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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第六章 迫り来る脅威「王都星天会議」編
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第122ページ 王城侵入

と言っても、俺一人であるならば王城への侵入は容易い。

普段なら、こんなに容易くとはいかなかっただろうが、今は俺が開けた穴がある。

二つも。

そう、王城最上階にだ。


フィオナ王女に聞いた話だと、王城敷地内では飛行魔法も発動されないらしい。

飛行魔法なんてものを初めて知ったが、無属性魔法にあるそうだ。

感覚としては飛ぶというより、浮いた自分を操るという感じらしい。


とは言っても、俺が飛ぶ方法は魔法でなくスキルによるものだ。

この結界がいくら高性能であろうと魔法以外のモノには通じない。


それを言えば、普通翼を持たない人が空を駆けることはないから大丈夫、と微笑まれた。

いや、ユニークスキルでもないから頑張れば誰でもできるようになるんじゃなかろうか?


そういえば俺はスキルが軽々と手に入ってしまうが、通常そんなことはないようだ。

一つのスキルを手に入れるにもかなりの努力が必要になり、ユニークスキルなんてものは基本的に生まれつき以外入手のしようがないものらしい。

そんなこと言われても手に入ったものはしょうがないじゃないか。


そんなことを考えているうちに、俺は王城への侵入に成功していた。

穴は簡易的に塞がれていたが、ただの板壁に俺を止められるはずもなく、申し訳ないがまた開けさせていただいた。


識図展開(オートマッピング)によって国王たちの位置を確認する。

ここで俺は、一つの問題に気づいた。


赤の光点がいつもと変わらぬ数しかない。


つまり、魅了によって洗脳されていたとしても、光点の色は変わらないということになる。

識図展開(オートマッピング)は、俺の深層心理を反映し、光点の色付けをしている。

俺が心の底から操られている者たちを敵だと思わなければ赤くならないのだ。

そこに融通は効かない。

十分便利なスキルなのだが、こういうとこで不便と感じてしまうな。


そんなわけで、魅了されているかどうか、俺はいちいちステータスを確認する必要がでてきたわけだ。

めんどうだが、仕方ない。


敵かどうかはわからないが、人の位置はわかる。

それだけわかればまぁなんとかなるだろう。

接触は最低限に、最優先は王族の安否確認だ。


---


舐めていた。

どうにかなるだろうと思っていた。


さすが王城。

数が多い!!


一階進むのにも一苦労だ。


この王城は、全20階建てである。

20階は言わずもがな、星天の間。

王の執務室は、どういう意図があるのか3階にあった。

都合のいいことに、前王と第一王妃もそこにいるようだ。


しかし、そこまでの道中もちろん何もないわけではない。

閣僚たちの個室、会議室や、騎士の控え室。

20階から3階までの17階分にまったく無人のフロアは一つもなかった。

これならば多少強引にでも一階から侵入するべきだったかもしれない。


更に厄介なことに、王城敷地内には二本の離塔がある。

客が泊まる用の迎賓塔と、王族の寝室などが含まれる塔。

どうやら、第三王妃とその子息である第二王子はそこにいるようなのだ。

人質に取られても嫌なので、王族は皆回収したかったが、どうも難しそうだ。


フィオナ王女に、王城内のことを聞いておくべきだったと後悔するが、時間もなかったし、何よりその時どこにいるかまでは把握できているものではない。

俺には識図展開(オートマッピング)があったためなんとかなるだろうと簡単に思っていた。

うん。次回から気を付けよう。


今俺がいるのは9階。

なんとかここまで来れたが、ここからは更に難易度が跳ね上がる。

閣僚府と呼ばれるエリアになるのだ。

大勢の文官が行き来しており、これに見つからないことは不可能だろう。


俺はスパイ映画なんかでよく見る手段を使うことにした。

すなわち、変装だ。


しかし問題が一つあった。

文官の服は統一されておらず、騎士団の官服は、一階の騎士団更衣室に置かれているようだ。


さて、どうするか。


方法は一つしかない。

申し訳ないが、一人犠牲となってもらおう。


ドンッ


ちょうどよく、一人で俺の潜んでいるところに来た文官の方に犠牲になってもらった。

殺したわけではないが、当分意識は戻らないだろう。


洗脳されていたわけでもないのに申し訳ないが、後で謝るとして今は非常事態だ。

許してもらおう。


ところで、ここまで遭遇した人たちはすべて識別している。

その結果、およそ二割ほどの奴らがすでに洗脳下にあると思われる。

多いか少ないのかは微妙なところだが、このままいけば王城すべてが支配下に落ちる可能性もある。


実は、洗脳の解き方については教えてもらっている。

ララからだ。


光魔法に状態異常回復の魔法もあり、魅了もこれで解除できる。

なんとあのメンツで唯一武力を持たないララが、一番この事態に対応できる存在だったのだ。


だが、一般の王城勤め人まで一々魅了の解除を行っていたら、時間が足りない。

大本を叩くまで待っていてもらおう。


この大本についても、ある程度の予測はついている。

王のところについたら、聞かねばならないことができたな。


さて、哀れな文官のフービンさんから服を拝借した俺は、それに着替え終えた。

無駄な帯とかが多くて少し戸惑ったが、まぁ大丈夫なはずだ。

王の執務室まではあと6階ほど。

急がねばならないな。

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