表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十一章 最も危険なピクニック「目的地は魔王城」編
283/358

第242ページ 組合

その日、陽が沈むまでに俺達はゴベイルへと辿り着いた。

ここら一帯では最も大きい都市ゴベイルは、ガイアと同じくらいの広さらしい。


魔大陸でも人族大陸と同じように門衛が立っている。

出入りは記録され、身分、犯罪歴も確認される。


ではどうやって確認するのか。

この大陸に冒険者ギルドはなく、ギルドカードでの確認は不可能と思われた。


だが実は、魔大陸にも似て非なる物が存在した。

それは単に「組合」と呼ばれるもので、町を行き来する必要がある者は騎士など領主・国の命令で動く者以外たいていの者が登録しているそうだ。

「組合」は所属した者にタグを渡しており、それがすなわち証明となる。


当然、俺はそんな物を持っていない。

しかし言ったように、町を出る必要がある場合たいていは所持している物であり持っていない者は国家所属証明持ちか、犯罪者と決まっている。


では俺がどうしたかと言うと簡単だ。

元六魔将ステラの名は偉大だった。


「ほう、ステラさんの」

「タグを落としてしまってな」

「なるほど。まぁステラさんが大丈夫と言うなら大丈夫だろう。タグは再発行して貰うことを勧めるがね」

「ようこそ、ゴベイルへ」

「ありがとう」


ステラさんから身元保証書を書いてもらっていたんだ。

俺はこのことに全く気付かなかったが、出る前にステラさんが渡してくれていて助かった。


町に入り、門衛から聞いた通りの道を進むとそこに「組合」はあった。

アステールに外で待ってもらい中に入るとそこはまるで冒険者ギルドのような造りをしており妙な既視感があった。


「いらっしゃいませ。組合へようこそ。こちらは傭兵組合受付となります。本日はどういったご用件でしょうか?」


受付は各職業ごとに分けられているようだ。

わかりやすく商人、傭兵、配達人などと書かれている。


「登録を頼む」

「かしこまりました。出生証明等身分を証明できるものはお持ちですか?」

「いいや、ない。これで頼む」


不審そうな顔をする受付嬢に手紙を渡す。

宛名を確認した彼女は驚き、「少々お待ち下さい」と言って奥へと行ってしまった。


少しして戻ってきた彼女は、背後に50代くらいの男性を連れていた。


「お前さんがステラの紹介と言う者かな?ふむ…問題なさそうじゃな。いいじゃろう」


男性は受付嬢に何かを耳打ちしたあと奥へと戻っていった。

受付嬢が目を瞠っていたので、驚きの内容だったことは確かだが、マインスにステータスを覗かれた時のような違和感はなかった。


「それでは登録をさせていただきます。まずはこちらにご記入お願いします。名前以外は無記入でも結構です」


名前、年齢、種族、性別、出身地、得意技能と記入するところがあり、俺は名前と性別だけを記入した。

普通は全て書くんだろうが、シスターの紹介状があって本当によかった。


「確認しました。シュウ・クロバ?様、それでは組合の説明をさせていただきます。まずこちらがタグになります」


受付嬢が魔法で銀色のタグに文字を刻んでいく。

あっという間に名前と傭兵組合ゴベイルと刻まれた。


タグの色はランクを表し、鉄、銅、銀、金、白金と上がっていく。

では何故俺が銀スタートなのかと言うと、シスターの紹介状に加えてさっきの男性が言ったかららしい。

彼はゴベイルの組合長をしているバッシュ・トランザー。

魔力を視覚化して視ることのできるスキルがあり、魔力の大きさや色から相手の性格やどの程度の力量かもわかるそうだ。


それで俺は性格的に問題なし。

魔力量は桁外れで、力量も問題ないだろうが、実績はない為銀からとなったそうだ。

実績なしで銀は初めてだそうで受付嬢も驚いたらしい。

ところで受付嬢の名前はテレシーと言うんだそうだ。


テレシーは組合規則等の説明をしてくれた。

ここで仕事をする気はなかったんだが、そう言えば人族の通貨が使えるとは思えない。

小遣い稼ぎ程度はする必要がありそうだ。


「組合はあなたのこれからに期待します」


テレシーはニコリと笑って説明を終えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ