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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
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第19ページ 事後の諸々

「お、そうだ。お前今日からCランクだから!」

「は?」

「だから!今日からCランクなんだよ。んで後日Bへのランクアップ試験受けてもらうからな」

「ちょ、ちょっと待って。いきなり飛びすぎじゃないか?」

「ああ?いいんだよ。Aランクの魔物をサシで倒せるやつをGのままにしておけるわけないだろう。過去に例がないわけでもないしな。S以上にたどり着くやつはだいたい飛び級してるよ」

「そうなのか…わかった」


いきなりのランクアップに慌てたが、前例もあるならいいのかと納得し、俺はギルドを出た。

受付でレイラにステータスカードを渡すとほんとにCランクになっていた。

形は似ているが別の字だ。


そういえば日本語が普通に通じているし字も読めるな。

たまたま一緒ってのは考えにくいしどういうことなのだろうか。

考えてもわからないけどな。


ランクアップ試験の詳細は後日知らせるそうだ。

それまでは何をしようかと思っていると


「ところでシュウさん。地竜の素材はどうなさるおつもりですか?」

「素材?」

「はい。魔物の売却可能部分は基本的に倒した方のものですから。売るにしても早めにしてもらわないと腐ってしまいますよ?」

「俺は回収してないが?」

「ああ、ギルド長が担いで帰ってきましたよ」


あの巨体を担いで帰ってきたのか?

あの人も相当な化物だな。

しかし、素材か…

だいたいは売るとして防具品を新調するかな。

前に買ったやつは地竜の一撃を受けてボロボロになってるし。

地竜は硬度自慢だったからな。


「それで、地竜はどこに?」

「ギルドの裏手が大きな魔物を解体したりもできる売却場になっておりまして、そこに安置されております」

「わかった。ありがとう」


ギルドの奥に通じる扉から進む。

もっともこの場合は奥ではなく裏と言った方がよいのだろうが。


突き当たりの扉を開けると普段は見ないいかつい男性職人がいた。


「おっ、君が噂のシュウくんだね!やっと来てくれた!いい加減邪…あ、いや!ど、どうするのかと思って!」


今邪魔って言いかけたな。

この男性職員は見た目と違ってきさくなようだ。

その視線の先にはドーンと地竜の亡骸が横たわっている。


「すまないな。まさか回収しているとは思わなくて」

「ああ、そういうことか。うちのギルド長はやることが派手だからね!あ、僕は一応ここの解体兼売買業主任をしているタタンだよ!」

「確かに。知ってるようだがシュウだ」

「それでシュウくん、あれどうするの?」

「地竜からは何が取れるんだ?」

「地竜はその体のほとんどが売れるね。牙や爪、鱗はもちろん内臓なんかも売れるよ」

「その中で例えば防具を作るのに必要なものは?」

「それはその防具や作成者にもよるんじゃないかな?」

「なるほど…じゃ一度全部預かるか」

「へ?」


タタンがポカンとしている間に地竜に近づき触れる。

近づくとその巨大さが改めてわかる。よくこれを倒せたものだ。

鍵に魔力を通し地竜をしまう。


「へ!?」

「ああ、マジックアイテムをもらってな」

「そ、そうなんだ。でもなら気をつけた方がいいよ?貴重なマジックアイテムは狙われやすいから」

「肝に銘じておくよ」


俺はギルドを出て、まっすぐ武具屋へ向かう。

もちろんあの店だ。


---


「いらっしゃいませ!おや、あなたは先日の…」

「ああ、息子か。親父さんはいるか?」

「いますよ?父さーん!お客さんだよー!」

「うるさいわっ!!打ってる最中に大声を出すなっ!!おや?」


どう考えても親父さんの声の方が大きかったな。


「なんだお前さんか。それで?今日は何のようじゃ?」

「防具が消耗しちまってな、作ってくれ」

「バカタレッ!うちは確かに武具屋だが専門は刀剣だぞ!あれ以上の防具が欲しいなら防具屋に行け!」

「だが親父さんの腕を信頼してるからさ」

「ふんっ!お前がいくら信頼してくれようとも儂には応えられん!紹介してやるから防具屋へ行け」

「親父さんの紹介か…ならそうするかな」

「うむ。それで?斬鬼の具合はどうだ?」

「ああ、バッチリだ。地竜の鱗も斬れたよ」

「地竜の鱗じゃと?ほう、お前さんじゃったか竜殺しは。そうじゃろうそうじゃろう」


親父さんは満足気に笑いながら奥に引っ込んでしまった。

あの…紹介は?


「ははは…すみません。よろしければこれから防具屋へ行きますか?ご案内しますよ」

「いいのか?店は」

「はい。この時間あまり人は来ませんし、父もいますので」

「そうか。なら頼む」


少し待っていてくださいと言われたので店の中のものを見て待つ。

スキルもあるし、便利な収納道具も手に入れたのだから色々武器を買っておくのもいいかもな。金もあることだし。


---


「ここは…」


息子に案内された店は前に来たことのある服屋だった。


「ご存知ですか?今は服をメインに扱っていますが防具も作成してくれるんですよ。こんにちはー」

「いらっしゃいませ!あら、ミトスさん!どうなされたんですか?」

「こんにちわファーシーさん。今日はこちらのお客さんが用事でね」

「あら?あなた、こないだの!」

「あ、ああ」


俺を見た瞬間にファーシーと呼ばれた店員がカウンターを飛び越えてきた。

文字通り飛び越えて、だ。感嘆する身のこなしだった。

また何やら興奮しているのが伝わってくる。


「あなたが売ってくれた服のおかげで私色々とアイデアが溢れてしまって!見てくださいこれ!」


ファーシーが指した所にあったのは俺が渡した学生服によく似たデザインでありながらもどこかこちらの世界の感覚も取り入れた服。

パーティーなんかで着るには最適なのではないだろうか。


「へーよくできてるな」

「でしょう!?本当にありがとうございました!」


勢いよく頭を下げるファーシーに俺は若干引き気味で、ミトスも苦笑している。

しかし、これを約一週間で仕立てたとはすごいな。


「ところで本日はどういったご用件でしょう?」

「ああ、今日は防具を作って欲しくてな」

「それでしたら父を呼んできますね!お父ーさーん!」


そう言ってファーシーは奥へと駆けていってしまった。

どうやら防具担当は父親らしいな。


「いらっしゃい」

「ホビット?」


奥から出てきた人物はドワーフよりも更に小さく小人族とも呼ばれるホビットの男性。


「そうだよ。ファーシーのお父さんのファンズさんはホビットで、僕の父さんと仲がいいんだ」

「仲はよくなんてないけどね。それで防具の依頼だとか?」

「そうだ。地竜素材で作って欲しい」

「ふむ…見たところ君はあまり重い装備にしないほうがよさそうだね。素材はどれくらいある?」

「地竜一匹分」

「…は?」

「俺が倒したからな」

「ああ…なるほど。わかった、いいよ。じゃ素材を出してくれるかな?」

「すまん、まだ解体していないんだ。どれがいるのかわからなくてな」

「そうなのかい。防具にはそうだな・・・皮と鱗、あと血液があればいいかな」

「わかった。解体してまた来る。よろしく頼む」

「はい、待ってるよ」


俺は一度服屋を出てギルドの解体場へと向かう。

ミトスは戻るそうで礼を言って別れた。


---


「あ、戻ったね」

「ああ。かなりギルドに売ることになりそうだ」

「そうかい!そりゃ嬉しいね。解体はどうする?自分でできるかい?」

「ちょっと待ってくれ」


俺はおそらく解体専門の職員なのであろう人物が手際よくさばいている光景を見る。

地竜を出して「全知眼」を発動。

これで素材となる部分がわかる。便利だ。


「よし」


と気合を入れて解体用のナイフを突き立てる。

ガキン

ナイフが鱗に跳ね返されてしまった。


「ああ、ちょっと待って。これを使うといいよ」


―・―・―・―・―・―


【小刀】解体用ナイフ

品質B、レア度6、鍛冶師チョットロの作。

アダマンタイト製の解体用ナイフ。

大抵のものは解体できる。


―・―・―・―・―・―


「いいのか?」

「もちろん。あ、貸すだけだからね?」


俺は礼を言って作業を始める。

先ほどとは違い刃が通らないということはなくなった。

だが、すいすいというほどではない。

さすがは地竜ということか。


まずは鱗を剥いでいく。

一枚一枚はめんどくさいので剣術を使って強引にまとめて剥ぐ。

そもそも戦闘により損傷があるためあまり変わらない。


次に皮。

こちらは途中で裂けたりしないように丁寧にだ。

慎重に時間をかけてやることでなんとか綺麗にできた。


部位を切り離し同時に血液を採取する。

どれくらいいるのかわからないが解体場で売っていた500mlくらい入りそうな瓶を10個ほど採取する。

これくらいあれば足りるだろう。


肉を切り離し、骨を分離する。

拳大サイズの魔石を取りだす。

牙を一本一本取り外す。


これで全工程終了だ。

一つ終わるごとにキーの中に入れていたので散らかすことなくできた。


「皮と鱗と血液以外は売却する。手続きを頼む」

「はいよ!それにしても解体うまいねー。それだけでも十分働けるよ!」

「食うのに困ったら考えるよ」


売却した値段は全部で金貨42枚。

この大きさの魔石は珍しいということで1つなのに金貨18枚で売れた。

この世界に来てどうやらお金に縁があるらしい。

こんなにあっても使い道がなー

家でも買うか?

いや、自由に旅もしたいから考えどこだな。


防具屋に戻り防具を依頼する。

サイズを測ってもらい、どういう防具がいいか色々と質問されたがよくわからないので全部任せた。

一週間くらいでできるというのでその時に取りに行くことに。

俺は久しぶりに宿でゆっくりと休むことにした。


黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:C(up)

HP:10200

MP:6000

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、光属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気

礼儀作法、解体(new)

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」、「解体人」(new)

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」

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