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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
312/358

第267ページ 一度目

間に合わなかった…orz

すみません。

血核(けっかく)を狙え』

「血核?」

『吸血鬼の核じゃ。魔物にとっての魔石と同じくそれさえ破壊すれば奴は死ぬ!』

「場所は?」

『心臓じゃ!』


オピスの声を聞き、天羽々斬を心臓へと狙い定める。

魔力を与えた天羽々斬がそれに応じ、その刀身を素早く伸ばし、心臓を刺さんとする。


ガキンと音を立て、天羽々斬の剣先は、ウルデルコの少し手前で止められた。

それは赫く輝く鱗のようなもの。


「寸分違わず心臓を狙ってきたか。怖ろしい奴め」

「吸血鬼は串刺しだと、相場は決まっている!」

「言うではないか!」


軽口をたたき合う間にも攻防は続く。

俺を絡め取ろうと伸びてくる闇の触手を跳んでかわしながら、触手ごと焼きつくさんばかりに炎を放つ。

更には奴の後ろからも光りの槍を放っていく。


ウルデルコは後ろの防御を完全に闇に任せ、炎の海をものともせずこちらへと迫ってくる。

俺はそんな奴の動きに対し、回避ではなく特攻を選択。

激突するような形で、手刀と神刀が重なり合う。


「ぬぅ?」

「チッ!魔力を通した神刀で斬れないとかどうなってるんだ!?」

「いやいや、よく見るといい。血が出ているぞ?」

「うるさいわっ!」


正面から斬るつもりでいたにもかかわらず、ウルデルコの手は少し斬れた程度。

ダメージと言えるダメージではない。


炎が空を炙り、氷の矢が火を斬り裂く。

闇が蠢き、光が舞う。

双方の得意な魔法が入り混じり、致死の一撃を加えんとするが、どちらの攻撃も相手に届かない。


俺はスピードによって、相手の魔法をかわし、逸らすことで。

ウルデルコはその純粋な硬さによって。


「吸血鬼の防御力がそんな高いなんて聞いたことがないんだがな!?」

「私も竜になる人なぞ聞いたことないのだからおあいこだな!」


迫るウルデルコの拳を、竜の尾ではたいて方向を変える。

体勢の崩れたところに今度は俺の爪が伸びるが、ウルデルコはそれを強引に掴み取り、放り投げた。


吹っ飛ばされながらも、発動していた魔法がウルデルコを襲う。

ウルデルコの周囲全てに展開されていた風の矢が一斉に射出された。


ウルデルコはその身を霧に変え、その魔法から逃れる。

そこにすかさず、電撃をお見舞いしてやる。


「ぐぅっ!?」


初めて、ダメージが通ったのではなかろうか。

ウルデルコの呻き声が聞こえ、すぐにその姿が霧から元へと戻った。


「なるほど…霧は言ってしまえば水。水に電気はよく通るというわけか」


純水は逆に電気を通さないが、空気中に漂っている霧であるならばそれは気にしなくていい。

うまくいってよかった。


「これで、お前は簡単に霧には変じられないだろう?」

「はっ、やってくれるわ!!」


ウルデルコから闇が吹きだし、俺を捕らえようと迫ってくる。

俺はそれに光りの奔流で応戦し、一瞬だけ浮力を下げ重力に任せて降下、空を蹴りウルデルコへと駆ける。

だがそれは、ウルデルコにとって予想された動作だったようだ。


待ちかまえ、氷の槍をこちらへと放ってくる。


「くっ!?」


走り出した瞬間の一番避けづらいタイミングで投躑された氷の槍をどうにか避ける。

当然、崩れた体勢を見逃さず、今度は接近していたウルデルコ本人による回し蹴りが背中へと直撃し、俺を上空へと吹き飛ばす。


「がっ!?」

「はっはぁ!」


翼をはばたかせ、弾丸のような勢いで迫ってくる、ウルデルコに対し俺は


「ぐおっ!?」


ニヤリと口角を上げた。


ウルデルコの周りを飛ぶ小さな銀色の玉。

俺が発動した魔道具。


―・―・―・―・―・―


魔道具(マジックアイテム)銀獣弾(シルバーブレッド)

品質A、レア度6、魔道具職人ファルネ・ジルベスター作。

魔力を通し放つと狙ったモノを破壊するまで動き続ける銀の追尾弾。


―・―・―・―・―・―


もう随分前のことのように思えるが、王都で研究所を救援した時の報酬として貰っていたものだ。

今まで使う必要がなかったが、吸血鬼には銀だろう。


普通に飛ばすだけではウルデルコの心臓を貫くなどできなかっただろうが、ユニークスキル<存在消去(ステルス)>は俺の装備品にも効果を発揮する。

手元から離れ飛び続けていればいずれは装備品という枠から外れてしまうだろうが、放たれてすぐならば問題ない。

俺の近くへと迫って来ていたウルデルコに当てる程度ならば。


「ぐぅっ…」


心臓を貫通した弾丸は更に追い打ちをかけるが、ウルデルコはバッとそれを掴み取り、握りつぶした。

破壊されてしまえばさすがに動くことができずに役目を終えた銀の弾丸の破片が風に流されていく。


《スキル「不死」を習得しました》

《条件を満たしましたのでスキル「不死」「完全回復」が統合されます》

《ユニークスキル「黄金の秘法(パーフェクトボディー)」を習得しました》


「驚いたぞ。私の血核を破壊するとはな」

「いやいや、血核は吸血鬼にとって弱点なんだろう?破壊されたら死んでおけよ」

「ふふ、仕組みはわかっているだろう?」

「ああ。だがこれで、あと一度だぞ」

「そうだな。だが、二度目は効かん」

「どうかな?」


無詠唱で「短距離転移(ショートジャンプ)」を発動。

存在消去(ステルス)>を併用し、ウルデルコの背中から心臓目がけて神刀を突きだす。


ガキンッ


「なっ!?」

「無駄だと言った」


ニヤリと笑い返してきたウルデルコが、その腕を振るう。

俺の左肩から袈裟切りに腕が通過し、俺の身体から勢いよく血が噴き出した。

今日中にもう一本なんとか更新したいところ。

当分本業が忙しいのですがなんとか頑張っていきたい…

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