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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第二章 友との出会い「深淵の森」編
23/358

第18ページ 報酬

宴会は盛大に終わった。

俺は勧誘やら手合わせやらの申し込みを全て丁重に断った。

俺の望まないことに時間を取られるのはバカらしいからな。


宴会が終わりに近づいたころ、辺境伯とギルド長が揃って話しかけてきた。


「報酬?」

「ああ。お前は今回の功労者だからな。ギルドからの報酬とは別に特別報酬が出るんだ」

「ふーん」

「ふーんって…興味ないのか?」

「いや、なくもないが…考えても仕方ないからな」

「そ、そうか。まぁそういうわけだから明日館に寄ってくれ」

「館?」

「うん?俺の家だよ」


ああ、そうか。

あれは正式には領主の館ってことになってたな。

規模的には城だし自分でもそう呼んでいたからわからなかった。


「わかった」

「あ、そのあとにギルドにも来てくれ。ギルドからの報酬を払うからよ」

「了解」


---


というわけでラッセン辺境伯城に来ている。

ここの門番も俺の顔を覚えたのか、来ることがわかっていたのかすんなり通してくれた。

そしていつもの応接室。


「よく来たな」


そこにはラッセン辺境伯とララ、マインスとエルーシャが待っていた。

今まで気にしなかったが、考えてみるとこれはすごいことなのではないだろうか?


「それで報酬のことだが…これを」

「…これは?」


辺境伯が取り出したのは格調高そうな一つの箱。

開けてみろと目で合図されたので開けてみると、


「ペンダント?」


そこに入っていたのは鍵を模したペンダントで鍵の頭部分に透明な水晶なものが嵌っている。

水晶からは魔力が感じ取れる。

つまりこれは


「マジックアイテムか」

「そうだ。お前が欲しているものだろう」

「俺が欲しているもの?」


―・―・―・―・―・―


魔道具(マジックアイテム)】ディメンションキー

品質A、レア度9、錬金術師ニコラス・フラメルの作。

マジックアイテム。能力は異空間との接続。

接続した異空間に生物を除くものをしまうことができる。

効果範囲は1mで、1m以内ならばどこにでもものを出すことが可能。

ただし、収納する場合はそのものに触れていなければならない。

収納可能数は使用者の魔力量により、1MPで一つ収納することができる。


―・―・―・―・―・―


「…確かに欲しかったものだが、これは報酬にしては破格すぎないか?」

「なに気にするな。俺が使っていたお下がりだ。それでも気になるならこれからも力を貸してくれということでどうだ?」

「そういうことか」


俺は思わず苦笑してしまう。

まぁそういうことならありがたくもらっておこう。

別にもらってなくても辺境伯に手を貸すくらいしようと思っていることは内緒にしておこう。


---


「ところでシュウ様」

「ん?なんだマインス?」

「少し見ていてくださいね」


そう言ってマインスは綺麗なお辞儀を見せる。

一体なんなんだ?


「どうでございましょう」

「どうって言われてもな…見事なお辞儀だったぞ」

「そうでございましょう。ではステータスカードを確認してみてはいただけませんか?」


俺は言われた通りステータスカードを取り出す。

すると、記載が増えているのがわかる。


・―・―・―・―・―


<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、光属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇

礼儀作法


・―・―・―・―・―


礼儀作法のスキルか。

なるほど、マインスは礼儀作法のスキルを持っていて今見せてくれたのか。

それで増えたと。しかしなぜ?


「いかかでございましたか?」

「ああ、礼儀作法のスキルが増えていた。しかしなぜ俺にそれを?」

「左様でございますか。理由は二つございます。第一に、シュウ様の『見稽古』がどれほどの効力を持つのか検証するためです。戦闘系スキルや魔法系スキルだけではなく補助系、生活系スキルにも使えるのかどうかですね」


なるほど。検証してくれたわけだ。

結果、生活系のスキルにも問題なく使えた。

MP回復なども覚えれていることから補助系にも使えるのだろう。

身体の中のことなど見れないと思うのだが、これは全知眼と併用してできているということなのかね?


「第二の理由としましては、シュウ様はこれから高ランク冒険者となられましたら貴族や王族の方に会う機会も多くなられます。お館様は礼儀など気にしない方でございますが、中にはうるさく言うものもおります。礼儀作法のスキルさえあればその心配もなくなりますのでございます」

「そりゃありがたいな」


このスキルはアクティブスキルのようだな。

例えば格闘系のスキルはアクティブスキルだが発動すると身体をどう動かすべきかというのがわかると同時に身体が動くという奇妙な感覚なのだがそれに違和感を覚えたりはしないという不思議感覚だ。

それと同じで「礼儀作法」を発動すれば身体が勝手に判断して動いてくれるのだろう。

便利だ。


「なら俺はこれだ。しっかり見ておけよ?」


俺が辺境伯の方に目を向けると辺境伯から魔力が噴出されているのに気づいた。

しかし、無属性魔法とも違う。

なんだ?


「ふう。これは『覇気』ってスキルでな。魔力を使うスキルなんだが、自分より格下の相手を威圧したりもできるしなかなか便利だぞ」


お前には効かなかったがな。と辺境伯。

しかし、いつの間にそんなことをしていたのだろうか。

全然気づかなかった。

初めて会った時だろうか?

あの時ならまだ魔力を知覚なんてできなかっただろうからな。


俺は「覇気」もきちんとスキル欄に載っていることを確認した。

というか加護の欄に何か増えているんだがこの世界の人間でなくても加護ってもらえるんだな。

しかし実在する神様か。いつか会うことになるのだろうかね?


---


俺は二人に礼を言い、冒険者ギルドに向かった。


「お、来たな。入れ」


ギルドに着いた俺は受付でレイラに心配という名の小言と呆れ混じりの賞賛をもらいギルド長執務室へと案内された。

ギルド長の執務机には初めて来たよりも更に大量の書類が山となっており、副ギルド長も手伝って片付けている最中のようだった。


「ん?ああ、報告やら色々たまっちまってな。まぁとりあえず座れや」


俺が言われた通り座る向き合うようにギルド長も座り、その後ろに副ギルド長が立つ。


「さて!まずは改めて礼を言う。お前がいてくれて助かった」

「いや、俺も貴重な体験ができたからな」

「ふっランクAの魔物と一対一はそりゃ貴重な体験だろうな」


ギルド長は何がつぼにはまったのかゲラゲラと笑っている。

それを見て副ギルド長は呆れ顔だ。

一頻り笑って満足したのかギルド長は顔を引き締め直した。


「で、お前への報酬なんだがな。ギルドからの報酬として閃貨2枚だ」

「閃貨2枚!?おいおい奮発しすぎじゃないか?」

「いや適正だよ。まず異常の報告、スキルによる魔物の軍勢の早期発見。なにより地竜討伐。他にもあるんだがまぁそんなもんか」


閃貨2枚となると2千万円相当ということになる。

一気に大金持ちだな。


「それからこれは俺からだな」


ドンと音を立ててベージュ色の布束が置かれる。


「これは…テントか?」

「そうだ。マジックテントさ」


―・―・―・―・―・―


魔道具(マジックアイテム)】マジックテント

品質B、レア度7、魔道具職人ニーン・エジアの作。

空間拡張の魔法がかけられたテント。

内部は快適を保つ設計をされている。

魔力を通すことにより自立する。


―・―・―・―・―・―


「冒険者を続けるなら役に立つだろう」

「ありがたいが、なぜ俺に?」

「何、俺はもう使わんだろうしな。俺が気に入った奴に使ってもらいたいのさ」

「ということはこれもお下がりなのか」

「も?」

「ああさっき辺境伯からもこれを貰ってな」


そう言ってディメンションキーを見せるとギルド長の目がこれでもかというくらい見開かれた。その後ろで副ギルド長も驚いているようだ。


「おい、お前それがどの程度のものか知っているのか?!」

「貴重なものだってことはわかるが…」

「貴重なんてもんじゃない!売れば城の一つや二つ買えるぞ!」


そんなにだったのか。まぁもう返さないけどな。

俺がそう言うとやっと落ち着いたギルド長はやれやれという風に首を振っていた。


黒葉周 17歳 男

冒険者ランク:G

HP:10200

MP:6000

魔法属性:全

<スキル>

格闘術、剣術、槍術、棒術、弓術、刀術

火属性魔法、水属性魔法、風属性魔法、土属性魔法、氷属性魔法、光属性魔法、無属性魔法

馬術、身体強化、魔力制御、MP回復速度上昇、覇気(new)

礼儀作法(new)

<ユニークスキル>

天衣模倣マスターコピー完全なる完結ジ・エンド・オブ・パーフェクト全知眼オールアイ

<称号>

「知を盗む者」、「異世界からの来訪者」、「極致に至る者」、「武を極めし者」、「すべてを視る者」、「竜殺し」、「下克上」

<加護>

「創造神の興味」、「戦と武を司る神の注目」、「生と娯楽を司る神の加護」


---


2015/4/11:アイテムの表記を一部変更し、作者名を追記しました。

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