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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
287/358

第246ページ ブシュカ

少し短めです。

次の更新は今夜0時です。

魔都より南西に位置する都市ブシュカ。

かつては、都のご意見番として機能していたこの都市の主な役割は星見。

星を見て、読み、吉凶やこれからのことを占う役。


それは形を変え、今も受け継がれる流れ。

しかし今やこの都市は、星見だけにあらず。


幾多もの占いや、(まじな)いの術者が集まり数多の術がそこにある。


現在ブシュカはこう呼ばれる。

全ての術が集う場所、と。


---


「全ての術ねー?」

「実際は人族や獣族の術は集まらないから違うんだけどね」


ブシュカへと辿り着いた俺達は、問題なく都市内へと入ることができた。

多くの怪しげな露店が立ち並び、人で賑わっている。


「ややっ!そこな魔物はブラックヒッポグリフではないですかな!?ややっ!!珍しいですな!是非私めにお譲りを」

「寄るな、斬るぞ」

「お邪魔しましたぞな」


さっきからアステールに対する嫌な視線が多い。

アステールを物として見るその視線は俺にとって腹立たしいものでしかなかった。


「これは…想像以上ね」

「予定よりも早く出発しよう」

「そうね…じゃ、明日の朝出ましょう。今日は自由行動ってことで!」

「あ、おい!」


あっという間に人混みの中へと消えていくエシルに溜息をつき、俺はすぐ意識を切り替えた。

この町では、アステールを一人で宿に待たせておくのは危険だ。


アステールをどうこうできる奴がそうそういるとは思えないが、どちらにしろ問題がある。

手を出してきた一般人に自衛してもそれが認められるかわからないところが怖い。

つまり、一緒にいるのがベストだな。


「よし、アステール。食べ歩きだな」

「クル!」


俺達は美味そうな匂いがする方向へと歩いて行った。


---


「ブラックヒッポグリフ…その素材絶対に欲しいな」

「じゃが、明日には町を出ると言っておったぞ?」

「ならば今夜だ」

「人を集めねばのぉ」

「ふぇっふぇっふぇ、あれほどの魔力見たことないわ」

「時間がないぞ!すぐに取り掛かれ!」


---


「ん?」


何の肉かわからないが美味い串焼きを食べていると、唐突に人の流れが止んだ。

辺りには不自然なくらい人がおらず、静寂が包んでいる。


「これは…」


注意してみるとなんらかの魔術が発動している気配がある。

<全知>のスキルを手に入れ、大抵のことはわかるようになったが情報が多すぎて目だけでよかった時よりも情報量が多すぎるので大変ではある。


<全知>によればこれは人避けなどの隠蔽系というよりも、空間系の魔法のようだ。

実際の空間に別空間を上乗せして外観だけを似せている。

だがもちろんそこは別空間であり、許可のない者は入れない。


では何故、俺が気付けば別空間に入っていたのか。

単純に俺の魔力に対し、相手の魔術が薄かったからだ。

つまりは力技で強引に突破してしまっていた。

気付かぬうちに。


それに引っ張られてアステールも一緒にいるが、他の魔族はいない。

いや、この空間を造ったやつはいる筈だ。


それも、これほど広範囲に別空間。

空間魔法に特化した魔法師、例えばベンがやったとしても一人では不可能だ。

その師匠はわからないが。


…そういえばいたな。

ベンの師匠は今、敵方にいる。


だがどうやら、これは違うようだ。

複数の魔力波調を感じる。

普通に複数人で空間を形作っているようだな。


「さて、鬼が出るか蛇が出るか」


なんにしろ興味がある。

行ってみるとするか。

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