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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
295/358

第253ページ 強行突破

「アステールは休んでてくれ」

「クル…」


森へと入る俺達に、アステールは付いてきたそうにしていたが、まだ全快したわけではない。

それだけジルガに付けられた傷は大きかったのだ。

チラリとジルガの方を見ると、複雑そうな顔をしていた。

アステールに対し申し訳ないとは思っているが、自分のやったことを間違いとは思っていないという感じだな。

まぁそれも仕方ない。

だが、アステールがジルガを嫌うのも仕方ないと思ってもらおう。


「ほら、アステール。威嚇するな」

「グルルゥゥ」


アステールがここまで人を嫌うのは珍しいな。


「エシル、アステールをよろしく頼むぞ」

「でも私は…」

「頼むぞ」

「…わかったわ」


こちらへと近付いてくる気配に振り返ると、セルゲイとその妻アンが神妙な顔をして来ていた。


「我等の事情に巻き込んでしまって申し訳ない」

「いや、報酬を貰うならこれは仕事だ」

「…ありがとう」


頭を軽く下げてくるセルゲイとアンに頷き、ジルガの方を向く。


「行くか」

「ああ」


ジルガは頷くと身体を人狼形態へと変貌させる。


「アオーーーーン!」


一声遠吠えを上げて、気合い十分に俺達は夜の森へと踏み込んだ。


---


「多すぎる!!」

「まったくだな!!」


襲い掛かってくる虫型の魔物や獣型の魔物を斬り伏せながら、奥へと進んでいくがその速度は一向に上がらない。

むしろどんどん増えていく魔物に時間が取られてばかりだ。


更に俺はあまり大きな魔法が使えない。

火魔法は言わずもがな、他の魔法も森内で使ってしまうと逆に大きな魔物を引き寄せることになりかねない。


仕方ないので土魔法を使っているんだが、何の加護もない土魔法では手が足りずに双月を振るうことになっている。

それでも、魔力量に物を言わせて石礫の散弾を叩き込んでいるんだが、虫型魔物は生命力が嫌になるほど高いらしく、運よく魔石を破壊できなければ一発では死なない。


更には、深淵の森と似たようなもので、森を進むほど魔物の強さも上がっているようだ。


「くそっ!どっかそこらへんに生えてないのか!?」

「月無花は月の光りを十分に浴びて育つ!つまりは樹の下なんかじゃ育たねぇ!この森に開けた場所は奥に行かねぇとないんだよ!」


押し寄せてくる魔物達を撃退しつつ会話をすると、どうしても怒鳴りあっているようになってしまう。

人狼状態だと声が深くなるというか、良く響くのでなかなかの迫力がある。


「っ!?危ないっ!!」


チラリとジルガの方を見ると、その後ろから一匹の魔物が飛びかかっていた。

ジルガは前の魔物に対処していて気付いていない。

俺は咄嗟に土の壁を作り出し、ジルガの背を守る。


「ぐあっ!」


同時に、俺の一瞬の隙を付いて跳びついてきた魔物によって背中にダメージを受けた。

すぐに素手で掴んで引き離し、一瞬だけ手から火を放ち燃やしつくす。

火にひるんだのか、虫型の魔物が若干後ずさった瞬間に<竜の化身(ドラゴンフォース)>を発動。

身体を鱗が包んでいく。


「お前…」


ジルガが何か言いたそうにしているが無視し、防御を気にする必要のなくなった身体で魔物の群れへと突っ込み、少しでもその数を減らしておく。


「来いジルガ!!」


ジルガは俺の声に従い後ろへと付く。

魔力を全開にし、多少の犠牲には目をつむって貰おう。


竜の驀進(ドラゴンチャージ)!!」


ジルガの身体を竜の尻尾で掴み、一気に、森の奥へと進んでいく。

前にいた魔物達は、移動の余波に巻き込まれ塵となり、後ろにいた魔物達は俺が起こす風と地を蹴った際の土砂によって行動不能に陥られる。


「ぎゃぁぁぁぁぁ!?」


ジルガの絶叫を聞きながら、俺達は魔物の群れを強引に突破した。

リクエスト受付を終了します。

ありがとうございました。

頂いたリクエストのうち、主人公3人の集合につきましては本編でいずれ必ず出させて頂きますのでお待ちください。

神視点はこの章が終わった際に閑話でさせて頂きます。

よって、従魔視点と主人公たちの食道楽、キャプテンのお話を書かせて頂きます。

が、現状キャプテンのお話はどうするか案が全くない状態です。

遅れるかもしれませんがご了承ください。

SS投稿は21日金曜日を予定しております。

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