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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第八章 更なるステージへ「Sランク昇格試験」編
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第166ページ 王都冒険者ギルド

翌朝。

まずは王都に来た報告に公爵家へと赴く。

本当は報告する必要などないのだが、世話になっているし宿は別でとったということを言わなければならない。


ただ残念ながら、公爵家の面々は全員仕事へ出た後で誰もいなかった。

俺はメイド長のローザさんに伝言を頼み公爵家を後にする。


向かう先は冒険者ギルドだ。

試験についての概要はもらっているが、一応変更がないか確認しておかないといけない。


冒険者ギルドは、朝ということもあり人が多くいると思われていたが、俺が着いた頃には既に()いていた。

受け付けは3つあり、その一つだけが何故か並んでいたのであいている受け付けへと行く。

何故あいている受け付けがあるのに並ぶのか不思議だったが、並んでいるのは男ばかりで受け付けをしているのは美女だった。

罪深いな。


「いらっしゃいませ、本日はどのようなご用件ですか?」


隣の列を見て、隣の受付嬢と目の前の男性ギルド員を見比べ納得した俺に苦笑しながら彼は言う。


「一週間後のSランク昇格試験を受けるんだが、昨日ついたばかりでな。何か変更がないか確認しに来たんだ」

「かしこまりました。ギルドカードをお願いします」


俺がカードを渡すと、男性職員は何かを操作しすぐにカードを返却してくる。


「ありがとうございます。変更はありません。試験の概要資料はお持ちですか?」

「ああ」

「でしたら大丈夫です。試験日の朝8時にギルドへお越しください。一日目に筆記と戦闘試験。二日目から実技試験となります」

「…から?」

「はい。実技試験の内容は人により異なります。中には一日で終わるとは限らないものもありますから」

「試験内容はいつわかるんだ?」

「当日になります」

「…泊まりになりそうな場合の準備などは?」

「こちらから指示を出すことは一切ありません」


あらゆる依頼を想定して事前に用意しておくのか、依頼内容を聞いてから用意するのか。

そこら辺も審査対象ということなんだろう。

どちらが正しいのかわからないが、幸い俺にはディメンションキーがある。

問題はない。


さて、それはそれとしてこれからどうするかな。

一週間何もしないっていうのは暇だし、前に来た時に図書館や書店は回ってあらかた読みたい物は読んだ。

行きたいとこも特にないし、何か依頼でも受けるか?


王都でちゃんとした依頼を受けるのは初めてだな。


何があるのかと依頼掲示板を見る。

さすがに王都だけあり、そこにある依頼は多種多様だ。

魔物討伐、魔物捕獲、盗賊討伐、商人護衛、珍品採取、衛兵隊への協力、郵便配達、行方不明の飼い猫捜索、貴族子息の武術指南…


色々だが、冒険者への依頼としてどうなんだ?というのも混ざっている。

ごった煮状態だ。


受けるとしたらなんだろうか?

一週間以内でできる仕事がいいんだが、泊まり込みというのもめんどくさい。


マジックテントのおかげでもはや野営という感じではないが、それでも気を張っている必要はあるのだ。


まぁすぐにできそうなのは魔物の討伐かな。

俺は王都から近い依頼を順々に受けていくことにした。

勉強という考えが頭をよぎったが、もういい。嫌だ。


というわけでまずは王都から一番近い依頼。

常駐依頼として王都周辺のゴブリン討伐があるのだが、これはキリがなさそうなので除外する。


む。

そうなると近いところでも王都からはかなりの距離がある。

王都周辺には村もないからだろう。

魔物がいても依頼が出ないのだ。


「うーん、どうするかなぁ…」


薬草採取なんかはすぐに終わりそうだが、これは初心者冒険者用だろう。

俺が受けてしまっても問題はないがマナー的なあれだ。


泊まりがけだと何かあった際に戻れない可能性もあるのだ。

何も用がなければそれでもいいのだが試験を控えている身としてはやめておきたい。


「おいおい、こんなガキが冒険者かよ!」


俺が掲示板の前で悩んでいると、後ろから声がかかる。

耳障りな大声だ。


振り返ると、山賊のような厳つい顔をした男がいた。


「ガキは帰ってママの乳でも吸ってるんだな!」


男が言うと、おそらく仲間らしい周りの奴らが笑い声をあげる。

なんだか気が逸れた。

今日は依頼受けるのやめとくか。


俺はそいつらを無視して、ギルドを出ようとする。


「おい、無視するんじゃねぇよ!びびってんのかぁ!?」


肩を掴まれ強引に振り向かされる。

イラっとしたので<覇気>を発動。

男達は、泡を吹きながら気を失った。


「お?お前確か…」


気を失った男達に興味が無くなり、再度ギルドを出ようとするとまたしても後ろから声がかかった。

振り返るとそこには見覚えのある顔。


「ドーンじゃないか。どうしたんだ?」

「それはこっちのセリフだ…」


ガイアで活動しているAランク冒険者。

「巨人の槌」というパーティーのリーダーをしている男でガイア防衛線の時に一緒に戦った。

気絶している男達と俺を見比べながら顔を振っている。


「俺は今回のSランク昇格試験を受けに来たんだ」

「そうか。なら一緒だな」

「お前もうSランクかよ。早すぎないか?」


ドーンは意外と慎重派なようで、Sランク昇格試験の話は何度か来ていたが経験不足を理由に断っていたようだ。

偉い奴だな。


「俺はパーティーを組む気は無いし、勉強ならしたから大丈夫さ」

「それならいいんだが、何かあれば言えよ?先輩として助言くらいはしてやる」

「ああ、助かるよ」


ドーンは今着いたばかりでギルドに報告した後は王都を満喫するらしい。

王都に来るのは初めてだそうだ。


ついでに王都を案内してくれと言われた為、今日はそう過ごすことにする。

報酬は晩食だ。

さて、明日からはどうするか。

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