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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第七章 秘められた真実「深淵の森再び」編
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第146ページ 王都の朝

今話から投稿時間を0時に変更します。

この時間なら多少忙しくても毎日更新できると思うので。

よろしくお願いします。

報酬の受け取りも終わり、俺は公爵家で最後となる朝食を摂っていた。

今日中にはガイアへと戻るつもりだ。


それを知っている為、朝は出勤時間が違うので予定が合わせづらく全員が揃うことは稀にも(かか)わらず公爵家の面々と、ジェームズ、トマスが勢ぞろいしていた。


「そういえばシュウ、空間魔法使用許可証発行されるんだって?」

「ああ」


あの後、ベンと同じように王城内で空間魔法の行使ができるようになる許可証を貰えることになった。

貰える物はありがたく貰うが、一介の冒険者に過ぎない俺にそんな物渡していいのだろうか?


「君を一介の冒険者としていいのかはわからないけど…」

「いや、シュウ君の持つ個人戦力は一介の冒険者などと言ってはならんだろう。陛下の判断は正しいよ」

「シュウなら裏切る心配もないしね!」


自信を持って言い切るベンに首を傾げる。

そんなに信頼してもらうようなことをしただろうか?


「シュウが王城に侵入してメリットがないからね。陛下暗殺に加担するわけもないし」


それは…まぁないとは思うが。

その信頼のされ方もどうかと思うな。


その後は、取り留めのない話しをしてシュレルン家のみんなはそれぞれ仕事へと向かった。


「お世話になりました、シュレルン公爵」

「なんの。息子の友人を泊めるくらいなんでもないさ。それに君は今や王都を救った英雄の一人だ」

「勘弁してください…」


王都襲撃事件や、洗脳事件を解決した一人として俺は王都民から注目されそうになった。

まぁどうにか緘口令を敷いてもらい、俺のことは表に出ないようにしてもらったが。

悪目立ちして英雄などと呼ばれるのは遠慮させていただく。


「そうだ、シュウ君。冒険者ギルドに寄ってみるといい。そろそろSランク昇格試験の概要が発表されている頃だろう」

「?それが私に何か関係が?」

「受けないのかい?」

「は?」

「うん?」


話しが噛みあっていないぞ?

何故俺がSランク昇格試験を?


「おや?確か君も受けるようになっていたと思うが…」

「は!?」


俺はシュレルン公爵に礼をし、慌ててギルドに向けて走り始める。

後ろから声がかかった気もしたが今はそれどころではない!


---


「ここだな」


冒険者ギルドサンデルス支部は、ガイアやアキホよりの支部よりも格段に大きかった。

誰でも利用できるようにと二番街にあり、周りには他のギルドもある。

商業ギルド、魔法ギルド、薬業ギルド、鍛治ギルドなど様々だ。


これらのギルドは国が運用しており、他国の同ギルドと繋がりがあっても同じ組織というわけではない。

しかし、冒険者ギルドだけはどこの国にも属さない独立ギルドであり、その本部はアルクラフト大陸近郊の離れ島にある。


もう随分と前のような気がするが、王都に来たばかりの頃二番街を探索してギルドの場所は把握していた。

どんな依頼があるのかだけ見て利用はしなかったが。


「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件ですか?」

「Sランク昇格試験について聞きたいんだが…」

「かしこまりました。ステータスカードを拝見してもよろしいですか?」


俺がカードを差し出すと、何かの資料と見比べ確認を終えたのか、「ありがとうございました」とカードを返却してくる。


「シュウ・クロバ様ですね。それではこちらが試験の概要となりますのでご確認ください」

「…」


普通に渡されてしまった。


「な、なぁ俺は試験に申し込んだ覚えはないんだが?」

「え?ああ…」


受付嬢は、何かに納得したように一つ頷くとニコリと笑って説明してくれる。


「Sランク昇格試験は他薦でのみ申し込みが可能となります。この場合の他薦とは、冒険者ギルド支部長・副支部長以上の者、三人以上の推薦という意味であり、クロバ様の場合ですと、ガイア支部支部長及び、副支部長。それからアキホ支部支部長の推薦となっております」


俺の脳内に三人が面白そうに笑う映像が浮かび上がる。


「本来ですと推薦した者がその旨を本人に通達するのですが、今回はしていなかったようですね」


クスクスと笑う受付嬢と反対に、俺はこめかみがピクピクと動くのを感じる。

あいつらめ。


「Sランク昇格試験は今から丁度二ヶ月後となります。場所はここ、冒険者ギルドサンデルス支部。試験は三種類あり、内容はそちらの資料に書かれていますので後ほど御覧ください」

「ありがとう」


俺は礼を言ってから公爵の家へと戻る。

ベンに盛大に笑われた後、笑いを押し殺そうと必死になっている公爵に改めて礼を言い、俺はアステールの所へ。


「クル!」

「さぁ帰るか」


帰り道は空間魔法による転移でなく二人でのんびりと帰ることにする。

特に急いで帰らなければならない用事もないからだ。


王都に来る時は、辺境伯の護衛であり速度を合わせねばならなかったからかなりの日数がかかったが、アステールと二人ならばのんびり行くとしても旅程は短くなる。

空を飛ぶことで道を通るのとは違い最短距離を突っ切れるからだ。


王都の中にずっとおり、飛ぶこともあまりできていなかったアステールが嬉しそうに駆けだす。

翼をはためかせ、空へと浮かび上がる。


「のんびり行こう、アステール」

「クルゥ」


高空を飛ぶことで冷たい風が頬に当たる。

気持ちいい風が、俺の高まった感情を鎮めてくれた。


帰ったらギルドに乗り込みはするが。

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