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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
32/358

第27ページ 10層から19層

「サラ!」

『ええ!』


俺の火魔法とサラの風が合わさり、火が渦巻く。

一気に10数体のスケルトンを巻き込むが、数が減った気がしない。


先ほどからこれの繰り返しだ。

スケルトンは通常の骨だけのやつと、簡易な鎧をつけたやつ、杖を持ったり弓を持ったりしてるやつと様々だ。

それによって名前が変わってくるのだが割愛。


魔法を放ってきたり矢を放ってきたりもしているが、その威力はお粗末なもので、トマスが防御できるほどだ。

だが、トマスと俺たちでは魔力量に差があるため、自分の防御だけしているようにと指示を出している。


スケルトン軍を相手取るのは俺とサラだけで十分なのだ。

しかし、数が多い。

一軍というだけあり、千はいるだろうか。


統率を取るべきものをベンが釘付けしているため隊列が徐々に崩れてきているのが救いだろうか。


『まずいわね』

「ああ、多すぎるな」

『違うわ。数だけが問題なら私とあなたでいずれ倒し尽くせる。でも、減った先から再出しているわ。おそらくあの将軍が倒れないとキリがないわね』

「それはそれは…」


ベンが早く倒してくれることを祈るしかないわけか。

倒すこと自体はまったく心配していないが、どうだろうな。

相性としては悪くないだろう。

あの将軍は別に物理攻撃無効というわけではない。


「しかし、だとするとどうするかね?」

『そうね…魔力が尽きてしまうことが問題ですもんね』


このまま続けていけばいずれは魔力が尽きる。

圧倒的な回復力を持つ俺や、自然の魔力を使えるという精霊のサラでも無限に湧き出てくるわけではない。

限界が他の者より多いというだけでいつかは無くなるのだ。


それも、広範囲魔法のように魔力を多めに使う魔法ばかりを使っている現状はかなり厳しいと言っていい。


「ベンはどれくらいであいつを倒すと思う?」

『わからないわね。愛しい子は、あまり本気というのを出さないし』

「本気を出さない?」

『というより相手の強さに合わせて闘うのよ。自覚していないみたいだけれどね』


それは今やられるときついな。

さっさと倒して欲しいところなんだが。


「…考え方を変えるか」

『考え方?』

「ああ、こいつらはいい練習台だと思うことにしよう」


魔力が切れる心配は確かにあるが、逆に言えば魔力が切れるまでこいつらは何の脅威にもならない。

街中だと使えないような魔法の練習をするにはいいだろう。


「付き合ってもらうぞ、お前ら」


笑う。

意思を持たないはずのスケルトンたちが一歩退いた気がしたが、気にしない。

隣のサラが遠ざかる気配がしたが気にしない。


火属性の魔法はこの迷宮で多いに使ったのでほぼ練習は必要ない。

といっても火力調整とかはいるかもしれないがこのスケルトンたちはその練習相手には向かない。


なので俺は今まで使ってない属性の広域用魔法を考えることにした。

まずは最初に覚えた光。


イメージするのは日差し。

上空に光球を打ち上げ、そこから光を放つ。


放たれた光はスケルトン軍へと降り注ぐ。

陽光をイメージしているため柔らかいはずのその光に触れたスケルトンは拍子抜けなくらいにあっさりと崩れていく。


光は徐々にその照らす範囲が広がっていき、千の軍勢が入っても軽々とした広さのこの部屋を満たした。


「…おや?」


気づけば部屋の中にあれほどいたスケルトンは全てがいなくなっていた。

トマスは目を伏せ、サラも呆れ顔だ。

ゆっくりとベンの方にも顔を向けると、ポカンとしていたベンと目が合い。

ごめん、と手を合わせると思いっきり脱力された。

うん、申し訳ないな。


---


「まったく…」

「悪かったって」


スケルトン軍を殲滅した俺たちは、一度10層で休憩を取ることにした。

これまでも休憩ポイントはあったのだが、そんなに消耗していなかったため無視したのだ。


ベンはなかなか許してくれない。

聞けば、やっとジェネラルが本気モードに移行して楽しくなるところだったという。

いや、さっさと倒せよと思ったが言えない。


『ところで人の子、あなたは詠唱をしないの?』

「ん?必要ないだろ?」

『確かに無詠唱でも魔法を発動できるけれど、詠唱した方がイメージが固まり、より強力な魔法を使えるわ。オリジナルでもいいから考えてみるといいわよ』

「そうなのか。わかった」

『まぁ無詠唱であれだけの威力なら十分なのだけどね』


詠唱か。

なんか厨二みたいになりそうだから嫌だったんだが、威力が上がるなら考えないとな。


休憩を終え俺たちは11層へと降りた。

11層は1層目と同じように洞窟のようだが、1層よりも更にジメジメしており、どうやら水脈があるようだ。


「…何かいるな」

「多いね」


しばらく進むと前方からはかなりの数の気配。

ただ一つ一つは小さいようでそれほどの脅威は感じない。


「来た」


うるさいくらいの羽音と奇声を上げながら、その集団はこちらに向かってきた。


―・―・―・―・―・―


[ゾンビバット]ランクD

洞窟内に生息する蝙蝠がアンデッド化した魔物。

強力な超音波を放ち、常時群れで行動するため厄介。

その鋭い牙には猛毒がある。


―・―・―・―・―・―


「まためんどくさそうな奴らだ」

『私が』


言うやいなやサラは前方に気流を生じさせ、俺らを包んだ。

これで蝙蝠が俺らに攻撃してくることはできなくなる。


サラはその気流の速度を上げていき、巻き込まれた蝙蝠はまるでミキサーにかけられたかのようにボロボロになり跳ね飛ばされる。


「この技ひどいな」

「俺もそう思うよ…」


俺とベンは若干引いてしまったが、サラは満足気だ。

いや、すごい。


11層から19層はどうやら洞窟のエリアのようで、下っても下っても景色が変わらなかった。

ただ、途中から川ができ、水辺の魔物も現れた。

まぁ全てアンデットだったが。


―・―・―・―・―・―


[マーマンゾンビ]ランクC

半魚人のゾンビ。

アンデッドとなったことにより水辺でしか生活できなくなり、潜水能力が失われた。

しかし、その筋力は通常のゾンビを遥かに上回り、ある程度の水を操る能力を有する。


[ボーンフィッシュ]ランクD

魚の死骸が意思を持った生命体。

主に水中で活動しているが、付近を生きたものが通ると飛んでくる。

地上で活動できるわけではないので、最初の噛み付きを避けてしまえばあとは飛び跳ねるだけ。


[スカルフィッシュ]

古代魚の遺骸が意思を持った生命体。

水だけでなく空をも泳ぎ、その鋭い牙により獲物を捕食する。

骨のみの姿であるが、食べた獲物がどこに消えているのかは不明。


[アンデッドバット・リーダー]ランクC

アンデッドバットのリーダー。

通常の個体よりも体格が大きく、より強力な超音波と猛毒を使う。

魔法耐性がやや高い。


―・―・―・―・―・―


とまぁこんなかんじだった。

だが、特に問題なしで突き進み、次が20層目。

おそらくボス部屋だ。


さてお次は何が出るかな?

ボス戦が予想以上に短くなり前話にいれればよかったと後悔しております。

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