表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第一章 初めての異世界「辺境の街」編
3/358

第2ページ 自己紹介

2015/4/10:狼型魔物の名前を変更しました。

女騎士の方を見るとむこうもちょうど終わったようで剣を振り抜いた姿勢だった。

軽く振って血糊を落とし、鞘に収める姿はなぜだかとても美しく思えた。

すると視線を感じたのか女騎士がこちらを向く。


「そちらも終わったようだな」

「ああ。向こうも大丈夫そうだ」


俺が親指でくいっと他の奴らを示してやると、女騎士はそちらを向き、地面にへばっている騎士たちを見て苦笑を浮かべている。

しばらくしてこちらに視線を戻し、兜を取りゆっくりと頭を下げる。


「この度はご助力頂き感謝する」

「あ、いやそんな」


俺はその態度に少し意外なかんじがし、どう対応したらいいかわからず慌ててしまった。

兜を付けたままではわからなかったが、年の頃は20代後半といったところ。

美しい金色の髪が揺れている。

彼女の碧い瞳と合わさってより一層の美しさを醸し出している。絵に描いたような美人だ。


「申し遅れた。私はラッセン辺境伯にお仕えする、エルーシャ・フォン・グラス。一応、第三騎士隊隊長を務めさせていただいている。貴殿の名を聞いてもよいだろうか?」


エルーシャと名乗った女性が顔をあげ、こちらを窺うように見てくる。

俺の方が身長が低いため、若干見上げる形になってしまう。

そのことが少し気に障ったがもう慣れたものなので気にしないことにする。


「俺は黒葉周。無事助けられてよかった」

「そうか、シュウ殿。それともクロバ殿だろうか?」

「ああ、どっちでもいいけど、ここだとシュウ=クロバになるのかな?クロバが家名だ」

「なるほど。ではクロバ殿と。それでクロバ殿。助けていただいて申し訳ないが、あなたは何者だ?ウォーウルフを無手で屠れる者などそうそういない。かなりの強者とお見受けするが・・・」


あの狼みたいなのウォーウルフっていうのか。と、俺はそんなどうでもいいことを考え、同時になんて答えるかを考えていた。

この世界が異世界であることはもう疑いようがない。

ではどうするか。こちらで俺のような異世界人がどう受け止められているかわからない以上、下手なことは言わないほうがいいだろう。

そう考え俺は適当に答えることにした。


「ああ…なんていうか…修行中の旅人的な?」


そう言って曖昧に微笑む俺にエリーシャはますます疑わしげな視線を向ける。

ふむ…どうするか…

俺が心中で悩んでいると俺は何もしていないが事態は好転した。


「あの…」

「お嬢様!」


馬車からあの少女が出てきたのだ。

お嬢様…ね。


「紹介しよう。こちらは私が仕えているラッセン辺境伯のご息女であらせられる、ララシーヌ・フォン・ラッセンお嬢様。お嬢様、こちら危ないところを助けていただいた、シュウ・クロバ殿です」

「初めまして、ララシーヌ・フォン・ラッセンと申します。よろしければララとお呼びください。助けていただきありがとうございます」


そう言ってララはスカートをつまみお辞儀をする丁寧な礼をしてくれた。

栗毛色の髪をなびかせ、金の瞳をしている。


「シュウ・クロバだ」

「シュウ様ですね?それでシュウ様はなぜこのような場所に?」


さて、状況が戻ったな。だが、お嬢様の方は単純に疑問に思っているだけのようだ。これなら情報収集できるかな?


「あー…旅の途中でな。ここらへんには来たばかりでわからないことが多いのだが、ここから一番近い街はどこだ?」

「それでしたらガイアにいらしてください!お礼もしたいですわ!」

「お嬢様それはっ!」

「ガイア?」

「私の父が治めている街ですわ!ここから馬車でだと夕方までには着きますわ!」


なるほど。つまりここは辺境ということか。なんて国かはわからんが。


「そこまで付いていってもいいか?」

「もちろんですわ!」

「お嬢様!」

「あら、エルは私に恩人への礼もせずにいろと言うんですの?」

「そ、それは…」

「さ、シュウ様中へお入りください。私は彼らを回復させてから行きますわ」


そう言ってララは、怪我を負っている騎士に近づいていく。


「光よ、癒せ〈ヒール〉」


ララが唱えるとどこからともなく現れた光が騎士たちの怪我へと集中し、光が収まったときには怪我が消えていた。

あるとは思っていたが・・・魔法か。


「お嬢様は光魔法。その中でも回復の魔法が得意なのだ」


俺の表情をどう判断したのかエルーシャが言ってくれる。


「そうなのか。いいものが視れた・・・な」


俺の言葉に少し不思議そうな顔をこちらに向けてきたが、俺はそれには反応せずに馬車の中へと入った。

そんな俺に、エルーシャも特に声をかけてくるようなことはなかった。

今の反応を見るにこの世界で魔法というものは当たり前なものなのだろう。だが、問題はない。

あれはもう視た・・のだ。

使えないとは思えない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ