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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第十章 海の底の楽園「竜宮城と人魚姫」編
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第210ページ 水の試練

『汝、契約を望む者なりや?』


水晶から女のような声が流れ出る。

アステールも反応しているから俺にだけ聞こえているというわけでもないようだ。


「契約?」


普通に考えれば水の精霊との契約だろう。

だがベンに聞いた話ではこんな大仰なものではなかったと言っていた。

どういうことなのか。


まぁいいか。

キャプテンが良いことって言っていたから大丈夫なんだろう。

不死の契約とかは嫌だが。


「望む」


『ここに契約を為さんと望む者ありけり。我、資格を測らん」


ゴゴゴッゴゴゴと島全体が揺れる。

この程度では俺の身体が揺らぐことは無いが、少しビックリしたな。


『試練の場を形成。完了。これより水の試練を行います』


「水の試練?」


俺が呟くと同時に水の精霊達が舞いあがる。

霧が辺りを包みこみ、いくつかの泡が浮かんでいる。


『水の試練・知力。汝に資格はありんや?』


泡それぞれから何匹かの蛇が現れ襲い掛かってくる。


「チッ!」

「クル!?」


双月を両手に出し水の蛇を斬っていく。

パンッと心地よい音がし、風船が割れるように蛇が消えるが、蛇の数はどんどん増えていく。


「キリがないな!」

「グルゥ!」


アステールと二人で蛇を斬りまくるが本当に途切れない。

この蛇の攻撃力は俺達にとってまったく脅威ではないが、鬱陶しい。


「あの泡を壊せばいいのか…アステールここ頼んだぞ!」

「グルゥゥ!」


俺が<天足>を発動して宙を駆けあがると、アステールがその翼を大きく広げ風を巻き起こす。

その風が渦を巻き、幾本かの竜巻が生まれて蛇たちを飲み込んだ。


「あいつあんなことできるようになったのか」


おそらくは風属性魔法。

参考にしたのはクラーケンの水竜巻だろうか?

従魔は飼い主に似るんだろうかね?


「と、今はそれより」


俺は空中を駆けながら泡に斬撃を放つ。

が、双月に切り裂かれた泡は揺らぎ、空を斬る感触だけがあった。


「なるほど…」


この全てが幻覚か。

俺の眼でも見破れない程の、見た目だけでなく音も感触さえもリアルな幻覚。


「知力の試練…」


知力を用いてこの試練を突破しろ。

逆に言えば考えればわかるということだ。


最近は魔力量に任せたごり押しばかりで頭を使っていなかった俺としてはなかなか思うところのある話だ。

たまには頭を使うべきだろう。


現状わかっていることはこれが水の試練であり、おそらくはあの蛇の仕組みを解明、止めることができれば試練クリアとなるのだろう。

幻覚であるならば術者を倒せばいいのだが、どうやらこれはそういった類ではない。

魔道具(マジックアイテム)によって作られているならそれを壊せばいいのだが…


とりあえず俺は浮かんでいる泡全てに一斉に攻撃をするべく風の矢を生みだす。

また魔法によるごり押しだと思われそうだが、これは確認だ。


案の定、泡は全て掻き消え新たな泡が生まれた。

全ての泡で手ごたえ無し。

つまり、あの泡の中に本物はないということになる。


ではどこにあるのか。

俺は上空から観察する。


泡の蛇達は上空にいる者に対しては何もできないようで、下からこちらを見上げている。

泡である為威嚇するでもなくただ見つめている姿には少し愛嬌がある。


それ以外の蛇はアステールへと殺到。

アステールも飛べばいいのだが、あえて地面で蛇を引きつけてくれているようだ。

二人とも飛んでしまうと新たな蛇も生み出されないし変化がなくなってしまうからありがたい。


さて、上から観察しているとわかったことがある。

動いていないように思っていた泡だが、ゆっくりと動いているようだ。

ただその軌道は泡それぞれによって違っている。


そしてそれらは、まるで衛星のように円軌道を描いていた。

そう。中心には何も見えないにも関わらず、まるで太陽の周りを回る星々のような動き。


つまりは、見えなくてもそこには何かある。

あの動きに意味がないとは思えない。


ただし、範囲攻撃をした時あの中心点も攻撃を受けていた筈だ。

中心の一点だけをピンポイントで狙わないといけないということなのか。


「まぁやってみるか」


双月をディメンションキーに戻し雷導銛を手にする。

水には雷というわけだ。


魔力を電撃に変換、今回は銛内部ではなく外部に纏わせる。

バチバチと音を立て、銛が緑色に輝く。


雷牙撃(らいがげき)!」


技名と同時に魔力が強まり、深緑へと変貌した。

槍投げのように肩と腰を使い全力で投躑する。


雷導銛は狙いを寸分違わず全ての泡の円軌道、その中心に突き刺さった。

瞬間、何もなかったそこに周りの泡よりも小さな水晶が一瞬だけ出現し、銛に貫かれた。

結界があったようだが俺の全力投躑+バチバチの電撃には無意味だったようだ。


水晶が四散すると同時、泡が七色に輝きだしパンッと音を出して四散した。

蛇達も同時に破裂していく。


『試練の終了を確認。知恵の試練、合格。これより契約に移行します』

更新できずすみません!

今日からまた毎日更新頑張っていきます!

って最近言いまくっている気が…

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