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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第五章 王都までの道中「花の谷と妖精郷」編
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第85ページ 花の谷

昨日はなんだか変な時間に投稿されていたんですね。

すみませんでした。

「ガイアを出るのはいつ以来だろうな」

「さて…お館様は、公務以外でお出になられないですからな」


他の貴族は、近くの領地へ行ったりもするようだが、ガイアは他の領地まで距離がある。

必然的に、辺境伯はガイアから出ることが少なくなるのだろう。

親子揃ってなんというか。


ガイアを出発して、6日目。

全員が馬や馬車の為、アキホに向かった時よりもそのペースは早い。

俺はアステールに乗って同道中。


何故だか、馬車の隣に陣取って、窓越しに話相手にもなっている。

馬車の中には、ラッセン辺境伯と、ギルバートの二人。

どうやら馬車も特別仕様のようで、外から見ると普通の大きさなのだが、中は結構広々とした空間となっていた。


「次に行くのはどんな町なんだ?」


ガイアを出発して、幾つか小さな町と村に立ち寄った。

辺境伯は、どうせ王都まで行くのなら、ついでにと辺境伯領の町や村を偵察する予定を組んでいた。


今更になるが、辺境伯領には、農業や産業で特産品はない。

辺境ならではの魔物素材が主な収入源だ。

しかしながら、小さいけれど鉱山なども有しており、魔物が多く実入りにはなりにくいが海に面している町もある。


そういった細々とした集計も全て辺境伯の元に送られてきており、今回の偵察は確認という意味が大きかった。


ラッセン辺境伯領は、領地だけでいうならばマジェスタ王国でもかなりの広さを持つが、その中で人が住んでいる箇所は少ない。

辺境伯領内の偵察は、先日立ち寄った町で最後だという話だ。


「次はサルベニーという町だ。小さな町だが、花の谷という別名があってな。綺麗ないいところだ」


花の谷サルベニー。

年中、多種多様な花々が咲き誇るという。


---


「ようこそいらっしゃいました、ラッセン辺境伯、イシュガル卿。小さな町ながら歓迎させていただきます」

「よろしくお願いします。フランチャー子爵」


笑顔で出迎えてくれたのは、サルベニーの町長を務めるフランチャー子爵。

40代くらいのおじさんだった。


サルベニーは、小さな渓谷にある小さな町。

町の周りには、花々が多様な花が咲き、とても綺麗であった。

花の町というだけあり、町の中にも花が飾られている。


フランチャー子爵は、町で唯一の宿屋へと案内してくれた。

荷物を一旦宿屋に預け、護衛の騎士たちは休みを取る。

ラッセン辺境伯と、ギルバートはフランチャー子爵の屋敷に招かれた。

何故か、本当に何故か俺もそちらに同行することになった。


「ほぉクロバ様は、Aランク冒険者であらせられましたか!その若さで、いやすごいですな!」

「いえ、私などまだまだでございます。たまたま運がよかっただけでして」


フランチャー子爵は、俺が冒険者だとわかると興味を持ったようで、話を聞きたいと言ってきた。

話せる範囲で話してやると、子爵はその目を輝かせている。


聞いてみると、子爵は元々冒険者に憧れがあったそうだ。

実際、子爵はフランチャー家の次男であり家を継ぐ必要がなかったので冒険者として活動していた次期もあったらしい。


だが、長男であった兄が事故に遭い、家を継ぐ必要が出たために、家へと戻った。

そもそもこの人は、冒険者稼業には向いていなかったようだが。


「いやぁ今夜は楽しませてもらいました!私ばかり楽しくて申し訳ない」

「そんなことはありませんよ。我々も楽しめました」


ラッセン辺境伯が答える。

話がどうだったかはわからないが、出された料理はそれは楽しめるものだった。

美味しさはもちろんだが、工夫された料理が多く、おもしろかったのだ。


味もガイアや、アキホで食べた物とはまた違った味付けがされていた。

なんというか、マイルドというか。


「ああ、それは蜂蜜を使っているからでしょう。サルベニー名物、ビークイーンの蜂蜜。この町の名物は知っての通り花ですが、もう一つあります。それが、ビークイーンの蜂蜜です!」

「ビークイーンというのは魔物ですね?」

「ご存知ですか?ええ、そうです。彼女たちとは友好的というか、ビジネスライクな付き合いを代々しておりまして、我々は彼女たちの生活に必要な物資を渡し、代わりに蜂蜜を受け取っているのです。通常の蜂蜜とは甘味も濃厚さもまったく違うのです!それを料理に使うことにより味がまろやかになるのですよ」


なるほど。

地球でも似たような話は聞いたことがあるな。

蜂蜜か、いくつか手に入れておきたいな。


「その蜂蜜は普通に買えるのですか?」

「え?ええ、町に売っている店がございます。しかし、欲しいならばお譲りいたしますよ?」

「それはありがたい」


フランチャー子爵から蜂蜜の瓶を3つ程受け取り、俺たちは子爵家を辞した。


---


クスクス


「ん?」


クスクスクスクス


夜も更けた頃。

宿で寝ていると、どこからか笑い声が聞こえてきた。

どうやら外から聞こえているようだ。


俺はベッドから抜け出し、外へ出る。

アステールも起きていたので、一緒に笑い声の方に向かった。


町からも出て、進む先は町の裏。

満面に花が咲いている。


その場所に、二つのシルエット。

緑色の服を着た少年と、ピンク色の服を着た少女。

二人が笑いながらこちらを見ていた。

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