第263ページ vsウルデルコ
ギリギリですが今日はなんとか更新できてよかったです。
昨日はできずすみませんでした。
ガキンッと音を立て、神刀とウルデルコの手刀が激突する。
解合を使っていないとはいえ神刀の切れ味は業物にも勝る。
その神刀と、魔力で強化しているとはいえ素手で打ち合えるとは、まったく化物め。
「ほう?その刀…」
「知っているのか?」
「知らぬが、尋常ではない力だな。思わず震えてしまうよ」
「それはどうもっ!」
天羽々斬を大きく振り払い、向こうが距離を開けるのと同時に俺も後方へと下がる。
「ふはっ」
思わずといったようにウルデルコが笑う。
ウルデルコからは、断続的に肉が焼けるような音がしている。
吸血鬼に太陽は、それが始祖だとしても有効なようだ。
だが、その身を一瞬で燃やし尽くされたりはしないのか。
「はは、太陽にやられぬのが不思議か?」
「正直に言えばその通りだ。教えてくれるのか?」
「考えてみたまえ!」
空を蹴り踏み込んでくるウルデルコに対し、俺は魔法を放つ。
「光線照射!」
俺の背後で十の光りが輝き、光線を放つ。
光魔法は吸血鬼に対し有効な攻撃手段の一つだ。
「ふはは!効かん!」
ウルデルコは放たれた光線の最初の一本を片手で受け止め弾き、残りのものは身体に当たろうが構わず突き進んでくる。
ダメージを受けている様子はない。
《スキル「闇纏」を習得しました》
「まさか、光りが届いていないのか!?」
「その通りだ!」
強引に光りの弾幕を抜けてきたウルデルコの身体、その周りに極薄ではあるが闇が展開されていることがわかる。
その闇によって、光りは奴の身体に届く前に方向を捻じ曲げられてしまうようだ。
それでも全ての光りを反射することはできていない為、少しずつダメージは入っているはずなのだが、それだけで削りきるのは不可能に近いだろう。
同時に闇は身体の強化と硬化もすることができるスキルのようだ。
突き出された手刀を天羽々斬で弾き、飛んできた蹴りを大きく跳躍する事で回避する。
光魔法の利点がほとんどなくなったため、「火鳥乱舞!」と叫んで火の鳥を舞い踊らせる。
ウルデルコはニヤリと笑い、素手で火の鳥をかき消し始めた。
「出し惜しみしている余裕はないな」
まずは普段滅多にやらない相手の鑑定。
―・―・―・―・―・―
ウルデルコ・ギスターブ 1006歳 男
種族:吸血鬼
HP:10900666
MP:9478000
魔法属性:闇、氷
<スキル>
格闘術、剣術、槍術
闇属性魔法、氷属性魔法、無属性魔法
身体強化、魔力制御、完全回復、闇纏
覇気、浸透撃
耐光、耐睡眠、恒温体、貫心
吸血、飛翔、魅了、変化、心眼、不死
<ユニークスキル>
「鮮血の月夜」
<称号>
「始祖吸血鬼」、「吸血鬼の王」、「災禍」、「人族の天敵」、「魔族の天敵」、「国崩し」、「美学に殉ず者」、「竜殺し」、「巨人殺し」、「魔物の天敵」、「恐怖の権化」、「夜の王」、「戦闘狂」、「頂点捕食者」、「群れを率いる者」、「不死者」
<加護>
「破壊神の加護」
―・―・―・―・―・―
本当に…化物め。
なんだそのHP量は。
それにスキルに<不死>があるんだが…
どうやって倒せばいいんだ?
スキルの説明を見れば、<不死>は別に死なないということではないらしく、HPが0になると日に一度だけHP満タンの状態で復活するということらしいが、つまり一千万越えのHPを二度削りきらないといけないということだ。
今のところ明確にダメージを与える方法もわからないこの男に対して。
「とにかく試してみるしかないか…」
魔法属性的に考えて、闇魔法と氷魔法は効きが悪いと考えられる。
吸血鬼の属性としてもそれは正しいと<全知>が教えてくれ、弱点としていくつか挙げられるが、そのうち最も有効だと思われた太陽光は闇纏に阻まれる。
光魔法は、実際には全てが太陽光という訳ではない為、更に効きが悪くなっていると考えられる。
火魔法も、並大抵ではダメージが通らないようだ。
次々に蹂躙されていく火の鳥が今まさにそれを証明している。
「雷刃!」
火の鳥も残り少なくなり、効果が認められないと分かった時点で、火の鳥を攻撃ではなく目隠しとして活用。
雷の刃を降らせる。
狙い違わずウルデルコに雷撃は当たり、同時に爆発させた火の鳥と合わさり煙が生まれる。
「ウイングアロー、アイスランス!」
そこへ全方位からの風の矢を放ち、ダメ押しとばかりに氷の槍も付け加える。
ワームを串刺しにした技だが、どうにも手ごたえが感じられない。
そして案の定、煙が晴れた時そこにウルデルコの姿はなかった。
「どこへ!?」
マップを確認しても、赤の光点は確認できない。
そう思った瞬間、俺の後ろにいきなり光点が生まれる。
「なっ!?」
振り向きながら手をクロスし、頭を防御。
そこへ、地竜にでも撥ねられたかのような衝撃が訪れ、俺の意識を奪いにかかった。




