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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十章 海の底の楽園「竜宮城と人魚姫」編
253/358

第215ページ 人魚姫との対面

短いですがキリがいいので…申し訳ない。

竜宮城は国の中心部にある。

国と言ってもアトランティカはガイアよりも少し広い面積しかない。

人口もガイアより少ないようだ。


そんなアトランティカだが、建物は石造りであった。

意外としっかりとした造りでありどうやって組みたてられているのか気になるところではある。


その活気は地上と変わらず、露店なども開かれている。

まるでエジプトのバザールのようであるが、商品が浮かないように重りを付けているのが違うところか。


道はあってないようなものであり、自由に泳いでいる人がほとんどだ。

こちらを興味深そうに見ている。


俺達は今竜宮城へ向かっているのだが、なんと馬車だ。

それも木造である。

この木は水よりも比重が大きく沈むが浮き易いというよくわからない性質を持っているそうだ。


馬車を引くのは馬ではなく、ヒッポカムポスという魔物。

上半身が馬、下半身が魚だ。

彼らに害はなく馬代わりとして重宝されているそうだ。


アトランティカの光源には光の魔石が用いられているが、それとは別に光苔という自然発光する苔も使われている。

光の魔石と違って光苔は発光のオンオフが難しい為場所は限られるそうだ。


「見えてきましたぞ。あれが我らが人魚姫様の住まわれる竜宮城。この国の政治の中心です」


そこには巻貝のような建物が存在していた。

視てみればあれは「レッドブキー」という魔物の死骸らしい。

大きさが三階建てマンションに匹敵する巻貝…


「あれは我等の先祖がどこからか拾ってきたものです。その強度は鉄よりも上回るんだ。深海ではそもそも鉄があまり取れないからちょうどいいんだな」


なるほど。

確かに強度としては俺が戦った地竜の鱗よりも硬そうだ。

今でこそわかるがあの地竜はまだ幼かった。

あの時相手をしていたのが成体の地竜であったなら、俺は死んでいただろう。

地竜の素材が予想よりも安かったのは俺がボロボロにしたという理由もあるが幼体だったからという理由もあったんだろうな。


俺達はバルコニーのようになっている幾つかの入り口から入城する。

大きな門は地上と同じように海底に造られているんだが、あそこを使うことはほとんどないそうだ。


魚人の兵士がやってきて馬車を引き受けてくれる。

俺とアステール、キャプテンはアレイモスと一緒に城の中へ。

…というか貝の中だが。


ただし、貝の中は本格的な城とした造りがなされていた。

貝の外見をした城という感じであり、地上にはないサンゴなどで装飾されておりこれぞ竜宮城という感じだ。


「こちらが謁見の間となる」


アレイモスがそう言って案内してくれたのだが、何故かその表情が浮かない。

ものすごく疲れた顔をしているのが気になる。


その顔のまま扉を挟むように立っていた兵士に頷くと、兵士も苦笑しながら扉を開ける。

中は丸い広間となっており、一段高くなっているところに大きな二枚貝の玉座が置かれてた。

竜宮城という感じだ。


そこに座っているのは一人の人魚。

下半身の魚部分は桜色の鱗がきらめき、同じく桜色の髪を左右に結っている。

その表情はわくわくとしており、歳は17くらいだろうか。

綺麗というより可愛い感じだ。少しイメージとは違ったな。


一段下がった玉座の左右に何人かの魚人、人魚、セイレーン。

おそらくこの国の重臣たちなんだろうが、皆一様に疲れた顔をしているのは何故なのか?


その内の一人。

初老の魚人が一歩前に出る。


「こちらはアトランティカ国女王サグリア様で在らせられる!客人よ、女王からのお言葉があるそうだ」


疲れた表情のその魚人が元の位置に戻ると、女王がもう待ちきれないといった様子で身を乗り出し口を開いた。


「サグリアです!地上のことを教えて下さいな!」


目をきらきらとさせる女王とは対照的に、重臣たちが一斉に溜息をついた。

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