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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十章 海の底の楽園「竜宮城と人魚姫」編
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第216ページ 海底事情

「姫様!公式な場では挨拶からなさりませんと!」

「マーシャ!お主も姫様でなく陛下だ!」


人魚姫の発言で疲れた様子を見せた重臣たち。

その中の一人、人魚姫の後ろに立っていた老人魚が声を上げると、先程一歩進みでた年配の魚人がその老人魚の発言を訂正する。

マーシャと呼ばれた老人魚ははっとして口を押さえた。

同時に人魚姫も口を押さえている。


「し、失礼いたしました。私がこの国の女王、サグリアと申します。以後良しなに」


視線を空中に漂わせながら、おそらく言えと言われていたのだろう言葉を言いなおす人魚姫サグリア。

空気を呼んでそこには触れない方がいいのだろうな。


「地上で冒険者をしているシュウ・クロバと言います。お招き預かり光栄です」

「よく来てくれました、シュウ・クロバ。我々は貴方を歓迎致します」


サグリアがとても嬉しそうに笑ったところで、重臣たちが安堵のため息をついた。

どうやら及第点だったらしい。


---


謁見広場からは一度出され、今日はここに泊まってくれと俺とキャプテンは一室ずつ用意された。

アステールは俺と同室だ。


時間も時間だということで話しの続きは夕食を摂りながらということにするそうだ。

おそらくそれまでの時間人魚姫はみんなからお説教されるんだろうな。


与えられた部屋で水蜘蛛の糸から作られているベッドに横たわりアステールを撫でていると、「友よ!」と言いながらキャプテンが入って来た。

部屋は隣りだしこちらに来ているのはわかっていたから驚きは無い。


「キャプテン、少し話を聞かせてくれるか?」

「勿論だとも」


キャプテンは笑顔でうなずいてくれる。


---


人魚姫と謁見した少ない時間で気になったことを聞く。

それは人魚姫本人にも、お付きの老人魚にも陛下という実感がなさそうだったということ。

姫と呼んで訂正されたりしていたし、ああいった謁見に慣れていない印象を受けた。


それも当然だったようで人魚姫が女王となったのはつい最近だそうだ。

キャプテンも詳しくは知らないようだが、二年ほど前事故があり重傷を負った先代女王、サグリアの母親は一命を取り留めたもののその時の怪我が元で半年ほど前に亡くなったそうだ。


姫は統治者としての教育をされていたのだが、人魚は長命種らしくその教育はのんびりとしたものであり先代崩御の際には間に合わず、今も勉強中。

ただ、外交などはほとんど部下がやる為に女王の仕事はほとんどないことが幸いして今のところ問題は起きていない。


けれど珍しいことに客人が来てしまい、ああいった公式の謁見は初めてだったのだろうということ。

キャプテンは先代の先代の先代くらいからこの国には来ていたので謁見の間ではなく私的な付き合いとなっているようだ。

まぁそんなに長い間来ているならそうなっても仕方ないだろう。


ところで、キャプテンもこの国にそう頻繁に来ているというわけではないようだが何十年か前に来た時、先代の女王には一人妹がいたらしい。

彼女からはどこか暗いオーラを感じていたらしくここ最近その姿が見えないのが気がかりなのだそうだ。

…え、それ何のフラグだ?


気になったキャプテンが住人たちにそれとなく聞いてみたりもしたんだが言葉を濁して教えてくれなかった。

キャプテンがそれとなくなんて聞けるとは思えないが。


ちょうど話しが終わったタイミングで外から声がかかる。

夕食の準備ができたそうだ。


キャプテンと食堂に向かいながらふと思う。

あれ?キャプテンって食事できるのか?

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