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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第一章 初めての異世界「辺境の街」編
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第10ページ 初依頼「薬草採取」

特に問題もなく南門を抜けた俺はレイラから教えてもらったネレル森林に来ていた。

といっても実際来てみると本当に森林と言えるかどうかわからないほどの規模しかない。

まぁいいか。


まるで雑草のように生えている薬草をポンポンと採取していく。

鑑定しているため間違う心配がないのがいい。

ちなみにこの薬草。名前がそのままヨクナル草という。まったく誰がつけたんだか。


「こんなもんかな」


群生していた為にこれでもかってほど採りまくってしまった。

今朝買ったバッグがパンパンだ。うん、やりすぎたな。


そろそろ帰るか、と思った頃。

後ろの茂みが不自然に揺れているのに気づいた。


「なんだ?」


俺は極力音を立てないようにして近づく。

茂みの向こうを覗くとそこには緑色の肌をした人に似た何か。


―・―・―・―・―・―


[ゴブリン]ランクF

知能が低い人型の魔物。

一般人でも複数ならば討伐することが可能。

討伐証明部位は右耳。売却素材なし。


―・―・―・―・―・―


討伐証明部位までわかるとは嬉しいな。

売却素材なしというのは売れるところがないってことか。


ゴブリンは目の前に3体いる。

どうやら何かを食べている最中のようで、3体ともしゃがんで食事に夢中だ。


何を食べているのかと少し首を伸ばして見てみると、人の足らしきものが見えた。


俺はなるべく音を立てないように近づくと一番近くにいた1体の首をホールドし一気に折る。

ゴブリンごときに腰に差す名刀を抜くのは嫌だからだ。


「ギィッ!?」


1体を無力化し、放り捨てたところで残りの2体が飛びかかってきた。

まず近いほうのやつに蹴りを放ち飛ばす。

もう1体は避けると同時に裏拳を顔面に入れてやる。


「ギッ!?」「ギギッ!?」


裏拳を入れてひるんだ相手に近づきこれまた首を折る。

呆気なく終わる。

俺は蹴り飛ばしたやつに向かって跳躍し、ちょうど起き上がろうとしていたゴブリンの上に着地。

踵を首にたたきこみ首の骨を折ると、こちらも呆気なく終わった。


「…」


俺は死体となったゴブリンから目を離し人間だったものに目を向ける。

確認するまでもない。あれは死んでいる。


遺体は若い男のものだった。

腹は裂かれ内臓が見えるが、ゴブリンにより食い散らかされている。

それ以外にも各部に傷が見えゴブリンと戦ったのだと思われる。

あまり役には立たなかったようだが手には小剣が握られたままだ。

まだ幼さが残る顔には絶望の色が浮かんでいる。


俺は近づいて跪き手を合わせ、目をそっと閉じてから遺体の荷物を探る。

さすがにこの遺体を背負って帰るわけにはいかないため、何か身元がわかるものがあればと思ったのだ。

幸いギルドカードがあり、名前と年齢、ランクは判別できた。

どうやらFランクのようで年齢も合わせて考えるとランクアップしたてだったのではないだろうか。


このネレル森林は魔物が出ないという話だった。

おそらくこの彼もそれを信じ油断していたところを囲まれて襲われたのだろう。

1体だけならどうとでもなったのだろうが3体同時に相手をするには荷が重かったというところか。


ギルドカードを自分のバッグに入れ、ゴブリンの討伐証明部位である右耳を3体とも切り落とし、こっちはそこらへんに落ちていた葉で包んでから同じくバッグに入れた。


日が沈んできている。

俺は少し気分が沈みながらもギルドへと戻って報告することにした。

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