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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第六章 迫り来る脅威「王都星天会議」編
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○話 誰か達の悩み

どことも知れぬとある場所。

見果てぬ平地が続く白い世界にただ一点、浮かび上がる円卓を囲み、いくつかの人影があった。


「なぁぁぁんで教会に来んのじゃあのバカはぁぁぁぁ!!??」


叫ぶ声は老人のそれ。

ドンと勢いよく手を円卓に叩きつける。


「ぶあっはははっはっはは!!」

「笑いごとじゃないわ、ドランバッハ!」

「い、いやだってよ!巫女通して出した神託忘れられるとかっ、イィヒッヒッ、腹痛ぇ!」


椅子から転げ落ちそうなくらいにお腹を抱え爆笑を続ける50代風の男。

それを見て老人の額には青筋が浮かぶ。


「まぁまぁ落ち着きなよ、カイデルベルン」

「これが落ち着いていられるかっ!」

「そうは言ってもさぁ。一応教会には行ってるじゃん?建て直し中だったから介入できなかっただけで」


40代風の恰幅のいい女性が、ガイデルベルンと呼ばれた老人を窘める。

それで少し落ち着いたのか、肩で息をしながらも腰を落とし椅子に座る。


「でも、あの時も私達のことは考えてなかったわねぇ」

「がぁぁっぁぁ!!!」


だが、20代風の女性の言葉に再度怒りが爆発し、立ち上がって頭を抱える。


「余計なこと言わないでおくれよ、アイリーア」

「あら、事実じゃない?」

「そうだけどさ…」


メガネをかけた30代くらいの男がチラチラとガイデルベルンを気にしながら、アイリーアに声をかける。


「面白いよねー。あれだけ便利なスキル持ってるくせに使ってないし、本来技巧派なはずなのにまだ力押ししか見てないよ」


そう言ってコロコロと笑うのは10歳くらいの幼い少年。


「でも…破壊神…復活…間近…」


寝むそうに目をこすりながら言う7歳くらいの少女。

その言葉に、この場にいる全員が真剣な顔になる。


「裁きの女神も目を覚ましたようですしね」

「おや、姉さん。珍しいね?」

「少し手が開きましたからね、オンタレス」


オンタレスと呼ばれた恰幅のいい女性に、いつの間にか現れていたおしとやかな印象の30代半ばくらいの女性が言う。

見た目年齢的には逆であるが、姉妹であるらしい。


「あいつは強い」


それまで黙って成り行きを見ていた。

20代くらいの男が言う。


「そうじゃな。破壊神に対抗出来るほどではないが、裁きの女神の純粋攻撃力は儂ら以上じゃ」


落ち着きを取り戻したガイデルベルン。

男の言葉に同意し、次いで暗い表情となる。


「リビア亡き今はな…」


その言葉に全員が暗くなる。


「お主にも苦労をかけるの、レーシア」

「問題…ないわ…眠いけど…」


その答えに、だがガイデルベルンの答えは暗いまま。

ここまで彼女が眠い理由も力の行使が多い為だ。

つい先日まではここまでではなかったにも関わらず。


「破壊神の影響は、各地にまで及んでおる。邪神教徒共が妙な事をしておるせいで被害は広がるばかりじゃ。深淵でもの…」


暗い話題は尽きない。

そんな空気を変えようと、少年が努めて明るい声を上げる。


「大丈夫!深淵には彼が向かっているよ!」


その言葉に、この議題の最初を思い出して、ガイデルベルンは深い溜息を吐いた。

だがそれは、結局何もできない自分を嘲笑するかのようであった。

明日から第七章開始です。

舞台は辺境へと戻り、二章のあからさまな伏線と、細かい伏線を回収します。

細かい伏線、出した後に告げますのでわかっていたという方いれば教えていただければ純粋に作者が驚きます。

…それだけですがね!


また、200部が近くなってきたのでSS用リクエストを募集します。

何かあれば感想、メッセージ、活動記録、何でもいいのでドシドシご応募ください。

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