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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第六章 迫り来る脅威「王都星天会議」編
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第133ページ 3つの戦況

「おっと!あのお嬢ちゃんの剣技に見とれていたでやんすよ!」


俺達が走って近づいてくるのを目撃し、慌てて作業を再開するシェンツィアート。

だが、俺達は既に空間魔法を準備済みだ。

走っていたのは、相手に時間がまだあると思わる為だけのブラフ。


短距離転移(ショートジャンプ)〉を使い、シェンツィアートのすぐそば、剣を振れば当たる距離へと転移する。

シェンツィアートはギョッとしてこちらを見てきたがもう遅い。


「これで、終わりだ!」


斬鬼と精霊剣が振るわれる。

しかし、その刃がシェンツィアートに触れることはなかった。


「なっ!?」


シェンツィアートが地面に置いていた箱。

それはアタッシュケースのようであり、中から傘のような物が飛び出し、俺達の剣戟を防いだ。


「キヒヒヒ!アダマンタイトとミスリルの合金で作られた傘さ!これで防げるのは雨だけではないぞぉ?」

「そうだろうな!」


斬鬼と精霊剣による斬撃をこれだけ防いでいる時点で相当な防御力だ。

おそらく斬鬼と同じように人が作れる限界の品物だろう。


それもこの傘、攻撃を感知し自動で動くようだ。

俺達が違う角度から攻撃しようと、魔法を混ぜて攻撃しようと全て防ぎきる。

タイミングを外して攻撃すると、傘が二本に増えやがった。


シェンツィアートの腹立つ笑顔は未だ健在であり、俺達の攻撃を傘が問題なく防ぎきっているのを確認していから作業に戻っている。


「チッ!めんどくさいっ!」

「まったくだよ!」


天羽々斬の逸失能力を解放すれば斬ることは可能であるが、あれは加減ができない。

この傘はおろか、守られているシェンツィアートまで斬ってしまう。

今の状況でシェンツィアートを殺すことはできればひかえたいのだ。


「空間魔法でも跳ばせないか!」

「対策はしっかりしてあるみたい!」


このままだとシェンツィアートの作業が終わってしまう!

どうする!?どうする!?


---


「あっちは大変みたいよぉ?」

「あの二人がいるのです。私の役目はここであなたを倒し捕縛すること!」


闇が広がり、氷を覆う。

だがそんなことは関係ないとばかりに次々と氷塊が発射され、その全てを闇の鞭のようなものがたたき落とす。


「魔族である私と同等に魔法で対戦なんて、さすがは『偉大なる魔導師(アークビショップ)』の一人ということかしら?」

「どうでしょうね!?」


会話しながらも二人の魔法は止まない。

氷が、闇が飛び交う。


だが、平然としながらもポラリスの中には焦りがあった。

それは純然たる魔力量の差。


自らも人族にしては多い魔力量を持っていると自負している。

しかしそれはあくまでも人族としてのことであり魔族との差は歴然として存在する。


その魔族の中でもこのメーア・ストランクは、魔王直下の幹部というだけあり桁筈れの魔力を有しているのがわかる。

このまま魔法の撃ちあいをしていれば、いずれ先に魔力が尽きるのは間違いなくこちらだ。


(さて、どうしますか)


胸中の焦りなど微塵も出さないポラリスはさすがではあった。

が、当然メーアにしてもこの状況が続くことはないと理解している。


しかし、魔力量でいくら自分が上回っていようと相手が高位の魔導師であることに変わりは無く、決して油断できる存在ではない。

それ故に、このままではない一手を警戒しており、それがまたこの膠着状態を長くしている要因でもあった。


勝負がつくとすれば一瞬。

ポラリスが相手の裏をつくことに成功するか。

それを読み切りメーアの反撃が成功するか。


どちらにしても、決着の時はそう遠くない。


---


「どうやら…どちらも苦戦しているようですね」


目の端に二つの戦場を映しながら自身も剣を振る。


本来ならば、16本もの剣を同時に操作している以上、他の戦場を気にする余裕などないはずなのであるが、今自分が相手をしている者たちからはこちらに攻撃をしてくる気配がまったくない。

わざと隙を見せて攻撃を誘ってみたりもしたのだが、それもまったくの無意味に終わってしまった。


回避だけを命令されているようであるが、それもここまで遵守していると不気味である。

人というものは欲のある生き物である為、咄嗟に手が出てしまうこともあるはずなのにだ。


まるで感情がないかのようにである。


しかし、自分がこのフードの者たちを無視し、駆けようとすると途端に前のめりになり張り付いてくる。

それでも攻撃はしてこないのだが、邪魔であることに変わりは無い。


まず第一問題として、自分の攻撃がこうも避けられるというのがあり得ないのだ。

16本の剣を操る相手というのは、本来人には対応しきれない手数なのである。


剣の動きを変え、1人に集中して攻撃しても短い間は避けきってみせる。

その避けている間に他の者が間に入るのだ。


状況はまったく変わっていなかった。

それどころか、そろそろ自分の脳が限界を感じてきている。


フィオナも内心でかなりの焦燥を抱いていたが、いい一手を思いつけずにいた。

それほど、この敵は今まで戦ってきた相手と勝手が違う相手であったのだ。

大丈夫と言った次の日に投稿日をミスるという凡ミス。

誠に申し訳ありません。

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