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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
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第243ページ 魔大陸の依頼

テレシーからの説明を聞き終えた俺は、そのまま隣りの受付へと移動した。

こちらは「配達人組合」と書かれている。


その名の通り、手紙や郵便物などを配達する仕事であり、場合によっては他の町にも配達をしに行く為戦闘技能も必要になる危険な職業だそうだ。

ランクなどの制度は「傭兵組合」と変わらず、俺はそこでも登録をしてもらった。


運ぶ物の保存状態なども成績評価に関わるようで、ここではさすがに実績なしで銀というわけにはいかない。

俺は鉄のタグを受け取り、町中でできる仕事をいくつか引き受ける。

単純な手紙の配達などを町内で頼む者は稀だが、大きい荷物の配達などは割とあった。


「それではよろしくお願いします」


受けた依頼は3つ。

全て家具の配達で、有難いことに荷物がある場所は一緒らしい。

家具店からの配達依頼という形である。


俺は早速教えられた場所に向かう。

アステールはその間、組合の裏手にあるという従魔小屋で待っていて貰うことにした。

付いてきたところで退屈だろうし、時間をかけるつもりはないからな。


家具店は組合からすぐの場所にあった。

と言うのも組合や他の広く一般的に利用されるような店は町の中心部に固められているらしい。

便利になっている。


「誰かいるか?」


大型の店舗に入ると、様々な種類の家具が並んでいる。

どこかちぐはぐだが、それは地球の家具店を連想させるような光景で思わず笑ってしまう。


「はいはいはいはい、何かご入り用ですかな?」


奥から出てきた男は、横幅が人の3倍はありそうな体型をしていた。

その割に身長はそれほどでもないので、マトリョウシカを思い出す姿だ。


「組合で仕事を受けてきた」


そう言って俺はタグと依頼書を差し出す。

見た男は少しだけ不安そうな顔をした後、俺を奥へ促す。


奥には梱包された家具類が配達を今か今かと待っている状態だった。

こんなに未配達があって大丈夫なんだろうか?


「大丈夫ではないんですが、依頼を受けていただかないことにはどうしようもなくてですね…」


この店には専属で受けてくれる大型物配達人がいたそうなんだが、先月腰を痛めてしまい、現在療養中であるらしい。

その配達人が腰をやらなければ依頼はなかったわけだから、その彼には悪いが俺はツイていたと言えるだろう。


「あの、それで運べるのですか?」


男はチラリと俺を見て言う。

確かに何も知らなければ俺のような筋肉が付いているようにも見えない外見だと大切な商品を任せるのは不安だろう。


俺は近くにあった箱を肩に担いで見せる。

中に入っているのはどうやらベッドのようで、男が目を丸くした後破顔する。


「いや、申し訳ありません。商人ともあろう者が人を見かけで判断するなど!御見それしました。よろしくお願いします」

「まぁアイテムボックスに入れるから力は関係ないんだけどな」


そう言って俺は依頼にあった3つもディメンションキーの中に収納する。

そこでまたもや男は目を見開いた。


「これは…重ね重ね驚きました。いやはや、アイテムボックスなど見るのは何十年ぶりでしょうな。それも鍵の形、魔石収入型など…」

「魔石収入型?」

「魔石に直接収入するタイプのアイテムボックスのことです。一般的にアイテムボックスは空間拡張型と呼ばれる物で、カバンなどの内部を拡張し、多くの物を収入できる仕様になっています。それが一番簡単だからです」


比べて魔石収入型は魔石に様々な魔術回路を刻まないとならず、その工程を行える魔道具師は数えるほどしかいないそうだ。


「とにかく貴重な品です。大切になさってください。あの、それで…」


男は手を揉みながら何か懇願するようにこちらを見てくる。

何を言いたいのかはすぐにわかった。


「この町にはあと数日居る予定だ。その間にできるだけ仕事をしよう」

「ありがとうございます!!(わたくし)このラバルエ家具店店主、ラバルエと申します!」


手を握られブンブンと振られる。

苦笑いしながらラベルエから逃れ、俺は早速配達に向かった。


購入前に発送が遅れる旨は伝えているそうだが、さすがにあれだけ溜まれば店主として胃が痛かったんだろう。

報酬も少し多めにしてくれるそうだし、できるだけ運んでやろう。

キーに入れて散策ついでに運べばいいだけだしな。

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