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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
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第248ページ 魔力量と情報交換

俺は貰った腕輪を早速つけてみる。

黒の連なる魔石が一瞬光りを放ったが、それだけ。

自分的にはまったく変ったように無いんだが、何か変わっただろうか?


「ふむ…なるほど。環境魔力を摂り込んでおるのか」

「環境魔力?」


言葉に出した瞬間に頭に知識が浮かんでくる。


―・―・―・―・―・―


[名]環境魔力

自然に存在し、空気中を漂っている魔力。

動物、植物を含めあらゆる生物から無意識に放出されている魔力と言われているが、その実はこの星アルファリアが有している魔力が大部分を占める。

竜や魔法を使う上位種には己の魔力として取り入れることが可能なものである。

生物が魔法を使う際に体外へと魔力を流し形を成す手伝いもする。


―・―・―・―・―・―


「其方は無意識のうちに環境魔力を摂り込み、自身の力としておるようじゃ。円滑かつ、無意識的にじゃから無限の魔力を有しておるようなものじゃ。戦闘において魔力切れの心配がないことは良いのじゃろうが、今の場合は邪魔じゃの。環境魔力を摂り込んだ端から隠蔽しておるから、逆に魔力が突然途切れるという不自然なことになっておる」


辺りは空気で満ちているというのにそこだけ真空になっているようなもの。

魔力の消失により逆に俺の居場所が浮き彫りになっていると。


「どうすればいい?」

「簡単じゃ。魔力を摂り込むのを止めればよい。戦闘時にはまたすればいいだけじゃからの。だいたい環境魔力を片っぱしから摂りこんでおいて使いもせず貯めれておる其方の身体がおかしい。普通ならとっくに限界で内からボンじゃ」


…まさかそんな瀬戸際だったとは。


俺は意識して魔力の流れを視界に入れる。


万有力引(エナジードレイン)>によって確かに周囲の魔力が俺へと流れ込んできており、自身の魔力になっているのがわかる。

万有力引(エナジードレイン)>の効果を止めると、その流れも止まった。


「止まったの。あとは腕輪を調整し、一般人よりも少し多いくらいの魔力にしておくとよいぞ。この魔大陸で魔力が全く見えんというのは怪しい者ですと言っておるようなもんじゃ」


言われた通りに俺は腕輪をいじる。

見ると腕輪に連なっている魔石の向きによって隠蔽する量が決められるようになっている。

魔石は全部で10個付いており、それぞれが一割を隠蔽しているようだ。


試しに二個ほど裏返してみたが、まだ多いと言われた。

更に二個裏返すがまだ多い。

もう一度二個裏返しようやくそれくらいならいいかと言われる。


つまり魔族の一般よりも少し多いくらいとは俺の総魔力量の四割ということになる。

意外と少ないんだな。


「何度も言わせるな。其方が規格外なのじゃ」


呆れたように首を振るケミリアスさんに肩をすくめて答える。


「ありがとう。良い物を貰ったよ。それで、図々しいとは思うが少しお願いがあるだが…」

「なんじゃ?」

「今夜俺たちをここに泊めてくれないか?」

「ほ?」


俺はここに来るまでにあったことを説明する。

アステールの羽や、爪。

ブラックホッポグリフという種そのものが、この町の魔術師たちにとっては垂涎の素材であること。

それを狙って襲いかかってきそうな気配がいくつもあること。

襲いかかられたところで撃退は容易であるが、ここが町中であり相手が一般人だとすれば自衛としたところでどうなるかわからないということなど。


「そういうことならよいぞ」

「有難い。この空間内にいさせてくれるならどこでもいいんだ」

「ふむ…じゃ、好きなところで過ごすとよいぞい」

「ありがとう」

「さて、話は終わりじゃな?ならば少々お主のことを聞きたいんじゃが…」

「ああ、なんでも聞いてくれ」


俺は情報通というケミリアスさんに自分のことを話し、これまでのことを話す。

代わりにケミリアスさんからはこの世界のことや魔大陸のこと。

俺が疑問に思っていることなどを確認していった。


話しは尽きず、結局俺達は夜通し話しこんでいた。

アステールもケミリアスさんが中へと入れてくれ、猫と戯れており、夜になって活性化した猫たちと走りまわっていた。


---


「あいつはどこに行ったんじゃ!?」

「どの宿にも泊まってないとは…」

「だが、町から出てもいないんだろう!?」

「それは間違いないぞよ。確認したんぞよ」

「まさか…裏猫横町か!?」

「なんぞな?」

「裏猫横町ってのはな…」


ブティカの夜は何事もなく過ぎていく。

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