、俺も範囲外にいる。


そこからはただの作業だった。

ベンが攪乱し、俺が射る。


何度かそれを繰り返したところで、ナイトリッパーは地に伏し、掻き消えるようにして消滅した。

黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:C

HP:10200

MP:6000

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、光属性魔法、無属性魔法、空間属性魔法(new)

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気、跳躍、索敵、看破、危機察知

礼儀作法、料理

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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