①ことのはじまりは、二年前、ということでよろしいでしょうか。
自分に効率よく事が進むように、冷静になるのが重要です(๑ÒωÓ๑)
やり返すのは大前提。
思わず現実逃避したくなったけれど、そうは問屋が卸さないわけです。
目の前の二人は消えないし、対峙してる私も消えないし、周囲に人はいるし。←ここ重要
私がここで怒鳴り散らしたら、ほぼ修羅場。
そして、私が微妙に嫌な立場になるわけです。
……昼ドラ見ててよかった。
まぁ、ある意味冷静に聞いていられるのは、少しだけ予想がついていたからなんだけれど。
相手が、私の友人とは思いませんでしたけどね。
え? なんで敬語かって?
……暴走しないためですよ。
まずは、経緯を簡単に纏めてみよう。
変に冷静な自分が、脳内真っ白になっている自分を離れたところから傍観している気分ですが。
とりあえず、そのまま、話を聞いてみようかな。
きっとだんまりを続けている私がものすごいショックを受けているか、反対にものすごく怒ってるかしていると感じただろう恋人のはずの男……藪坂 良輔……はつらつらと言い訳という名の自己主張をかましてくれてるから、それ聞きながら状況を整理してみよう。うん。
-とりあえず、腹の底から煮えくり返りそうな怒りは置いておいて。
「初めて彼女と会った時、どうしようもなく惹かれてしまったんだ。最初は、気のせいだって思ってた。お前の友達だから気になるんだって」
……初めて会ったとき、ですか。
藪坂と付き合いだしたのは、高校二年の終わり。
卒業式実行委員会という何とも面倒な委員会に選出されて、それから親しくなった。
文系脳、近場の進学、それだけを根底に大学を選んだ結果、同じ大学同じ学部に進学した。
そこに、私の友人……更科 香……が入学してきた。
連絡は取り合っていたから、同じ大学なのは知っていて。
だから、大学で初めて会ったときに藪坂のことを紹介したわけです。
現在、大学二年の終わり。
ことのはじまりは、二年前、ということでよろしいでしょうか。
二年前から、私以外の人が好きだったと。
私がそんなことを考えているその目の前で、藪坂は項垂れたように両手を机につけて私に言い訳を繰り返す。
「お前が……榎本が嫌いになったわけじゃない、それだけは違うんだ。でも、それ以上に香のことがどうしても頭から離れなくて……!」
すでに名前呼びですかそうですか。
私に対しては、恥ずかしいから名字呼びで固定されてたんですけどね。
「榎本は、ホントいい奴だ。俺なんかにはもったいないくらい」
でも、香のほうがよかったと。
それは、暗に私より香の方がいい女だと訴えていることになってるんだけど、気づいてるんですかね。
Is he guilty or not guilty?
とりあえず、今日はここまで。