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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第六章 迫り来る脅威「王都星天会議」編
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第129ページ 魔族と魔石

「ここが魔人巨兵の研究を行っていた区画です」


山のように積まれた書類と、動いてはいないが何らかの魔道具たち。

それらに囲まれるようにできた空間に、置かれている魔人巨兵の外殻、その他諸々。


チューブが繋がれていたり、変な布で覆われていたり、どういう原理でか浮いている物もある。


「何か失くなっているものなどは?」

「………いいえ、どうやらそのようなこともありません。魔人巨兵の核となっていた魔石もそのままにあります」


グラス魔導師長の指す方には、腰ほどの高さがある台座に乗せられたバスケットボール大の魔石。

ゴブリンの魔石が爪ほどの大きさしかないことを考えると、一体これは何者から取ったというのか。


「この魔石は、人工のようです」

「人工?」


魔石について、わかっていることは少なくないが、魔石を作ることができるという話は聞いたことがない。


魔石は魔物、そして魔族の体内で作られる。

本質的な力の塊であり、心臓の中にある。

生きたままこれを取り出されることはまずないが、もし魔石だけを取り出された場合も死ぬことはない。

それ以降魔物、魔族が魔力を使えることはできなくなる。

つまりは、魔力の源。


その魔石を人族は魔道具の動力源として利用している。

魔石には魔力を溜める性質もあり、魔石がなければ魔道具は一般人に使えないものなのだ。


故に魔石の需要は高く、当然とこれを人工的に生み出すことができるのかという研究はこれまでもなされていた。

が、うまくいったという話はない。


とは言え、俺が知っているのは本に書かれていた知識だけなので表向き開示されていないということもあり得る。


しかし


「魔石を人工的に生み出すことができたとは、私も聞いたことがありません。おそらくは自らの体内に魔石を持つ魔族だからこそ作ることができたのでしょう」


魔族が嫌悪され、忌避される理由。

それは魔石があるからだ。


魔石のおかげで魔族は三種族一の魔力を誇るが、そのせいで魔物と同一視され人ではないと糾弾された。


俺はこのことを知った時、もしもの可能性が頭に浮かんだ。

魔族と人族・獣族の争いの最初。

そのとある可能性。

有り得ないことではなく、十分に有り得る話。

しかし、人族の大陸にいる限り、真実を知ることもできないだろう。

魔族の大陸に行こうと思う要因の一つはそれを知る為だ。

知ったところでどうもしないのだが。


「しかし、何も失くなっていないとなるとどういうことなのでしょう?」

「視てみましょう」


俺は、久しぶりに過去視の力を発動する。


俺の目に過去の映像が映し出される。

桃色の長髪の女と、丸い体型の研究者風の男。

彼女らは、ここの研究員たちが調べた資料に目を通し、何やら議論している。

目的は、人族の研究員たちが調べあげたデータ?


いやしかし、元々は魔族が作ったもの。

最初から調べるしかない人族よりも多くのデータを持っているはず。

だがそれ以外に何かしていることもない。

一体何が目的なんだ?


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