part9
久しぶりですね。久しぶりの更新ですね。
待たせていたら申し訳ないのですが、これからも待たせることになりそうです。
これから大賞用のものを考えて(これ、まえにも言ってた気がする)
取り敢えず一通り更新したらまた潜ると思うのでしばらくこの更新はないと思ってください。
時はすぐに来た。
「ハルちゃん」
鬼ごっこを続けてはや3時間くらいたっただろうか? 俺たちは時間の感覚がない。
そんな時だった。
「お、おい。ハルちゃんって、あいつのことか?」
俺は隣にいる翠に話かけた。
「そうだよ? あれがハルスティン・コーカ。私を守ってくれる人」
ということは……
「あなたたち、何者ですか? 今すぐ翠から離れてください。でなければ」
「ちょ、ちょっと待て! 俺たちはそんな」
「引く気はありませんか。ならば――」
彼女は言うと人間の出せる限界の速度とも思わせるダッシュで達也に襲いかかってきた。
「――ハァっ!」
いつ抜いたのかわからないククリナイフ達也の顔面めがけて突き刺そうとしてくる。
「おゎっっと」
「キャーーーーーーー」「ぎゃああああーーーーーーー」
後ろで星歌と裕太が悲鳴を上げた。
スレスレでナイフを躱すと、自分の右手でコーカがナイフを突き出している左腕を掴んだ。
「ちょっと、待てって」
その一連の動作をもって俺たち(というよりコーカ)は戦いの手を止めた。
「なかなかやりますね。私だっていろいろと殺してきてだいぶ強いと思いますが」
「あぁ、死神を殺すのに関しては俺はぜんぜんあなたの足元にも及ばないと思いますよ。なんたって俺はナイフとか使ったことないし、戦い慣れてるって言ってもガキの喧嘩だしな」
「なら、なんで私の腕を止めれた? 私は本気で殺すつもりで」
「それはない」
ピクンと俺が掴んでいる腕が反応した。
「……それはどう言う意味ですか?」
「あなたに俺を殺してやろうという気持ちがなかった。つまり手を抜いていたということです」
俺が言い終わると彼女はキッと俺を睨みつける。
「そんなことなんでわかるんですか?」
彼女は俺を睨みつけたまま再度質問を重ねた。
「だって、もう一本の方、使ってないじゃないですか」
そう、彼女は今見えるものだけで拳銃を一丁とカートから覗く太もものについているホルスターに左手に持つナイフと同じ形状のナイフがもう一本、つまりククリナイフが二本あった。
「そのナイフを使えば、俺なんか容易に殺せたはずだ」
淡々と語る達也だったが、実際はナイフが出てきた瞬間にかなりビビっていた。それでも対応できたのは相手の行動が点での――つまり腕を伸ばしただけの攻撃だったからだ。もしあれが線での攻撃だったなら達也は、死にはせずとも確実な深手を負っていたに違いない。
「なかなかやりますね」
先程の同じセリフと同じだったが、ニヤッと笑いながら彼女は言うと掴んでいた手から力が抜けた。
同じく手を離した達也はここであることに思い当たった。
「もしかしてですけど……試しました?」
まさかとは思うけど、これから一緒に行くための選別とか……?
「よくわかりましたね。あなたたちがいるとどの程度重みになるかわからなかったので測らせていただきました」
再び笑みを浮かび上がらせ俺たちを値踏みしたことをなんの詫びれもなく言った。
少し腹も立ったが、ここから出るためには彼女の協力が不可欠なのは達也もわかってるつもりだ。
「それで、どの程度の重みだったんですか? 俺たちは」
「相当重いですね。あなた以外は」
「な――」
さっきまでおとなしくしていた星歌達だったがこれには流石に腹を立てたようだ。
「あんた、いいかげんにしなさいよ! 私たちが重いかどうか、確かめてみればいいじゃない!!」
星歌は言うと、右ポケットから拳銃を引き抜き、リロード、そのままコーカに向けた。
だが、そこにはもうコーカの姿はなく、
「――あれっ!? うっ……」
星歌の後ろに周り首を絞める体勢になっていた。
「やはり重いです。そこの少年はどうします?」
一言星歌に言うと、次の重みに言葉をかけた。
「ぼ、僕はだいじょうぶですっ!」
「あら、そうですか? まぁ、これで全員の力を見れたわけですが……私一人でもいけそうですね」
コーカが出した答えは以外にも全員を守れるという答えだった。
「正直、これから一人であの死神鬼どもを倒していくのは面倒だなと思っていました。なのでRPGでも持って行って、隙を見て撃ってくれると助かります」
コーカは自分しか直接戦闘しない気でいた。あとの人たち(翠を除く)は後方で翠を守ってくれていればいいと思っていた。
「おい、それは困るぞ。俺たちはみんな戦うためにここに来ているんだ」
「後方でも戦うことはできますよ?」
「ぐっ」
俺は言葉に詰まった。後方でも戦闘はできる。それに、星歌たちでは機動力に欠けてしまうと判断したからだ。
「理解しましたか? これがもっとも勝率の高い戦法です」
コーカは周りを見渡した。それに習って俺も星歌たちを見る。
星歌と裕太は理解していた。自分たちが足でまといであることを。
裕太は足をひっぱてしまうのなら後方で砲撃でも担当していた方がいいと思った。
だけど、星歌が出した答えは違った。
「私だって戦いたい。みんなの足引っ張っちゃうかもだけど。それでも後ろでビクビクしているより戦って死んだほうがマシだわ!」
「…………」
星歌の言葉に俺は声を失い、コーカは目を見開いた。
凛としたその声は後方で戦っていても、いや、どこで何をしていてもビクビクと怯えているイメージをさせない。
「……はぁ、あなたの命まで守ると保証は出来ませんよ?」
星歌の言葉を聞いて感化されたのか、コーカは戦うことを前提で聞いた。
それに星歌は笑顔を向け、
「大丈夫! むしろ私が守ってあげるわ!」
何の根拠もない『大丈夫』発言に頭を悩ませるコーカをよそに星歌はコーカに対する認識を改めた。
「あなたって結構やさしいのね。ちょっと誤解していたかも」
素直に星歌は口に出した。
だけど、コーカはそれを改めて直させようとした。
「その認識は間違っていますよ。私は優しくなんかない。死にそうな人がいても依頼がなければ助けない。あなた方だって護衛対象の友達という理由だから助けるまでです」
言い終わると彼女は俺たちから目をそらす
彼女はいかに自分が冷徹であるかを認識させようとした。
だが、その行動、言動は達也にとっては違うように感じた。
こいつ、褒められるのとかに慣れてなくて恥ずかしがっている?
こそこそとコーカの横に回り込み顔を見るとかすかに赤が差していた。
「思ったとおりだった」
達也はついつい声に出していた。
その声でようやく気づいたのか、コーカは短く声を上げて少し俯いた。
星歌の言うとおり殺し屋とかじゃなくて、何でも屋とかじゃなくて、一人の女の子なんだとここで達也は理解した。
そして俯いていたコーカは軽くこちらを見ると顔を赤らめたまま睨んだ。
居心地の悪くなった達也はロボットのような動きで顔を星歌たちに向けると、
「じゃ、じゃあ、これから死神鬼退治に行くけど。準備はいいかい?」
ぎこちない口調でみんなに告げた。




