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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第九章 荒れる海と幽霊船「曇天の港町」編
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第195ページ 魔法建築

商業ギルドに行き俺の家を建てる為の建材を注文してから数日。

頼んだ建材の準備が終わったという連絡を受け、俺たちは再び商業ギルドに訪れていた。


「随分早く準備してくれたんだな、ティファナ」

「最優先で取り組ませていただきました。商業ギルドとしましてもこれ程の大口依頼は久しぶりですので」


領主である辺境伯からや、冒険者ギルドと協力しての大きな仕事というのはあるが、個人からこれ程の注文を受けるのは貴族区画が埋まってからは久しぶりのことだと言う。


俺が頼んだ物は商業ギルドに隣接している倉庫に置かれているらしく、俺達はそちらへと回る。

倉庫には入りきらないのではないかと思ったが、商業ギルドは収納魔法陣というものを保有しているらしい。


収納魔法陣というのはその名の通りの物で、マジックバックのように持ち運ぶことができないが、一般的に地球でいう貨物コンテナくらいの容量がある。

それを四つ程使い、俺の頼んだ建材を収納してくれているそうだ。


もちろん使用料は別途請求されるが、最初の契約の時に俺は支払い済みだ。

自前のディメンションキーに入れてもよかったのだが、倉庫が一杯になる毎に呼び出されるのもめんどくさい為、一度商業ギルドで全てを保管していてくれるように頼んだ。


「こちらになります」


案内された倉庫で設置されている収納魔法陣から大量の建材を受け取る。

俺が森の中に建てるということで俺は石塔のイメージから五重塔のような物にイメージを変えた。

その為、建材のほとんどが木材だが、一部石材や鋼材、塔に設置しようと思っている魔法陣を描く為に必要な特殊インク、その他にも色々頼んだので本当に大量になってしまっている。


ディメンションキーの中には既にウィリアムと手分けして買ったインテリアや食器等の生活用品も入っている為、初めてディメンションキーの限界が気になった。

問題なく全て入ってくれて助かった。


「ありがとう」

「またのご利用をお待ちしております」


やりきった笑顔で礼をしてくるティファナに見送られ、俺とアステール、ウィリアムは家建設予定地として割り振られているネレル森林の一角へと向かう。


どういうわけか辺境伯家の面々とグラハム達冒険者ギルドの面々がそこに待っており、先程見送ってくれた筈のティファナもやって来た。


「みんなどうしたんだ?」

「魔法建築は珍しいしな。シュウがやるところを見に集まったのさ」


つまり野次馬か。

まぁいい。

大人達もララも全員が目を輝かせているのだから追い返せるわけがない。


「巻き込まれないように下がってろよ?」


全員に注意してから俺はとりあえず必要な分だけの建材を取り出す。

さて、この日の為に建築学の本も買い勉強した。

さぁ、やるか。


魔法建築というのはそういう魔法があるわけではない。

一種のプロセスと言っていい魔法だ。

要は風魔法や土魔法を使い、建築という一つの作業工程を流れとしてイメージして魔法を行使することで一度の魔法で建築の工程全てを行うということだ。


木材が風によって舞いあがり、どんどんと積み重なっていく。

途中で俺が考える長さに風の刃によって切断される物もあり、細かい作業は土魔法によって作り出された簡易ゴーレムが行う。


このゴーレムはほんとに簡単な命令しか実行できない。

魔石も中に入っていない為寿命も短いが、建築の間くらいなら大丈夫だ。


中心には大きな柱を。

その周りに木材を敷き、更に外壁、屋根と作る。

この作業を繰り返し、塔の高さは長くなっていく。


階段部分の吹き抜けや、部屋それぞれを区切るように壁も作る。


圧倒言う間に塔の完成だ。

広さをあまり取れなかった為、七重塔になってしまっているが気にしない。

最上階は天守閣のようになっている。


瓦は仕入れるのに時間がかかると言われた為自作した。

最初は手間取ったが、一度作ればあとは流れ作業だった。


さて、外装が終われば内装だ。

地下もまだ手つかずの為そちらもしないといけないな。

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