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とある冒険者の漫遊記  作者: 安芸紅葉
第五章 王都までの道中「花の谷と妖精郷」編
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第83ページ 辺境への帰郷

「帰ってきたなーアステール!」

「クル」


アキホで世話になった奴らに挨拶をし、また必ず来ると約束してから、俺は空間魔法でガイアへと帰ってきた。

本当は、アステールとのんびり帰ってこようかと思っていたのだが、この指名依頼はできるだけ早い方がいいということなので魔法で一瞬だ。


つくづく思うが、便利な魔法だよな。

問題は魔力の消費量が多いことくらいなんだが、火山島で魔力を使い切ったことでまたMPが上がっていた為、そんなに気にならない。

むしろガンガン使っていくべきだろう。


HPにしろMPにしろ、超回復があるらしく、限界まで使えばその分割り増しで回復してくれる。

筋肉のようなものだ。


火山島といえば、またユニークスキルが増えていた。

アナウンスが聞こえなかったことから、俺が気を失っている間に増えたのだと思う。


心当たりといえば、無くなった俺の魔力を火竜たちが自分たちの魔力で補ってくれたことしかない。

ユニークスキル「竜の化身(ドラゴンフォース)」。

試しにと使ってみたのだが、あまり人前では使いたくないスキルであった。


だが、切り札足り得る程の力がある。

必要があるなら、使うべきだろう。


「ん?シュウじゃないか?」

「ああ、あんたか。久しぶりだな」


俺は、ガイアの街中に直接跳ぶのではなく、門の前に跳んでいた。

無駄な混乱を避けるためだ。


もう顔馴染みになった門番役の衛兵が声をかけてくる。

今日は、南門担当だったようだ。


「いい加減名前覚えろよ!オプスだ、オプス!お前帰って来たんだな」

「ちょうど今な、入っていいか?」

「ああ、もちろん。おかえり」


笑っておかえりと言ってくるオプスに、俺は一瞬キョトンとして、笑ってただいまと返した。

約5ヶ月ぶりのガイアだ。


---


とりあえず俺たちは、今日の宿を確保すべく「牡牛の角亭」に向かった。

時刻は昼前。


マーサさんとファーザさんや、昼食の仕込みで忙しいらしく、受付には娘のドーナが座っていた。


「あら、シュウさん!お久しぶりね!帰ってきてたんだ」

「ああ、たった今な。空いているか?」

「ええ、大丈夫よ。どうぞ」


ドーナから鍵を受け取り、部屋に向かう。

そこは前まで俺がいた部屋と同じだった。

気を回してそうしてくれたのだろう。


食堂に向かうと、マーサとファーザにも帰還を喜ばれ、折角だからと昼食を頂いた。

いつも通りの美味しい飯で、お土産にと買ってきていた温泉饅頭を渡したら喜ばれた。


そう温泉饅頭だ。

絶対に初代伯爵のせいだと思うが、温泉と言えばの温泉饅頭や、温泉卵なんかも売っていた。

日本人好みの町であった。


---


その後、冒険者ギルドに向かい、いつものように受付に座っていたレイラに挨拶をし、ギルドのみんなにも温泉饅頭を配る。


そうしていると、ギルド長の手が空いたとかで、中に呼ばれた。


「さて、久しぶりだな。シュウ」

「ああ。そうだな」


グラハムの机の上は、相変わらず書類が山積みで大変そうだ。


「ところで、俺に指名依頼が入っているんだろ?」

「ああ、それを聞いてきたのか。詳しいことは辺境伯から直接聞いてくれ。Aランクに上がったんだってな?」

「いきなりな」

「はっはっ。最短記録なんじゃねぇのか?Sランクに上がるには、監視員立会いの下でSランク以上の冒険者と試合して実力が認められる必要がある。まっお前なら大丈夫なんだろうがな」

「まだ当分はいいさ」


あまりに早くランクが上がりすぎると、やっかみを買いそうで怖い。

もう遅いような気もするけどな。


「グラハムは王都へは行かないのか?」

「俺は辺境伯がいない間のガイアを頼まれているからな。ギルバートも行っちまうしな」


七星剣であるギルバートも当然会議に呼ばれているようで、その間のガイアの戦力はかなり低下する。

確かに、グラハムまでいなくなるわけにはいかないな。


俺はグラハムにも饅頭を渡して、辺境伯城へと向かった。

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