第147ページ 新たな依頼
ガイアまでの道中は何の問題もなく、逆に怖くなってくるくらいにスムーズに進んだ。
途中、サルベニーに寄ったら領主とばったり遭遇。
俺が検挙した奴らの仕事で最近まで大忙しだったと笑って言われた。
いいことだ。
妖精郷へも立ち寄ってみた。
女王ティアは、笑顔で迎えてくれアステールと妖精達が走り回るのを眺めながら近況を話す。
ティアは、世界と繋がることができるらしく色々な情報を持っていたが、魔大陸のことや神聖教国のことなどはあまりわからなかった。
妖精がいないからということらしい。
俺が思っていたよりも早く再訪した為、妖精達も今度は笑って送り出してくれた。
ティアが少し寂しそうに微笑んでいたのが印象的だったな。
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「よう、シュウ!戻ったのか」
「ああ、戻ったよ。俺はお前と何度この会話をするんだろうなぁオプス?」
「はっはっ!奇遇だな、俺もそう思っていた!」
門衛をしていたのはまたもやオプス。
もはやこいつは休みがあるのか?
大丈夫か?
門衛まさかのブラック企業だったりするのだろうか?
「よし、確認終了だ。通っていいぞ!」
「ありがとう」
本人が楽しんでいるようなのでいいか。
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「それで、どういうことだ?」
「わっはっはは!どうもこうもない!お前のような実力のある奴をAランクのままにしておけるか!」
門からそのままギルドへと立ち寄った俺は、受付のレイラにグラハムと会いたいと申告。
スムーズに通されもはや馴染みとなったギルド長執務室へ。
そして今だ。
Sランク昇格試験に推薦されていた件について聞いているのだが。
「そうじゃない。申し込まれること自体は構わんが、何故黙っていた?」
「その方が面白いだろ?」
盗賊の頭みたいな顔でニヤリと笑うな。
いかつすぎるぞ。
「はぁ…まったく」
「まぁまぁそう怒るな。これで史上最年少のSランクだそうだぞ?」
「そういうことは合格してから言え」
「受かるさ。Sランクまでは普通の奴でも到達できるからな。お前が落ちるわけない。SSやSSSになると違ってくるがな」
自分が普通でないのは自覚しているが、他人から言われると少しむっとするな。
それも同じく普通でない奴から言われると。
「それでお前、当分ガイアにいるのか?」
「ああ、そのつもりだ」
「そうか」
グラハムは椅子から立ち上がると、自分の執務机へと近付き、一枚の書類を手にし戻ってくる。
「ほら」
「なんだ?」
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【指名依頼】地震発生源調査
内容:最近頻繁に起こる地震の発生源を調査して報告せよ。
依頼主:ガイア領領主アイゼン・フォン・ラッセン
依頼対象:シュウ・クロバ(A)
報酬:要相談
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「…これは?」
「見たまんまだ。お前へのラブレターだよ」
「辺境伯も人使いが荒いな」
「違いない!」
どうせこれから顔を出す予定だったし、詳細は本人に聞くとするか。
「じゃあな」
「おうよ。またな」
ギルドを出て辺境伯の居城へと向かう。
今更だが王城と変わらない規模の邸宅っておかしいだろ。
辺境伯城の守衛は、俺の顔を周知しているようで誰にも止められることなく中へと入れてくれた。
それでいいのか。
アステールも自分で厩へと向かう。
慣れたものだ。
「お久しぶりございます、シュウ様」
「久しぶりだなマインス」
タイミングが合わず、前に来た時には会わなかった。
最後に会ったのは辺境伯とガイアを出る時だったか。
「辺境伯は執務室でお待ちです。どうぞこちらに」
「ありがとう」
文官長に案内させるっていうのはどうにも違う気がするが、今更か。
トントン
「失礼します。シュウ様をご案内しました」
「ああ、入ってくれ」
中にはラッセン辺境伯とギルバートがおり、俺を案内してくれたマインスもそのまま辺境伯の後ろに立つ。
ギルバートも辺境伯の後ろに周り、俺は執務机の前、向かい合う二つのソファのうちの一つに座る。
「依頼書は確認しました。詳細をお伺いしても?」
「受けてくれるのか?」
「特に断る理由もありませんので」
のんびり帰って来たし、グラハムから貰ったテントのお陰で野宿という感じでもなかったから休息が必要でもない。
ましてや自分が世話になっている領の領主直々の依頼だ。
俺がそう言うと、「そうか」と嬉しそうに言う辺境伯。
「詳細と言っても書いてあった通りなんだがな」
「発生源の特定はできているのですか?」
「…おそらくは深淵の森だ」
「根拠をお伺いしても?」
そう聞くと、辺境伯は立ち上がり、俺の対面へと座る。
丁寧に一枚の石板がソファの間にある机に置かれた。
「これは?」
「建国よりも以前の書物だ」
「千年以上前の?」
その割にはしっかりと原型が留めてあり、文字の判別もできる。
地球であれば読むことなどできないだろう。
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地が怒り、地が起こる。
地を鎮める為、犠牲を払わん。
森に入ってはならぬ。
全ての厄は其処に。
森の深奥に踏み入ってはならぬ。
決して…起こしてはならぬ。
地が再び怒りし時、この地は滅ぶ運命やもしれぬ。
―・―・―・―・―・―
「このガイアは、元々一つの国だった。初代国王がマジェスタと統一し、今は辺境の街となっているがな。我がラッセン家は、元々この地を治めていた長の一族だ」
そうだったのか。
それで居城が大きい説明もつく。
元々の王族に配慮したってところだろう。
「この石板は建国前より一族に伝わっている。意味はどこかの代で継承が途絶えてしまったようだがな。それで我々はこれが深淵の森に棲む魔物達のことだと思っていた」
「確かに深淵の森に棲む魔物は強力ですが、世界が滅ぶというのはいささか…」
「そうだろう?疑問はありつつも入るなと言われているからな。深部にまで行ける者もいないし、放置していたのだ。しかし…」
地震が起きた。
地が怒るというフレーズにピッタリだということか。
「最近頻繁でな。日に何度もあると偶然で片付けられん」
「日に何度も?」
「ああ」
それは確かに自然ではないかもしれないな。
自然だったとしても調査をした方がいいか。
…この場合プレートの調査か?どうすればいいんだ?
まぁいいか。
「ではすぐにでも」
「いや、依頼しといてなんだが今日は休んでもいいんじゃないか?」
「そうですか?では、明日に向かいます」
「ああ、頼む」
その後少し世間話をしてから俺は「雄牛の角亭」へと帰る。
マーサさんに「おかえり」と言われ、「ただいま」と返す。
ここに帰ってくるのは本当に久しぶりだな。
けっこう空けてしまったが、前に泊まっていた部屋を空けてくれていた。
ありがたくそこに泊まると、家に帰って来たかのように体の力が抜けていくのがわかる。
意識してなかったがやはり気を張っていたのかもしれないな。
その日は、久しぶりにファーザさんの晩御飯に舌鼓を打ち、眠りについた。




