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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
29/358

第24ページ 深淵の森・一日目

「なんというか…拍子抜けだな」

「確かに」


深淵の森を進む俺たち一行。

だが、ここまで魔物の襲撃はない。

いないわけではなく、視線は感じているのだがな。


「それはあなた方がいるからだと思いますよ?」

「どういうこと?」

「ここ深淵の森はランクC以上の魔物しか生息しておらず、奥に進むほど強い魔物が出てくることがわかっています。それはつまり、強さによって生息区域が明確に分かれているということです。となれば相手の強さを測る力が備わっているとみるべきでしょう。そして、あなた方は単体でランクA魔物を屠れる実力者。無闇にかかってきたりはしないでしょう」

「ということは…」

「進めば進むほど襲撃も増えるし、更に襲撃者の実力も上ってことか」

「そうなりますね」


それはそれは…

雑魚に関わらないだけ時間の節約ができると考えるべきか、後から大物が押し寄せてくるのをめんどくさがればいいいのか。


「お?」

「来たね」

「来ましたね」


目の前には20匹いるだろう魔物の群れ。

白い毛の猿のような魔物はそれぞれが棍棒のようなただの木のような武器を持ちこちらを睥睨していた。


―・―・―・―・―・―


[ホワイトエイプ]ランクD

白い毛並みを持つ猿型の魔物。

単体ではランクDであるが、群れで生息しており、群れを一つの魔物とした場合ランクC程度の力と連携を発揮する。

猿以上人間未満の知能を有する。


―・―・―・―・―・―


その20の群れの奥。

一際大きな体躯を持ち、猿というよりはゴリラというほどの影。


―・―・―・―・―・―


[シルバーバック]ランクB

ホワイトエイプの上位種。

ホワイトエイプの群れを統率する長。

銀の毛並みを持ち、ホワイトエイプとは比べ物にならないほどの膂力を持つ。

人間とほぼ変わらぬ知能を有する。


―・―・―・―・―・―


「ホワイトエイプにシルバーバックだな」

「便利だよね、その目」

「まぁな」


俺とベンが同時に一歩前へ出る。

同時にトマスは一歩下がる。

トマスは一般的な騎士程度の戦闘能力しかないため、自然とこういう編成になる。


俺は左腰に下げた斬鬼を引き抜く。

ちなみに斬鬼はキーの中に入れてない。

何かあったとき咄嗟に反応できるように、だ。


隣ではベンも剣を抜いていた。

その剣は一目で業物とわかるもので、白銀の刀身をした細身の両刃剣だった。


視線を合わせると二人同時に頷き、一歩を踏み出す。

俺たちクラスになると、一歩あれば十分相手との距離を詰めれる。

猿たちは反応もできない。


蹂躙。

猿たちは数を生かし、俺たちを囲み何かをしようとしていたようだが、俺とベンのスピードがそれを許さない。


森の中ということで多少暴れにくくはあるが、そんなことは問題にならないほどの力量が既に備わっている。

斬鬼のひと振りで何匹かの頭が胴と分かれる。

ベンの剣がきらめき、猿を切り裂く。


ホワイトエイプは群れとなってようやくCランクの魔物。

多少地の利が向こうにあろうともその程度の魔物に苦戦する俺らではない。


だから、俺は余裕を持って、ベンの太刀筋を見ていた。

その剣は、華麗であり、流れるように死を与える。

なんと言っても驚くのはその速さだ。

軌道を追うのがやっとのその剣速は猿の身体を軽々と両断する。


ベンの腕と、剣の質があり初めて生まれるであろう技。

まるで舞っているかのように見える鮮やかな手並みだった。


ほんの数分でホワイトエイプの群れは駆逐される。

残っているのはシルバーバックのみ。


長としてのプライドか、退くということはしないようだ。

その身の筋肉が盛り上がり、一気に飛び上がる。


隣でベンが反応したのが見えた。

俺は斬鬼を鞘に収める。


ベンはほとんど力を入れてないのではという軽さで地面を蹴る。

振り下ろされるシルバーバックの拳と、ベンの剣が交差する。

シルバーバックが大きな音を立てて俺の近くへと着地する。

その後、ベンが音もなく着地。

同時にシルバーバックの巨体が前のめりに倒れた。

ドンと重い音がする。


なんてことはない。

空中にいるうちに勝負は決まっていたというだけの話。

シルバーバックの拳はベンに当たらず、ベンの剣はシルバーバックを斬った。

それだけの話だ。


「あー疲れた!」


振り返ったベンには返り血の一滴も付いていない。

あれだけの数を斬っておきながら返り血も浴びないほどの剣舞。

さすが、というべきなのか。


「嘘をつくな。余裕だっただろう」


若干呆れながら返すと心外だ、と言わんばかりの顔をしている。

汗一つ掻いてない状態で何を言っているんだ。


「いえ、シュウ様もですからね?」


後ろからトマスが声をかけてくるが、気にしない気にしない。


「今何時だ?」

「うんと…17時くらいだね」

「なら野営に適した場所を見つけたらそこで今日は終わりにするか」

「そうだね」

「にしてもいいな時計」

「王都なら売ってるよ?」


ベンの手には懐中時計。

特に魔法を使ったアイテムではないのだが、それはそれですごい。

安定した供給もできているそうだし。


「王都か、行ってみるかな」

「いつかはおいでよ。うちに寄ってくれれば歓迎するよ」


俺は苦笑して答えを濁す。

ベンだけならいいのだが、貴族の家など好んで行きたいものではない。

その考えが読み取れたのかベンも苦笑気味だ。


「大丈夫大丈夫。さすがにラッセン辺境伯ほどフランクではないけど、うちもゆるい方だから」

「へー?」

「はぁ…まったくこの国に二家しかない公爵家がゆるいなど…」


後ろでトマスが首を振っている。

今なんだかすごい爆弾発言があった気がしたが聞かなかったことにしよう。


「ところで、シルバーバックがでてきたってことはもうそれなりに進んだってことなのかな?」

「あいつはBランク魔物だが、群れをしきっていたようだから、ちょうどCとBの魔物が出てくる境くらいのやつだったんじゃないか?」

「となるとここはもうBランク魔物の生息エリアってことかな?」

「そうなるな」


油断はできないが、そんなに警戒するほどではない。

ベンも俺も単純な実力だけでランクにしたらS以上は確実だろう。

それにトマスがいてくれるというのもありがたい。


彼の持つスキル危機察知は、自分に迫るあらゆる危険を察知するというそのままのスキル。

俺も使えるようになったが、俺やベンが使っても危険だと感じていなかったら発動しないため、高い戦闘能力を持たないトマスが使っているというだけで俺たちにとっては取るに足らない敵であろうと感知しそこねるということはないのだ。


まぁそもそもの問題として俺もベンも様々な要因で気配には敏感になっている。

ちょっとやそっとのものではこのパーティーに奇襲するなんて無理だろう。


「おや?」

「ん?」

「これは…」


進んでいくと少し開けた場所に出た。

目の前には大きな湖があり、今まで鬱屈としていた雰囲気がない。


「湖だね」

「ああ、綺麗だな」

「そうですね」


あまり日が届かない森の中にいたため、そこだけ別世界のような色合いを見せている。

俺はカメラを取り出し、その一種不思議な光景を撮る。

湖の中に何か大きめの影が揺らいだ気がしたが気にしない。


「ここで野営をするか?」

「いや、水場の近くは魔物も水を飲みに来たりするから危険だよ」

「ですがこれだけ開けていれば逆によいのでは?」


色々な意見が出たが、結局ここらへんに出てくる魔物なら返り討ちにもできるだろうし問題はないだろう、ということになった。


俺はグラハムからもらったマジックテントを取り出す。


「あれ?それって…」

「ああグラハムからもらったんだ」

「やっぱそうなの!懐かしいなー」


ベンは昔グラハムと冒険に行ったことがあるらしい。

そこで色んなことを教えてもらい、ベンにとってグラハムは先生のようなものだそうだ。

あのおっさんがねー。


俺のテントは人3人くらいは入れるスペースは確保できるのだが、一人は見張りとして外で過ごす。

トマスが料理をしているのを見ながら、俺とベンでこれからどうするかを話す。


「今がBランク魔物の生息域だと過程して、Sランクが出てくるあたりでやめといた方がいいだろうね」

「そうだな。単体ならまだしも複数同時に来られたらまだ難しそうだ」


帰りはベンの空間魔法で一瞬だそうだ。

便利なことだ。


トマスの料理を食べ終え、ベン、トマス、俺の順番で見張りをすることになった。

これはトマスがベンを睡眠が中途半端になるベンを真ん中の番にすることを嫌がりったためだ。

別に俺が真ん中でもよかったのだが、トマスは戦闘で役にたたないからと譲らなかった。

戦闘以外で大いに役立ってくれているからいいのにな。


そんなこんなで、怪我一つなく深淵の森の一日目は終了した。

黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:C

HP:10200

MP:6000

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、光属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気、跳躍(new)、索敵(new)、看破(new)、危機察知(new)

礼儀作法、料理(new)

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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