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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十章 海の底の楽園「竜宮城と人魚姫」編
251/358

第213ページ プロローグ

海面から差し込む月の光が、海中を照らしている。

大小様々な魚が泳ぎ、中にはどう考えても普通の魚ではない異様な姿をしたものも。

というかあの凶悪そうな(なり)して魔物扱いではないのか。


船は潜航を続け、暗い深海へと向かっている。

そこに何かあるとは思えないが船は迷うことなく一点を目指しているようだ。

舵を握っているキャプテンは暗闇の向こうを見据えている。


「それで今はどこに向かっているんだ?」


声をかけながら近づくとキャプテンがよくぞ聞いてくれたとばかりに振りかえる。


「今向かっているのはこの世でも知る者の少ない場所。海底の楽園と言われている場所だ」

「海底の楽園?」

「そう!水竜王が治め、人魚姫が住まう海に生きる者達の国。海中都市アトランティカさ」


船は進む。

俺とアステールの驚きなど意にも介さず。

悠々と海底へと向かう。


やがて一面が真っ暗に覆われ、俺とアステールでも見渡すことが難しい程になる。

気の弱い者なら、この暗闇をずっと進むだけで精神に異常をきたしそうだ。


幽霊船の周りを魔物達が泳いでいる。

魔物達にとって幽霊船はどういう存在なのか。

襲ってくることがないことを喜べばいいのだろうか。

きっとそうなんだろう。


あの島からどれだけ進んだのか。

正確なところはわからないが時間で言うと一日も経っていない。


暗い深海にもかかわらず、だんだんと周りの景色が鮮明になってきた。

俺の眼は闇を見通せるが、あえて今は普通にしている。

にもかかわらず何故見えるのか。

答えは目の前に現れていた。


闇の中で輝く都市。

海中に住まう者の国。


「ようこそ、アトランティカへ」


両手を広げ歓迎の意を示すキャプテンが妙に様になっていた。


---


コポコポコポコポ


昏く深き海の底。

この世界で最も深い海溝において動く影。


「あと少し…」


星より生まれるエネルギーを直に吸収し、その影は力を増していく。

その貌にあるは狂気。

自らを追い落とした者たちへの復讐。


付き従うは異形の集団。

影の後ろに控え、その時を今か今かと待ち続ける。


「妾に更なる力を…そしてあの国を…我がものに」


海の底で輝く国に、怨念が迫る。


そこに居合わせるは海の覇者とその友人である冒険者。

彼らの存在は誰にとって吉となるのか。

それはまだ誰も知らない。

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