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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
26/358

第21ページ 新装備

そんなこんなで一週間。

だいたいの計画は問題なくこなせた。

ただ武器の補充はあまりうまくいかなかった。

満足のいくものがないのだ。


親父の店にも行ってみたが親父の専門はやはり剣らしく違う武器になると質が落ちてしまう。

親父自身も俺にそんなものは使わせたくないと何故か売ってくれなかった。

仕方ない。別の街に行ったときに考えよう。


今はそろそろ仕上がった頃だろうと思い、防具屋…というか服屋に来ている。


「いらっしゃいませ」

「久しぶりだな」


笑顔で迎えてくれたのはいつも通りファーシーだ。


「防具の受け取りですね?会心の出来だと父が言っていましたよ。それでは呼んで参りますのでしばしお待ちを」


服が絡んでいないと普通の子だな。

それにしても地球の服を参考に作ったのだろう服が増えている。

というかそれ専用のコーナーまである。

着やすいだろうし何着か買っておこうか。


店内を見て回っているとファーシーがファンズを連れて戻ってきた。

ファンズの手にはおそらく俺の新しい防具であろう地竜素材の革鎧がある。


「待ってたよ。地竜なんてもんを扱ったのは久しぶりだったんだがその時を上回る出来になったと思う。まぁ見てくれ」


―・―・―・―・―・―


【革鎧】:アースドラゴン・アーマー

品質S、レア度8、防具職人ファンザの作。

地竜の素材をふんだんに使用し造られた革鎧。

地竜の鱗という生物素材では最高級の硬度と靭性を持つ素材を使用したため、革鎧でありながらもその強度は鋼鉄製の鎧を超える。


―・―・―・―・―・―


土色のようだった地竜の皮と鱗からできているのにその色は黒だ。

胸から腰、肩、ブーツまで作ってくれておりそれで一セットということらしい。

兜部分は俺が作らなくていいと言った。


重さはどうかと着てみるが、見た目に反して軽い。

いやしかし軽すぎる気がする。

どうやったらそれなりの重さがあったあの地竜素材でこんな軽いものを作れるのだろうか。


まるで動きを阻害せずそれにもかかわらず確かな強度を感じさせる。

要所要所に鱗があしらわれより一層強度が増していることがわかる。

胸の部分は少し厚めに作られているようで矢など余裕で防いでくれるだろう。


無駄な装飾はなくシンプルで俺好みだ。

だがなんの模様もないわけではなく、胸やブーツには竜をあしらったような模様が刻んである。

それも華美に目立たせるものではなく自然と目に入るアクセントのようなもの。


実にいいな。


「どうだい?」

「ああ、素晴らしいな。どうやってこんな軽くしたんだ?」

「それは企業秘密というやつさ」


そう得意げに笑って満足そうにファンズが頷く。

その横でファーシーも嬉しそうに頷いていた。


「その竜の装飾は私が誂えたんですよー。折角なんだからと思って」

「悪くないな。俺の趣味にも合っている」

「えへへ。私、お客さんのセンスとかに合わせるの結構自信あるんですよねー!」


その自信は決してうぬぼれではないのだろう。

俺が前に買っていった服の好みなどを覚えてどの程度の飾りが喜ばれるかを考え、尚且それを形にする技術。

さすが優秀だな。


「余った皮でこちらも作ってみました」


そう言ってファーシーは外套を取り出す。


―・―・―・―・―・―


【外套】アースドラゴン・ケーブ

品質A、レア度7、防具職人ファンズと服飾職人ファーシーの共同作。

地竜の皮で作られた外套。

その防御性能は並の鎧を上回る。


―・―・―・―・―・―


こちらはそのまま土色である。

黒色だと夜なんかは認識されづらくなり隠密には向いているが、俺のような冒険者には自然の中で認識阻害されるような土色の方がありがたい。

そのところも十分わかってくれているようだ。

しかも、この外套がそこらの鎧より高性能ときている。

文句を言うところがないな。


「これほどの品をもらえるとはな。ありがとう」

「何、私も久しぶりいい仕事ができて満足だよ。素材も持ち込みでお代も頂いているんですから当然さ」

「そうか。しかし、俺の期待以上だった。何かあれば声をかけてくれ、できることなら力を貸そう」

「そうかい?なら、その時はよろしく頼むよ」


俺も満足し笑顔で店を出る。

この防具の性能を今すぐにでも試したい。

いや防具の性能を試すなんて普通はすることではないんだがな。


俺はギルドに行き、何かいい依頼はないかと探す。

一つだけ「ウォーウルフの群れ討伐」の依頼があった。

こちらに来て初めて戦ったあの狼だ。

あの狼は毛皮もあり気温の影響をあまり受けないのだそうで他の魔物たちが行動範囲を狭める今急速に力をつけているそうだ。


かすることもなかったがそう言えば鋭い牙と爪を持っていた。

試すには絶好の相手かもしれない。


ランクCのウォーウルフの群れということで依頼ランクはBだったが俺は今Cランクでありこのギルドでは実力も知れ渡っているようですんなりと受けられた。


北門を抜け、初めてあいつらと遭遇した辺りまで来てみる。

懐かしいと感じてしまうのは、やはりあれからの毎日が濃かったからだろう。


千里眼と透視眼を併用。

意外と近くにいるようで視界に群れを視界に捉えた。


俺は音を立てないように走り群れへと近づく。

何頭かがこちらに気づいたようだ。


「グルルル」


一頭の威嚇に続き群れの全体が俺に気づき威嚇してくる。

涼しい表情でそれを受けている俺にしびれを切らしたように何頭かが立て続けに飛びかかってくる。


余裕でかわして反撃までできるが今回は鎧の性能チェックが目的だ。

だがしかしここで俺は気づいた。

この勢いで飛びかかられたら立っていられるわけもなく。

鎧の性能チェックにもならないのではないだろうか。


「…しまったな。無駄足だったか」


鎧の性能を調べるためにやられましたでは本末転倒なので頭を切り替え斬鬼を抜く。

数分とかからずにウォーウルフ7頭の群れは壊滅した。


「仕方ない。性能がわかるような機会を待つか」


死体をすべてキーに収めて俺はガイアの街へと戻った。

2015/4/11:アイテムの表記を一部変更し、作者名を追記しました。

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